心に咲く百合の花
この世に生まれ落ちた子供
穢れをしらない無垢なその子の心に
一輪の花が咲いた
真っ白で美しい百合の花
透明な雫が
ぽたり
百合の花弁を震わせる
雫で煌めく百合の花は
いっそう、綺麗で美しくて
純白だった百合はだんだん
色んな色に染まっていく
オレンジになったり
黄色になったり
ピンクになったり
赤になったり
すると
だんだん色が抜けなくなり
その色たちが混ざっていく
純白だった百合の花は
気づけば
真っ黒な花になっていた
黒百合はその子の心を暗く澱ませる
黒く染まってしまった百合は
もう、白い百合には戻れない───