72話 隆太
「封魔陣衛を再展開できても雀涙ほどの時間が限界と先ほどはなしたのじゃかある方法を使えば数か月くらいの猶予ぐらいは作れる可能性はない事もないのじゃよ」
なんだってだったらそれ先に言えよ
「その方法は?」
「わらわがシステムそのものに介入しアニマを降り注ぐ。そうすることで自発的に封魔陣衛を再展開させる。わらわには、のこの身には普通の人間よりも爆大なアニマが宿っている。あの婆さんに出来てわらわにできないことは無いのじゃよ」
おお流石は神だ神の名は伊達ではなかった。
「のはずだったのじゃ......」
おい何だか雰囲気怪しくなってきたぞ
祠に置いてあった水晶玉。封印される形で彼女は祭られていた。その水晶玉に宿っていた魔力よって彼女は不死のような状態にされさらにはそのアニマを身にまとう形で爆大なアニマを得るような形になっていた。しかしその水晶玉が砕けて壊れた直後に一番側にいた封印の呪印の対象が水晶玉から隆太の存在そのものに切り替わってしまったため大半のアニマを消失してしまった。
「おい理緒あの砕けた水晶玉あのあとどうしたんだ?」
「念のために自宅の壺の中に入れて保管してあるけどこの天候の状態では....」
「そもそも砕けた時にあの中にあったアニマはどこかに流れて消えてしまったのじゃ復元できてもただのガラス玉じゃよ」
「それじゃやっぱり兄ちゃんとお前の知識次第という事に......」
「もう一つだけ手段はあるのじゃよ」
「その手段とは?」
「............わらわたち二人の寿命じゃよ」
あの水晶玉が無くてもラピズは普通の人よりも多少なりとも多くのアニマをその身に宿しているらしい。
「足りないアニマのかわりにわらわの寿命を消費させるのじゃ」
「おまえ!!!!!!!何を言って!!!」
「でもそれは無理..........」
封印の呪印の対象が水晶玉から俺に変わったことで俺とラピズの魂は完全にむずびついてしまった。俺たちが離れられなくなってしまったのはそのためだ。
そして俺たち二人の命、寿命そのものも結びついてしまった。こいつのアニマが消耗すれば俺のアニマも消耗する。俺たちの命、寿命もまた.......
母さん、俺、わかったよ。本当に無くしたくない大切な存在、場所。
何となくだけどわかったような気がするよ。
こいつと出会ってわかったんだおれは。
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「おまえが俺の目の前からきえていなくなることだけ絶対ないということだけはわかってよかったよ」
おれは兄ちゃんみたいにはれないけど。
「俺たち二人の命でどれだけの猶予が出来るんだ?」
「たぶん2週間が限界なのじゃよ」
大切な人大好きな人。ずっと側にいてほしい人。側にいるのが当たり前な存在。
愛しい人......。
兄ちゃんは無くしてしまったのに俺はすぐ手に届くところにいる。
「本当に2週間の猶予が出来るんだな?」
「隆太ッち?何考えてるの?」
これで償えるわけではないけれど
「理緒、後の事はたのむ。兄ちゃんの力になってやってくれ。あと奏花にすまないと伝えてくれ」
「だめだよ!!そんなの!!!」
兄ちゃんは失ってしまった。
俺は失う事も無い失うこともできない。
俺が心から幸福になるようなことがあってはならない。ならやる事は一つだけ。
少しでも時間稼ぎだけでも。
「本当は...わらわひとりだけで背負うはずだったのに」
「そんなこと俺がさせるわけがないだろ?俺たちは二人で一人。これからもいつまでも。そうだろ?」
彼はラピズの手を握り彼女優しくつめ微笑む
「わらわはわらはは.......」
彼女の目には大粒の涙がこぼれる。
「やめてよ!!そんなの!!」
「理緒ごめんね」
ラピズは親指と中指の腹をこすってパチンとならす。
バタン!!
その瞬間理緒は倒れこみ深い眠りについた。
「流石は神様こんな事も出来るんだな」
「一種の魔法の一つなのじゃよ」
決心はついている。あとは前に進むだけだ。俺は失わない失えない。こいつはずっと俺の側にいる。だから
「俺にできるだけの償いをしたいと思っている。お前の力を貸してほしい。対価といったらおかしいがお前は決して一人にはならない俺がいるから」
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「思えばわらわはずっと一人じゃった。一人の人間を愛することが出来るだけでもうそれだけで十分じゃよ」
次回、2人の決断に理人はどう答えるのか?その結末をしかと見てください




