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Never Island  作者: 阿久津ゆう
5章 島の守り神
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69話 愛する人へ

 寒緋桜(かんひざくら)・裏月。かつて祖父が、爺ちゃんが大切にしていた日本刀だ。戦時中あの人はこの愛刀を使い戦っていた。この刀を手にする者はアニマを増幅させ協力な力を発言させる。そして他者のアニマを感じ取りその人物の記憶などをよみとることも可能にすることが出来る。


 刀そのものにも増大なアニマが宿りそう言った現象を可能にする。まるで妖刀のような作用を引き起こす。

爺ちゃんが生きていた頃に聞いた話だ。


 この刀ならば封魔陣衛を展開させるための爆大な魔力を刀に宿っているアニマを代わりに消費する事で封魔陣衛を展開させることが可能が可能かもしれない


 でもなぜこの世界に爺ちゃんの愛刀が?

理人は寒緋桜・裏月を手にするとまばゆい光が花火のように飛び散る

「なんだこれは?」

まるでこれは........

これは...この暖かくて懐かしい心地の良い気持ち。


 この暖かい感触......この「アニマ」は.....あの日自らの手から離れて行った愛しい妹のものだ。

「なぜ?この刀に美香のアニマが?」


 理人は無数に散らばる光の玉を触れる

「どうしてアニマだけが?体はどうしたというんだ?」


 無数に散らばらり浮遊する光の玉、その玉はまるでビー玉のようだ。理人はその光の玉を触れる。

理人は光の玉を触れた瞬間、脳裏にノイズが走ると共に誰ともわからない「誰か」の記憶が映像の様に流れ始める。


「掃除、手伝いに来たぜ」


「ありがとう、何から何まで」


「お前のお兄さんもうすぐこの島に着くんだろ?到着するまでに掃除済ませたほうが良いだろ?」


「お兄さんとはどれくらい会ってないんだ?」


「2年程度かな?でもあの人にとっては....」


「あら、よく来たわね隆太」


「ここがその部屋だよ手伝ってくれるならちゃっちゃと済ませておくれ」


「なんだ、開かずの間と言われていたから何かもっとカビだらけになっていたりマックロクロスケみたいなのが出てくると思ってたら割と普通じゃん」


「何を言ってんだいあんたは.......、一応言っておくがけして地下室にはいくんじゃないよ」


「この部屋をあいつのお兄さんが使うのか」


「お兄さんてどんな人なんだ」


「どんな人って?そりゃ~私の事が誰よりも大好きな人(笑)」


「写真とかないのか?」


「写真とかもそうだけど元々自分がもってきたものは全てあの「場所」に置いてきたから何も残ってはないんだよね」


「日本に住んでいたんだよな?何も持ってこなかったのか?」


「ま~手続きとか面倒だったからね...何も持ってきてないかな。別れ際が.....あんなだったし」


「本当はもっと一緒にいたかった。だけどそれが出来なかった私には......」


「私にとっては2年間とあの人時間は重みが違うんだ...だからこれからは出来るだけ側にいてあげたい。」


 そうかこれはあいつの記憶の........

ああ......久しぶりに見るなこいつの顔....懐かしいな。


 浮遊する光の玉がはじけて消えていく。


 「ま...まってくれ....もっとあいつの顔....消えないで...」

一つ一つはじけて消えていく。

だめだ!!だめだ!!!消えないでくれ!!!

光の玉が一つ一つと消えていく


 「待って..待ってくれ.......」

「消えないでくれ!!これはあいつの..あいつの!!!俺を一人にしないで!!!」


 全ての光の玉が消え失せ後には日本刀が地面に突き刺さっている


  「理人君!!」「理人さん!!!」

気づけばユウキと美亜がいつの間にか側にいた。二人は心配そうな顔で俺の顔を見ている。


 「...どこから見ていたんだ?」


 「ごめん、多分僕も美亜ちゃんもほとんど最初から見ていたと思う」


 「そうか......心配かけてすまない」

理人は地面に突き刺さった日本刀を手にする。


 「あの子が理人君の?」


 「ああ...俺の妹だ」


 「理人君.....」

 

 この世界は...俺たちが望んだ場所ではなかったのかもしれない

例え人生をやり直せてもあいつを見つけ出すことが出来たとしても。またあいつに会えたとしても。

俺の記憶に残っている

 

 あいつの死顔を見ている。あいつの冷たくなった顔、手、体。

俺は何も出来なかった。守るも事も助ける事も。


 「この世界でも俺はまた同じ過ちを繰り返してしまった。俺はあいつを守れなかった」


 「そんな事は無いよ。君の妹はきっとどこかで生きてるよ」

ユウキは理人に向けて手を差し伸べる。


 「僕たちの世界に来たことが無駄だったなんて言わないで!だって君たちはもうこの世界の人間なのだから!」

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現実世界〔恋愛〕
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