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しあはせな言葉たち

  長らく読んでみたいと思いながら手を出していなかったお千代さん事、宇野千代さんの作品を読んだ。

 手に取ったのはエッセイで題名は『()()()()()話』


 ほんの数ページ進めただけで、私はふぅと小さくため息をいた。

 こんなにも書き手により愛された言葉たちは幸せだろうなと。

 彼女のように言葉を扱えたらと思ったのだ。


 元々、旧仮名遣いが好きだと言う事もある。

 それを省いても、とても美しい。

 単語一つ一つから「宇野千代」という人物の品格や小説家としての自信感じられるのだ。



 さて、ある若手女優がバラエティ番組で何かを召し上がる度に「ウマい」っと仰っていた。

 聞いた瞬間彼女に対し酷くがっかりした気分になった。


 妙齢女性だから、単語一つとっても気を遣って欲しかったのだ。

 映画の宣伝としてバラエティに出演していた彼女。

「映画の役」に影響を及ぼさぬ程度に素でいて欲しかった。



 ちなみに、お千代さんはエッセイの中で「旨い」としている。

 お千代さんの年齢や文章の流れもあって、とても綺麗に馴染む。


 今後は音が「ウマイ」は「旨い」と、脳内で変換することに決めた。

 先出の女優だって、「旨い」と言っていたかもしれないのだ。

 彼女は東京出身の様なので、「旨い」は江戸弁の可能性もある。


 本当に江戸弁かどうかは別として。



 ところで、少し前にある動画をお薦めされた。

 見に行ったもののすぐに、動画を見るのを諦めた。


 あまりにも京都訛りがひどかったのだ。

 訛りが悪い訳ではない。

 ワザとらしい京都弁で話が一向に頭に入らなかったのである。


 本人風のイラストは若い女性。

 若く京都出身ならば、少なくとも生まれた時からラジオもテレビもある環境のはず。

 もしかしたら、インターネットも当然の時代に生まれているかもしれない。

 ならば標準語が話せるはずである。


「うちぃ、京都弁しかぁ話せませんねやぁ」とばかりにずっと、この京都訛り。

 仮に京都生まれだと言う事を印象付けたいのなら成功している。


 しかし動画の内容を聞いて欲しいなら、少なくとも私に対しては失敗している。


 何故こんな「うちはなぁ」などと、話すかと疑問にふと思いついた。

 京都弁を武器にしたいのだろうな、とだ。


 不意に出る訛りは武器どころか、本人の愛らしさや魅力に繋がる。

 しかしなぁ、これはなぁ。

 少なくとも私には鬱陶しいだけであった。


 本人の印象が強すぎて、伝えたいことが薄まっている。

 吟味されるのは伝える本人ではなく、伝えたい内容のはずだ。

 その場に適した言葉で、追及されるべきだろう。


 お千代さんはエッセイで、彼女の扱う奥ゆかしい言葉で彼女の考えを教えてくれた。

 説教臭さはどこにもない。

 自然に見える選び抜かれた言葉たちで、作家なのだと感じさせられた。

 言葉遣いも、考え方も。


 私も使いたいときに自ら選んだ言葉たちを簡単に取り出せるように、普段から練習しておきたいものだ。

 

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