表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/80

第24話 友好的なエフィリア女王

部屋の右側にあるソファスペースにエフィリア女王は座っていた。


「お待ちしておりました、アイリーン様。どうぞこちらへ。フーカは下がって頂戴。」


なぜメイドを下げるのだろうか。

アイリーンはまたエフィリア女王に対しかすかな不信感を抱いた。


「アイリーン様、こちらにお座りになって。」


「はい。失礼致します。」


とりあえず促されるまま、アイリーンはエフィリア女王の正面のソファに腰かけた。

すると上品な装飾が施されたティーポットとカップが宙を滑りアイリーンの目の前まで来た。

そして宙に浮いたままポットからカップに紅茶が注がれ……アイリーンの前にあったコーヒーテーブルにカップだけ着地した。

ポットはまた宙を滑り移動し、入口横のティーワゴンに着地した。


風の魔法を目の当たりにしぽかんとしていると、エフィリア女王が話しかけてきた。


「お会いできて光栄です。

精霊の落とし子。運命を背負いし子。悠久を司る時の精霊クロノスの血筋。

アイリーン・クロノス様。」


妙な呼ばれ方をたくさんされ、アイリーンは混乱した。


(なんの話……?時の精霊クロノスの加護を受ける、クロノス家の血筋ではあるけど……。

そのことだけを言っているとは思えない口上だった。

私について、何を知っているの?)


アイリーンは警戒した。

エフィリア女王がすべてを見透かしているような気がしたからだ。

エフィリア女王は真剣な眼差しでこちらをじっと見ている。


「……こちらこそ、お会いできて光栄です。エフィリア女王。お部屋にも招待頂き、ありがとうございます。」


とりあえず礼儀に倣い、アイリーンは挨拶を返した。


エフィリア女王は真剣な眼差しを崩さずに言った。


「アイリーンとお呼びしてもよろしくて?

この度招待させて頂いたのは、どうしても伝えたいことがあったからなの。

この大陸全土に関わる重要な話よ。

あなたの大事な“語り手”がいらしたら早速話すわね。」


(“語り手”……?なんの話だろうか)


その時ドアがノックされ、声が聞こえた。


「エフィリア陛下。フーカでございます。時の国王太子様がお見えです。」


どうやらセルシス王子も招待を受けこちらに来たようだ。


「入って。」


「ご招待頂き光栄に思います。

時の国王太子、セルシス・ラグナでございます。」


部屋に入りセルシス王子はすぐにエフィリア女王に挨拶した。

セルシス王子もエフィリア女王を少々警戒しているようで、表情や声音は硬い。


「招待をお受け頂き嬉しく思います、セルシス・ラグナ様。

改めまして、風の国の女王エフィリア・シルフです。どうぞこちらにお掛け下さい。」


セルシス王子がアイリーンの隣のソファに腰かけると、アイリーンの時と同じようにティーセットが宙を舞い、紅茶がセルシス王子の前に用意された。

セルシス王子もアイリーンと同じくぽかんとしている。


紅茶がセルシス王子の前に置かれてすぐに、エフィリア女王は真剣な声音で話し出した。


「さ、“語り手”様もいらしたことですし、早速本題に入らせて頂きますわ。

今回風の国が大災害により、甚大な被害を受けたことはお二人ともご存じよね?

風の精霊シルフの加護を受ける我が国にどうして暴風が吹き荒れ、大災害にまで発展したのか……。

その理由を知って頂きたいの。」


(“語り手”はセルシス様のことだったのね。どういう意味かしら……。)


アイリーンが“語り手”について考えていると、エフィリア女王が少しむっとした声でアイリーンに尋ねて来た。


「アイリーン。とても重大な話なのよ。しっかり聞いて頂戴。

……ちなみにアイリーンは、どうして我が風の国に暴風が吹き荒れるに至ったのだと思う?」


(う……エフィリア女王、少しお怒りみたい。

ところでエフィリア女王はなぜこんなに私に友好的なのかしら。)


「そうですね……暴風に理由があるとすれば、風の精霊シルフがなんらかの原因で暴走した、とかでしょうか……。

または怒り狂っているとか……。」


《僕はそんなことしないよ!ひどい!》


その声にアイリーンは固まった。

アイリーンの言葉に誰かが反論した。

少年のような声が聞こえたが、一体どこから聞こえたのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ