表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/131

八十九話 図書館と魔女

 紅魔編は順調だなぁ……今までの不調が嘘みたいだ

「わぁ……」


 本日何度目かの、感嘆の声を小傘は洩らした。

 あのあと荷物整理を終えた参真たちは、咲夜によって紅魔館内部を案内され、最後に図書館へとやってきていた。中には、とても読み切れそうでないほどの量の本が、きちんと整理されて置かれている。


「調べ物などは、ここでだいたい済ませることができますわ。ただし、魔道書関連は保証しかねますが」

「理由を聞いても?」

「時々、魔理沙がやってきて本を借りていくんです。本人曰く、『死ぬまで借りてくぜ!』といって」

「うわぁ……」


 参真の中で、ますますイメージが悪くなる魔理沙。困った人だなぁと、同情はしておいた。


「写真集とか、図鑑とかなら見るかもしれないですね。それを元に描いたりとか」

「なるほど……連れの方は……」

「多分読まないと思うよ。一緒にはいると思うけど」


 辺りを適当に動き回っている小傘。とても一人でゆっくり読書をする……という性格ではないことは明らかである。

 その様子を見てか、はたまた以前から疑問だったのか、咲夜は参真にこんな質問をしてきた。


「気になったのですが、お二人は主従関係でよろしいのでしょうか。失礼ですが、ずいぶんと小傘様は自由になされているように思われますが……」


 この人は根っからの真面目な人らしい。どこか安心感を覚えながら、苦笑気味に参真は答える。


「僕としては、かたっ苦しい関係は望んでないんですよ。彼女らしくいてくれて、一緒にいてくれればそれでいい」

「……もしかして、恋人でしょうか?」

「僕は恋とかよくわからないけど……周りからはそう見えるみたいですね。僕としては、大事な家族のようなものです」


 咲夜さんはどこか納得していないようだが、しかしどうにか自分たちの関係を飲み込めたようだ。


「「わああ!?」」


 と、あちらこちらを移動していた小傘が、本棚の陰から出てきた少女と激突した。ごてーんとその場に二人とも倒れ込む。


「大丈夫!?」

「大丈夫でしょうか?」


 参真は小傘に、咲夜は赤い髪の女性の方にそれぞれ駆け寄る。


「う、うーん……」

「小傘ちゃん、入れ替わったりしてないよね?」

「あはは、そんなこともあったね~今回は大丈夫みたい」


 いつも通りの小傘に一安心し、激突してしまった少女の方にも足を運ぶ。


「いたたたた……図書館ではお静かに、ですよ!」

「ごめんなさい。大丈夫?」

「はい! こぁは頑丈なのが取柄の一つですから!!」


 頭にたんこぶをこさえながらも、にっこり笑顔で彼女は返事をする。特に大きな怪我もなさそうだ。


「こぁ、何をしてるの?」

「パチュリー様!」


 騒ぎを聞きつけて、もう一人少女が現れた。こちらは紫色の……パジャマのような服装をした少女である。色白で、なんとなく気だるそうな空気を各所から振り撒く彼女に、参真は不健康そうなイメージを抱いた。


「あら、咲夜……と、その子たちは?」

「お嬢様に連れてこいと命じられた方です。そちらの青髪の女性は、彼の従者だそうですよ」

「西本 参真といいます。えっと、パチュリーさんでいいんでしょうか?」

「その呼び方でいいわ、こっちは小悪魔。こぁって呼んで頂戴」

「よろしくお願いします~」


 軽く自己紹介を済ませる四人、ちなみに、細かい補足説明は咲夜してくれたので、スムーズにお互いの情報を交換できた。


「にしてもその服装……ミスマッチね」

「ああ、やっぱり? 僕も浮いてるなぁと思っていたんですよ」


 現在参真が着用しているのは、青の作務衣である。洋風な作りで赤を基調としたこの館とは、何もかもがすれ違っていて、正直大丈夫なのか、不安でしょうかない。


「まぁ、お嬢様もその辺いい加減な所がありますから、問題ないかと」

「咲夜がそう言うなら間違いないわね」

「本当かなぁ……」


 館の住人達からお墨付きだが、それでも心配である。

 その不安を吹き飛ばすように……


「ねぇねぇご主人さま! あんなとこに地下への階段があるよ!」

「そ、そこには行っちゃだめです! 関係者以外立ち入り禁止ですよぉ~!!」


 小傘は相変わらずはしゃぎっぱなしで、小悪魔が振り回されてる。仕方ないなぁと思いながらも、今度小傘に注意しておこうと、呑気に思った参真であった。


 今回もスラスラと出てきました。作者の都合上、なんとか四月までには終わらせたいところ……!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ