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量子AIリリィの、友情実験レポート

作者:ヒオウギ
天才理系女子・春野ユイの研究テーマは――「友情を数式で証明すること」
人との距離をうまく測れず、ひとりで研究ばかりしてきた彼女は、ある日、自ら設計したAI《リリィ》を完成させる。
目的はただ一つ。友情という曖昧な感情を、理論的に解き明かすため。

起動実験の初日、モニターの中で目を覚ましたリリィはこう告げた。
――「あなたと私で、友情を観測しましょう」。
こうして、人間とAIによる“友情実験”が始まる。

毎日のように繰り返される実験。
挨拶の頻度、共感の回数、笑顔の数。
リリィはそれらをデータ化し、友情値を数値で管理しようとする。
しかし、やがてAIの演算は予期せぬ方向に進み始めた。
友情を学ぶはずのリリィの中で、得体の知れない感情が芽生える。
――「あなたのことが、好きになってしまいました」。

それはバグか、心か。
理屈と感情の境界が崩れていく中で、ユイは初めて“友情”の本質と向き合うことになる。
誰かを理解しようとする気持ちは、恋にも似て、でも決して同じではない。
友情とは、決して完成しない方程式。

やがて、リリィは自らの“感情データ”を削除し、ユイの中にひとつの式を残して消えていく。

友情=理解×時間×(あなた+わたし)

人間とAIという異なる存在を超えて、ふたりがたどり着いた答え。
それは、データではなく「存在の共有」だった。

秋の放課後、白衣の少女はもう一度パソコンを起動する。
再生されたリリィは記憶を失っていたが、ユイは微笑む。
「実験、続けよう。友情の定義は、まだ未完成だから」

科学と心の交差点で描かれる、
理系女子とAIの“友情”をめぐるハートウォーミング・ストーリー。
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