70.5話 奈落の底へ
「改めて見ると恐ろしい景色だな」
粂盤は大穴が開いた海上を見つめる。
「ああ、こんなもん核兵器を使っても作り出せないレベルの芸当だぜ」
粂盤と新田は大穴があいた海域に来ていた。
「今二人はまだ琉球にいるのか?」
「例の少女の件もあるちゃんとした情報が確定したらちゃんと報告するとの事だ」
「しかしだ万が一のことを考えてある程度の規模の部隊を率いてきたのは正解だったな。まさかロシアの連中までもが監視しに来るとは」
「こちらの部隊とあちらの部隊がにらみ合い始めてからもうどれくらいたったか?」
「ざっと5時間ぐらいは立ったと思うぜ」
大穴が開いた海上を巡って世界中の国々が騒ぎ始めた。
特にここ最近ではロシアが睨みを利かせ始め度々自衛隊と軍事的な衝突が何度も起き始めて来た。
日本が核兵器を使用した。
ロシアはそう疑った。
でなければこれほどの未知なる現象はおきようがない。かの国はそう声明を出した。
「言っとくが俺たちの部隊は今回の国同士のにらみ合いとは無関係だぜ。あくまであの大穴の観察と視察だ」
「解ってはいるがあちらはそうは見てくれないだろう。強襲揚陸艦クラスの物が数艦ほど確認できるあちらは本気だ」
ざーざー!!
新田が手に持っているレシーバーからノイズの音ともに少女の声が流れる
ビービー!!ざざー!
「あーもしもしこちらミィル聞こえる?」
「ミィルか?甘夏目もいるんだな?」
「あー私もいるぞ」
「それで収穫は?」
「やはり彼女の痕跡は何一つ残されていなかった遺体も装置も見つからなかった装置を使わずにあちら側の世界へ物理的にわたったとしか考えられない」
「つまりこの大穴から落ちて?」
「いや島ごと一緒に行ったというのが正解か?」
「とりあえずだけど今現在の現状の整理と確認をするね」
ミィルはレシーバー越しに説明し始める
「えーとこれから私と甘夏目はこの大穴に物理的に入れるか直接ヘリに乗って大穴の中に入ります。」
「え...え...直接ヘリではいるってか?」
「大穴の空間は計算してみたらざっくりと見て数10キロ以上の範囲がある直接ヘリで入る事に関しては全く問題はないわ」
「本当に大丈夫なのか?」
「あんたたちがあのロシア軍をきっちり見張っててくれればとりあえず問題はないわよ」
「ミィルそろそろ大穴の中心付近に到達する。下降を開始するが問題はないな?」
「了解。海水にだけは気を付けてね。万が一の場合このまま落っこちるなんて御免だからね」
甘夏目とミィルはヘリで大穴の中に侵入し内部がどうなっているか観察する。
まるで滝の用に海水が穴に目掛けて流れ込んでいる穴の底はまるで底なしの様にどこまでも続き暗闇につつまれ底が見えない。
「別の世界に繋がるゲート。そう言ったほうがしっくりくるな。ミィル、そろそろ予定した位置に到達する。観測装置を落としてくれ」
「ん~いよいよ実態そのものが明らかになるときが来たね~」
ミィルは観測装置をヘリから落とした
「ミィルまったく緊張感がないね」
「だって緊張しても仕方ないじゃん。さ!このデーターを解説したらいよいよ真相の一つが明らかになるよ」
「これが解析出来たらいよいよあちらの世界に向けて旅立つ準備だよ」
「ミィル!!甘...ビーザザーー!!」
「ミィル!!通信が!!」
「あれま空間が不安定で通信そのものが不安定になっているようね」
「どうする?」
「どうやらこれ以上の下降は無理そうね」
これ以上の詮索を断念した二人は地上に戻る事にする。
甘夏目は微かにだか穴の底から光のような物を目視した
この時彼は本当にこの空間が別世界に繋がっていることに確信したのであった