八十七・五話 紅魔館への誘い
今度は短い……Orz マジでゴメンナサイ……
(この人間は……例の……)
十六夜 咲夜は、突然の遭遇に驚嘆しながらも、冷静に頭を回転させた。
自分が忠誠を誓う主が、いつか招こうと言っていた人物。
あれからかなり時間が経ち、もう半分忘れている可能性も考えたが、あの方は運命を見通す能力を持っている。彼についても、『操作ができない』とは言ったが、『運命が見えない』とは言っていない。それを考えると……ここで招いてこいということだろうか? いかんせん咲夜に対しては一度使用している故、この辺りは不透明である。
「そこの方々、よろしいでしょうか?」
呼びとめられて、頭に疑問符を浮かべる彼ら。身に覚えがなくて少々混乱しているのだろう。
「えっと、なんでしょう?」
「西本 参真様とお見受けします。私は紅魔館のメイド長、十六夜 咲夜 と申します」
「紅魔館……姫様にオススメされた場所だね……」
言われて青年も思い出したのか、ふむ、と首を縦に振る。名前自体は知っているらしい。
「その紅魔館の……メイド長さんが、僕に何の用事でしょう?」
「私の主にして紅魔館の主……レミリア・スカーレット様が是非会いたいと」
「……なるほど」
困惑しながらも、青年はしっかりと受け答えする。……断るつもりなら、最悪弾幕戦に持ち込んででも連れていくつもりだが……
「いいですよ。いつかお邪魔しようと思っていましたし、今ちょうど欲しい品も補充できましたので」
あっさりと青年はOKを出した。一方で、後ろで水色の服装の少女があたふたしている。
「ご、ご主人さま、あそこ吸血鬼がいるらしいよ!? ご主人さまの血が吸われちゃう!!」
「はは、その時はその時だよ」
「では、決まりですね。私も買い物があるので少々お待ちを。それが済んだら、案内いたしますわ」
従者の心配をよそに、能天気に構える彼。ひょっとしたら大物なのかもしれない。などと勝手な想像を巡らせた。
「さて……霖之助さん。『いつもの』でお願いします」
「はいはい。ちょっと奥に行って取ってくるよ」
丁寧な口調で店主に、いつも頼んでいる物品を注文する。自分に比べて仕事が遅いが、それは自身と比べれば誰だって遅い。時間を操れる彼女にとっては、こういった動作がずいぶん煩わしく感じる時もある。
後ろではさっきの二人組が何やら話しているようだ。聞いていると、少女が青年を止めようとしているらしい。紅魔館の噂ぐらいは知っているようだ。
「あそこはね、すごく紅くておっきな屋敷で、中には妖精メイドがたくさんいるんだって!」
「ますます興味が湧いたよ。行くしかないね」
「はわわ……」
……止めようとして、逆に興味を引いてしまっているではないか。従者としてどうなのだと、咲夜は内心疑問に思った。
「待たせたね。じゃあ代金を」
「こちらになりますわ」
いつも以上にすばやく買い物を済ませ、彼らの方に振り返る。
「お待たせしました。さ、ついて来て下さい」
こうして十六夜 咲夜たちは、香霖堂の前を去るのであった。
思えば作者の東方デビューは紅魔が始まりでした。懐かしいなぁ……
諦めてたハード攻略再開してみようかな。たしか最高記録は咲夜さんのとこまでだった気がする。