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Never Island  作者: 阿久津ゆう
5章 島の守り神
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66話 それぞれの思惑

「なあ、これが本当なら理人の兄ちゃんも....」


 「おそらくは想像通りだと思うのじゃよ」

よく見たらラピズの狐耳が垂れ下がっている。


 無理もないよなこんな物見た後じゃな。

しかしだ俺たちがこの真相を知ったことをなるべく早く兄ちゃんに伝えないといけないな。


 隆太の頭の中は憶測ながらもいろいろ考え込んでいた。

なら美亜もこのグロウシステムとやらを使って俺たちの世界に来たのか?にしてもいろいろと不自然なところがある。あいつはあの屋敷の地下室でコールドスリープされていたんたぜ?やっぱ元々俺たちと同じこの世界の人間なんじゃないか?


 いや...おかしいよそんなの。だってあの二人は見た目そのまま瓜二つじゃないか?それにだ兄ちゃんと美香は血のつながった兄妹でありながら「そう言った関係」だった。兄ちゃんは美亜を美香の代わりにして傷ついた心の隙間を埋めるようなことをしている。

 それにだあいつの戸籍は間違いなく婆さんの養子だもし万が一あの二人の妹だとしてなんでこの世界で婆さんの義理娘に仕立て上げるんだ?ちょっと想像できないぞ?兄ちゃんの性格からして妹の妹に乗り換えるなんて事はあり得ないだろ?


 兄ちゃんと美香の関係だってそんなにおかしなものではなかったことがこれで理解できるしもし万が一美亜が二人の妹か何かだったとしたら尚更今のあの二人の関係がおかしいことになる。


 「隆太よ多分、いまわらわとお主は同じことを想像していると思うのじゃ、だから一応いっておく。美亜という者はガーボンヒューマンなのじゃろう?そうなると二人には血縁関係がある可能性はありえないのじゃよ」


 こいつの言うとおりだそうなるとやはりこの二人は本当に偶然にも見た目そっくりのうり二つの存在ということになる。


 婆さんと美香の記録の資料を見て思う所があった。

この用紙に書かれている二人の年齢がシステムを使ったときの年齢がしっかりと記載されている。なら兄ちゃんはどれくらいの年齢でシステムを介してこの世界に来たんだ?美香の元の年齢と今現在の年齢は数年程度の差異が確かにある。


 ............................


 隆太は理人が美香の事になると何度も周りの人間に見せたあの悲しげな表情の顔が脳裏に色濃く浮かび始めた。


 何となくだが隆太はわかったような気がした。


 もしかしたら兄ちゃんは俺たちでは想像できないくらいの期間、美香と離ればなれになっていたのではないか?


 ...............

隆太は二枚の用紙を見て今度は理緒の事を考えていた。


 どうしてだがわからないが多分あいつは何かのきっかけで婆さんが残したこのシステムの資料と二人の記録を見つけちまった。憶測だがこの真相を調べるためにユウキが数年間滞在していたという研究室を調べに行っていたのではないか?


 俺...最低だ....。兄ちゃんの事も理緒の事も何も知らず何も考えずに疑っていた。

「だぁー...もう!!!」


 隆太は自身の髪をわしゃわしゃとかきむしゃる。そして手に持っていた二人の記録の用紙とシステムの資料を黙ってリュックサックの中に元の位置に戻した。


 「おい!こいつを見ちまったことは正直に話してちゃんと謝るぞ?それでいいな?」


 「もちろんなのじゃ、わらわは理緒の事を信じるのじゃ」


 「あいつ公園区画に行ったんだよな?俺たちも行こうぜ」


-------------------------------------------------------------------


  パチパチカチャカチャ.....

 .................

「彼女」はどこかの研究所のような場所でパソコンを操作しデーターを回覧している。


  阿久津 那智 システム使用年齢時75歳 2009/7/25

  阿久津 美香 システム使用年齢時15歳 2011/03/11


 ...............。


 何故彼は転移時期がづれた?これは誰の干渉によるものか?私は何度も疑問に思った。

彼は那智が美香に渡したデーターを元にこちらに転移してきた。本来なら。彼女が行方不明になる前に転移していたはず。


 あの時期に磁気嵐による異常なオーロラが観測されていた。

彼の転移時期のズレはそれが原因か?なんにせよ監視の対象が理人に移った以上彼からは目を離すことは出来ない。


 しかしだ。ここの所奇妙な事件が多発し始めている。

「島の守護の損失」

そして守護神の少女と契約 


 そしてあのまるでそっくりそのままコピーしたようなあの少女.......


----------------------------------------------------------

 場面は戻って再びヒュポレボレアス宮廷


「彼を不幸にさせてしまったのは紛れもなく私たちだ。彼...いや彼らにはこの国の命運など関係ない。完全な被害者だ」


 ミディールは宮廷の真ん中で議員たちに向け問いかける。

「彼が滅びを望むならそれをあえて受け入れるのが筋なのかもしれないわね。」


 「そんな話、国民たちが納得するはずがなかろうが、そもそも国の命運を若の一存に任せる事自体が間違いであったのだ。国が滅んでも若を含む国民たちを生き延びさせる方法を考えるべきだ。


 「あんた、本気で今、本心でそのセリフをその口から吐き出したのかしら?」

ミディールはビ!と人差し指を男性の老人議員つきだした。


 「何を言っている!!!若とお嬢様は那智様が二人の気持ちを察してこの地に呼び寄せた。なのにこのような結果になってしまった。お嬢様が行方不明になったのは明かに警護ミスだ。取り返しのつかない事を我々はしてしまったのだ。しかしだからと言って国が滅んでいいわけがない!!我々に出来るのは若にたいしての精神生命。善意を込めた心のケアだ。」


 「あんたたち議員は美亜が行方不明になったときにもまったくと言っていいほどなにも行動を出さなかったどころか美香の時と同じ二の舞を踏んでいたそんなあんたたちの口からどの面下げてそんな言葉が吐き出せる!!!」


 「いいや我々議員はあの時はちゃんと警護隊に美亜様を探させた!!まさかあの屋敷の地下室のなかでコールドスリープされていたとは予想にもしなかった!!大体あれは那智様がいず的にやったことなのであろう?」


 「なるほど...あなた達は本当に何も知らないようね...市長そろそろかしら...」


「ミディール。君は一体何を言っているのかね?」


 「私はあんたたちがある「真実」をしっているのか知らないのかをあえて見極めるためにあえてこのやりとりを仕向けたのよ。市長、例の資料を彼らにお願い。」


 ざわざわ...


 資料がいきわたり議員たちはそれを目にする....


 「君、さすがにこれは酷いすぎる冗談ではないのかね?」


 「彼女の両親があの「二人」だと冗談はやめたまえ。あり得るはずもなかろうが?」


 「そう言われると思ったので「彼女の」DNAのデーターと「2人」のDNAの情報も資料をもってきたわ」


 さらに追加で資料が議員たちにわたされる....


 「これ...何かの間違いではないのか?」


 「しかしだこれは現実的にあり得ないだろう?」


 「美亜様は確かにあくまで義理の養子で阿久津家とはもともと関わりがないはず...」


 「しかし、よくよく考えてみればこの二人は「うり二つだ...」


 「君は何故このタイミングでこの話しをもちだしたのだ?」



 ..........................


 ほんの一瞬だがミディールは一瞬間をあけて話し出す


 「私はこの場にこの情報を知る者がいないかあぶり出したかった。少しでもおかしな態度と表情を見せた奴がそいつが「黒」だ現状いまもあの子は行方不明。何かの手掛かりとなりうる情報と言えば現段階ではこれしかないのよ。それにね.....」









 




 「今のこの惨状では国の形を維持するなんて到底無理。私はそれを白黒つけ測らせるためにこの話を利用させてもらった」

 

 「この情報は本物なのか?」


 「もちろんの事よ」


 「君は一体何をしたいのかね?」


 「私は私なりのやり方で責任を取りたいと思っているそれだけよ」


 「この情報が二人にばれたらどうするつもりだい?」


 -------------------------。


 「貴方たちは責任の取り方を学ぶべきだ」

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現実世界〔恋愛〕
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