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九十八話 訓練

 今回は前回よりずっと短いです。

 読みづらくてごめんね!

私は、金髪の魔女がその場を離れてから、もう一人の魔女にご主人さまが伝えて欲しいと、あらかじめ言われていた内容を伝えた。

 これは大変なことみたい。私にはよくわからなかったけど、辛そうな表情で話していたから、ご主人さまもその苦痛がある程度わかっていたんじゃないかな。


「ってことらしいんだけど……」

「……通りで、目について聞いてきた訳だわ。推論としては面白いけど、証拠はあるの?」

「この絵だって。直接本人から受け取ったから、間違いないって言ってた」


 その絵を見せると紫の魔女は硬直して、ため息をひとつ吐いた。


「これじゃ、否定する方が難しいじゃないの……でも、念のためもう一人分証言が欲しいわ。あなた、よければ美鈴を呼んできてもらえる?」

「門番さんだよね? わかった」


 そうして私は、図書館を出て門へと行くことになる。

 ……途中、ちょっと迷っちゃって、すぐに出れなかったのは内緒だよ?



                    ***



 そのころ、紅魔館の庭先では、アリスが参真に訓練を施しているところだった。


「はいもう一度。1・2・1・2……リズム感を失わないように……」


 アリスが遅めに手拍子し、それに合わせて参真は妖精を操ろうとする。ところが――妖精の一人が、途中参真とぶつかってしまう。操るのに集中しすぎて、自分が動くのがワンテンポ遅れてしまったのだ。

 たちまち全体のバランスが崩れ、せっかくの陣系が台無しになってしまう。本日何度目かの失敗に参真はため息を吐き、アリスは首を捻った。


「これ、思ったより難しいですね」

「うーん。妖精は自我がある分、命令して制御するのが難しいのかもね。第一あなたも慣れてないし……私のように上手くいく訳がなかったわ」


 さらに言うならば、アリスの扱っている人形は、弾幕ゴッコ用に細かい調整がされている。完璧に制御できるアリスに対し、参真の扱っているのは、意識も自我もある妖精だ。それに加え妖精自体の知能は低く、複雑な命令は妖精の側が覚えられない。こうして見ると、大分条件が異なっているのがわかる。とはいえ、陣系等は参考になったので、全くの無駄だった訳でもないのだが。


「このままじゃスペルカード化なんて夢のまた夢よ」

「うーん……発想を変える必要がありますね」

「発想変えるねぇ……そういうのは魔理沙の方が得意だと思うのだけど……」


 魔理沙の名前を聞いて、参真は顔をしかめた。しかし同時に――彼には一つのアイデアが思い浮かんだのである。と言うのも――


「……魔理沙で思い出しました。マスタースパークみたいなのを撃ってみたいと思います」

「は? あなたそんな霊力もないし、魔理沙みたいなマジックアイテムもないのに?」

「かわりに妖精を使います……行くよみんな!」


 もう一度妖精を招集し、自分の回りに妖精を展開。そして、ごく簡単な命令を出す。

 たちまち妖精たちは力を溜めこみ、標準は大空へ。そこに参真が手をかざし――集まった力を収束させる。


「名前は――大砲『フェアリー・カノン』!」


 彼が力を放つと同時に、妖精たちからも溜めていた力が放たれる。それを素早く光の束に変換し――上空に極光が舞い踊った。


「なるほど、シンプルね。妖精の力を一点集中させて照射する技、か」


 その通りだ。これなら命令としては複雑ではない。実際に出した指示も「力を溜めて、近くに集まれ」だけである。

 そうした外部から集まった力の制御自体も、普段から彼がやっていることだ。おかげで比較的容易に達成できたのだが、アリスは少し残念そうな表情をしている。


「あーあ。あんまり私役に立てなかったわね」

「そうでもないですよ。テンポのとり方とか参考になりましたし。息を合わせて行動するのは、今度小傘ちゃんとやってみたいと思えましたから」

「そっか、あの子の方が妖精より頭良いものね。完成したら見せてくれるかしら?」

「喜んで」


 参真はすっと手を差し出す。そのまま二人は一度握手して――


「じゃあ、私はこれで。パチュリーにもよろしく言っておいてね」

「はい。アリスさん。ありがとうございました」


 ペコリと参真は頭を下げて、アリスをその場で見送る。

 その時門番が既にいないことには、二人とも気がつかないままだった。


 解説


 参真君は前回の薬で妖精をある程度操れるようになりましたが、あんまり複雑な命令や、難しいことは出来ません。なぜなら妖精の方が命令を理解できないからです。彼ら妖精の知能は低いので、仕方ないですね。


 んでもって、アリスはおそらく、専用に調整した自作の人形を操っているので、慣れさえすれば自分の手足の如く操れると思われます。それを考えると、彼女はあまり参真の教師には向いていなかったということになりますね。陣形やリズムの取り方ぐらいは共通してますが、操っているものの性質が違い過ぎていました。


 スペルカード解説

 大砲「フェアリー・カノン」

 妖精たちの力を収束させ、一点集中で放出、照射するスペルカード。威力や性質は、集まった妖精たちの力や数、種類に依存する。

 

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