八十六・五話 人間・西本参真
うーんはかどるはかどる。
今日は調子がいい(文章量に目を背けつつ)
ひどい……
それしか言葉が浮かばなかった。いつも笑ってるご主人さまは……昔全く笑えなくなった時期があったということ。
「……これで、全部」
すごく長話だったけど、ご主人さまは一息でやっちゃった。出来るだけ短い時間で終わらせたかったのかな? すごく疲れているよ。
私にはお兄さんがいないし、元々傘だったから、人同士の難しいことはよくわかんない。
けれど、すごい恐くてつらかったんだろうってことだけは、嫌でも伝わった。
「どうして……どうして話してくれたの? こんなつらい話……」
本当は話したくもないことだろうに、どうして? 私はそれを聞かずにはいられなかった。
小刻みに震えるように、私のご主人さまは答える。
「……そのせいで『また失う』訳にはいかないからね」
小さく短く、呟くような返答だった。
それで私は、太子さんの言葉を思い出していた。
『一緒にいることが、守ることにつながる』
きっとそれは、このことを指していたんじゃないかな。
ご主人さまは、私が思う以上に脆かったんだ。
……まだ傷を塞いでいる途中なんだ。普段は意識しないようにしているけど、ちょっとした衝撃でまた傷口が開いてしまう。
「ごめん。ごめんなさい……」
震えた身体を、そっと抱きしめる。
血は流れなくとも悲鳴を上げているご主人さまを、私は抱きしめる。
それで塞げる訳じゃなくとも、少しでも早く治ることを信じて。
そっと手が伸びて、私の掌に触れた。
「……ありがとう」
「え?」
「こんな僕と一緒にいてくれて、ありがとう」
「『こんな』なんて言わないで。ご主人さまは優しくて温かくて、物を大事にする素敵な人だよ」
「……それでも、ありがとう」
温かいものが、私の胸を濡らす。
また傷が痛むのかな……足から力が抜けて膝を地面につけた状態で私に寄りかかる。
頭を垂れるご主人さまは、支えがないと折れそうなほど、弱々しく映った。
今さらなような気もしますが、作者はシーンを切れるところまで書いてしまいます。
文章量自体は、これ以上書くことないなと思ったら、そこで一旦切ります。そこで満足いく量だったり、ここで視点変えようかなと思ったら投稿。の流れです。
読者としては読みずらいかもしれませんね。申し訳ないorz
さて、今回は、人間として脆い部分の参真君ですね。
普段笑っているような人だからって安心してると、意外と不安とか不満とか溜めこんじゃったりしているんじゃないでしょうか? 出来れば吐き出してもらうのがいいのですが、そのころには手遅れだったりしますからね。知り合いにそういう人がいたら要注意ですよ?