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「……は? この小僧が100年前のあの魔法使い!?」
ポカンと口を開くペドロ長老。
「……そうじゃ」
国王は静かにうなずく。
「またまた……国王! ドッキリかなんかですか? 老人をからかわないでくださいよ?」
国王の話を信じられず、ヘラヘラと笑うペドロ長老。
「ふっ、あのアイテムショップのガキが長老か……偉くなったもんだなペドロ」
そんなペドロを見て、アルカンタラは言った。
「な、なんだと? 国王! この小僧、もしかして詐欺師ではありませんか? 勇者パーティーを語って国王から褒美でも貰おうとするなんてよくある手口ですよ?」
アルカンタラを疑うペドロ長老。氷漬けになり、100年前から突然現れたと言われたら当然の反応だった。
「ちょっと! そんな訳ないじゃない。彼は私がこの手で地下から掘り出して氷を溶かしたのよ?」
ミルリーフは大声でペドロに言う。
「ふふ、この女もグルか? コイツら怪しいもんですよ? 国王、ここは一度冷静になられてみては?」
「くっ、誰が詐欺師ですって!」
ペドロの言葉に怒りをあらわにするミルリーフ。
しかし、悪気があるわけではなく、詐欺師から国を守ろうとするペドロ長老だった。
「ふ、俺が詐欺師か……面白いこと言うなペドロは。
あのアイテムショップのガキが今じゃ長老かよ?」
アルカンタラは静かに口を開く。
「うるさい詐欺師め! 馴れ馴れしく私の名前を呼ぶな!」
「お前の親父のアイテムショップこそ詐欺だろ? いつも薄めたポーションばかり売りやがってよ」
「な、なに……?」
アルカンタラの言葉にペドロの顔色が変わった。
「あ、思い出した。パーティーの仲間だった槍使いのジャッジに売ったオリハルコンの槍あったな。あの槍、すぐに壊れたぞ? あれ偽物のオリハルコンだったろ?」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべるアルカンタ。
「な、なぜそれを……!?」
ペドロ長老から汗が吹き出す。
「ジャッジが次あったらぶっ殺すって怒ってたなぁ……まあ先にジャッジが魔王に殺されちまったけどな……」
そう良い遠い目をするアルカンタラ。
「……どうじゃペドロ? 彼は本当に100年前の人間じゃろ?」
国王はペドロの顔をチラリと見る。
「は、はい……信じられませんが……そのようです……」
自分のアイテムショップの過去の悪事、それも100年前の事を知っている者など、もういないと思っていたペドロは頭を抱える。
「まだあるぞ! ペドロの店の――」
「わーわー! も、もうよい! お前はアルカンタラだ、間違いない! やめろぉぉお!!」
アルカンタラの口を必死に塞ぐ涙目のペドロ長老。
「けっ、なにが勇者パーティーを世話しただと? 知ってるやつがいなくなったらウソつき放題だな」
「だまれ! あぁ……ワシがコツコツと積み上げてきた長老の威厳が……!」
「ペドロ長老……」
呆れる国王とミルリーフだった。
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