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第1話 ざ~こ♡同接ひと桁配信者ぁ~♡

ダンジョン配信、今回はメスガキが主人公です。


 ダンジョンには、それは恐ろしい悪魔(サキュバス)が棲んでいるという噂があった。


 いわく、男は連れ去られ、精魂尽き果てるまで逆レイプされたとか。

 いわく、女は見るも無残な姿にされてモンスターに喰われてしまうなど。


 そんな身の毛がよだつ話が、まことしやかに噂されていた。



 そして悪魔は本当に実在していた。耳をすませば、ほら。

 今日も迷宮の奥深くから、地獄へと(いざな)う雄叫びが聞こえてくる――。




「ふえぇええん、同接数が全然増えないよぉお~!!!!」


 ダンジョンの最奥にある小部屋。通称、作戦会議室にて。


 黒い翼と尻尾をジタバタとさせながら、私――サキュバスのサキはタブレット端末をバンバンと叩いていた。



 画面に表示されているのは、本日の配信スコア。


 総視聴者数8人、リアルタイムでの視聴者(同接数)はなんと3人だけ。悲しいことに、これでも過去イチで良かった数字なのだ。



「こ、こんな調子じゃ魔界に戻れない……おうち帰りたい……」


 こうなったすべての元凶。それは私が魔界を追放されてしまったから。



『我が娘、サキよ。お前はとことん堕落しおって! 悪魔として立派になるまで帰ってくるな!』


 魔王であるパパにそう言われ、異世界にあるダンジョンに放り込まれた。


 いわばここは私専用の監獄だ。場所はニホンとかいうらしいけど、外に出たことは無い。



「酷いよパパ。私が何をしたっていうのよ……」


 毎日のようにお菓子を食べて、推しの配信動画をゴロゴロしながら見ていただけなのに。


 魔界おうちに帰るには、悪魔としての力を貯めて自力で転移をしなきゃならない。そのためには、人間と悪魔契約をたくさん交わさなきゃならなくて……。



「初めは良い考えだと思ったんだけどなぁ」


 私が考えた方法は、ダンジョンを利用するものだった。


 詳しい説明はいずれするけれど、このダンジョンに人間をたくさん呼び込めば解決するシステムを作ったのだ。



「それもダンジョンを訪れる人間が増えれば、の話なんだけどデビ」


「うっさいよデビちゃん。そんなの分かってるってば……」


 白い羽が生えた手のひらサイズのスライムが、私の周りを飛び回る。


 この子は私の使い魔にして、この世界で唯一の話し相手であるデビちゃん。

 天使みたいな見た目だけど、これでもれっきとした悪魔スライムだ。性格は誰に似たのか、口が悪くてすぐにケンカになっちゃう。



「ただのダンジョンなら、他にもあるデビよ? わざわざココを選ぶ理由は無いデビ」


「だから認知度アップのために、Doutubeで配信を始めたんじゃない。なのに、全然人が来ないなんて……」


「前提条件として、どうして配信を始めたら人が集まると思ったデビ?」


「だって私って可愛いじゃない? ちょっと煽ってあげれば、興味が湧いた男の人たちがたくさん集まるかなって」


 ちょっと胸は小さいけれど、それを補って余りあるほどの可愛さだ。


 魔道具のタブレットで調べたところによれば、日本の男は大半がロリコンで、生意気な小娘が好きって書いてあった。だから間違いない、私には需要があるはず。



「そこまで言うなら、配信でのコメント欄を読み上げてみるデビ」


『やっほ~、お兄ちゃんたち。今日もサキっちょの配信で虐められていってね☆』


<うわ、うざっ>

<今どき悪魔のコスプレ? きっつ>

<サムネに釣られました>

<キャラ作りだとしてもイタタタw>

<サキっちょって名前も……>



「…………」


「炎上狙いにしても、狙い過ぎてボヤにすらなっていないデビ。平均視聴時間も計測したけど、知りたいデビか?」


「やめておく」


 私だって、好きでこんなキャラをやっているんじゃないもん!


 日本の文化を知ろうと、頑張って『悪魔』について勉強した結果がコレなんだもん!


 なのにどうして、どうして……。



「小悪魔系ってなんなの? 日本人の感性どうなってるのよぉ……」


「地雷系ファッションも取り寄せて、二時間も鏡の前でファッションショーをしても、効果は一切なかったデビね」


「ぐはっ……」


 あの痛い子を見た時のような地獄のコメント欄。秒で去っていく視聴者たち。


 トラウマを思い出し、私は赤面を通り越して顔を青褪めさせていった。あ、ヤバイ。過呼吸になりそう。



「はぁ~。せっかく難易度を上げて、素敵な宝箱も置いたのになぁ。こうなったら自作自演で、視聴者の印象操作をするしか……」


「さっさと諦めて、魔王様に土下座でもした方が早いデビ……ん?」


 何かに気が付いたデビちゃんが、ピョンと私の肩から飛び降りた。



「どうしたのデビちゃん」


「誰かがダンジョンに来たデビ。久しぶりの生贄タイムだデビ~」


「ホントッ!?」


 急いでタブレット端末のところに向かう。


 操作して入り口フロアのカメラに切り替えると、そこにはオークに襲われて逃げ回る一人の女性の姿があった。



⇒第2話 メスガキさん、うっかり救援してしまう

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