68話 時間の流れ重み
「掃除、手伝いに来たぜ」
その日、隆太は殆ど手入れが行きとどまっていなかった開かずの間の部屋の掃除の手伝いをするために屋敷に来ていた。
「ありがとう、何から何まで」
「お前のお兄さんもうすぐこの島に着くんだろ?到着するまでに掃除済ませたほうが良いだろ?」
俺はこいつの兄と友達なれるんではないかとほのかな期待をしていた。
「お兄さんとはどれくらい会ってないんだ?」
「2年程度かな?でもあの人にとっては....」
そういうと美香はクスっとはにかむ様に笑った。
「あら、よく来たわね隆太」
婆さん.....この時はまだあんなに元気だったのに.....
俺は開かずの間の部屋まで案内された
「ここがその部屋だよ手伝ってくれるならちゃっちゃと済ませておくれ」
「なんだ、開かずの間と言われていたから何かもっとカビだらけになっていたりマックロクロスケみたいなのが出てくると思ってたら割と普通じゃん」
「何を言ってんだいあんたは.......、一応言っておくがけして地下室にはいくんじゃないよ」
そういうと婆さんは自分の部屋に戻っていった
「この部屋をあいつのお兄さんが使うのか」
こん時の俺はまだ見ぬあいつの兄への妄想をふくまらせていた。
俺には同年代の同性の友達がいないんだ。
一通り掃除を終わらせた。ちょうど昼の1時頃を過ぎた頃だった。
美香と2人で昼食を食べた......何を食べたかは....忘れた...。
「お兄さんてどんな人なんだ」
「どんな人って?そりゃ~私の事が誰よりも大好きな人(笑)」
これたぶん本音で言ってたんだよな多分
「写真とかないのか?」
「写真とかもそうだけど元々自分がもってきたものは全てあの「場所」に置いてきたから何も残ってはないんだよね」
「日本に住んでいたんだよな?何も持ってこなかったのか?」
「ま~手続きとか面倒だったからね...何も持ってきてないかな。別れ際が.....あんなだったし」
この時のあいつの顔は..確かに悲しみの表情が見えた
「本当はもっと一緒にいたかった。だけどそれが出来なかった私には......」
元いた世界であいつに何があったのかは俺にはわからない。だけど凄く辛くて悲しい事が起きていたのは今の俺なら理解できる
「私にとっては2年間とあの人時間は重みが違うんだ...だからこれからは出来るだけ側にいてあげたい。」
35年間だろ.......35年...兄ちゃんはあいつとの再会を待ったんだろ?
母さん.....俺どうしたらいいんだ?
彼は隆太は過去の出来事を美香との会話を思い出していた。
そして自問自答を繰り返した。
あの日、自分がどんな無茶をしてでも屋敷に行っていれば......
「隆太、しっかりするなのぜ!!隆太!!!」
ラピズは必死に隆太に呼び掛ける。
「ラピズ?....」
「しっかりするなのぜ!!まるで隆太の目は死んだ魚のような眼をしているなのぜ!」
「ああ...そうはなるだろうぜ.....」
俺は.....友達になれると思ったんだ兄ちゃんと。
でも......。




