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Never Island  作者: 阿久津ゆう
5章 島の守り神
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65話 本音

 「随分とバカにしてくれたものだ」

理人は議員たちに怒りを込めて言葉を吐き出す


 「恨まないだと?」

理人は周りの人間を見回し睨みつける。


 「恨んでいるのかだと?」

彼は力いっぱい拳を握りしめる


 「取り返しのつかないことをしてしまっただと?」

ミディールやユウキ、兌夫、そして議員たちの目にはまるで理人の顔は復讐鬼に染まるような形相にも見えた。

 「俺は一度あいつの死顔を見ている。あいつの冷たくなった顔、手、体。あの感触はこの世界に転移した後も色濃く残っている意識に付着している。」

 「あいつは一度「死」を体験しなければ生きられないだからあの装置を使う事。あいつは迷うことなくそれを選んだ。もっと生きたいから。いろんな物を体験したいから。俺はこの世界にきてあの屋敷のあいつの部屋を見た。この島の人たちと友達と笑いながら映っている写真が飾られていた。俺はあの写真を見た時こう思ったよ」


 理人は少し間を開けたのちに再び話し出す。


 「あいつはこの島の人たちに愛されているのだと」

「あいつはあの時、最期の瞬間何て言ったと思う?」


 (「私はお兄ちゃんと同じ時を過ごす」)

 (「そのためにほんの少しのお別れです」)


「俺は思ったよ。この世界で良かったと。心の底からな」

理人は恨みつらみを吐き出していく。


 「あんたたちはこんな事を言うとは...本当に俺たちは裏切られたよ。あいつの気持ちをあんたたちはバカにするってのか?」

「あいつの苦しみも、俺にとっての35年の苦労もこれで全て無駄になるというのか?終わりを迎えるというのか?」」

「あいつは、少なくともあんたたちと供に歩んで行きたいと思っていた。その気持ちをお前たちは.......裏切ろうっていうのか?」


 理人は頭を抱えむ

 

 「随分と俺たちの気持ちを安っぽく見てくれだな」


 理人はバン!!!!と机をたたき立ち上がる

 

 「このような茶番...もう沢山だ。そんなに滅びたければ好きにすればいい。」

理人はそういうと歩き出し寺院から立ち去っていく


 「理人君!!まってよ!!!」


 「理人さん!!!」

ユウキと美亜は一目散に彼を追いかけていく。


 彼らが寺院から立ち去った後。ミディールや兌夫、そして議員たちの間に激しい言い争いが繰り広げられた。


--------------------------------------------------------------------------------------


一方その頃......同時刻、隆太 理緒 ラピズ達は....


 「うーむ....不思議な感覚だこの現象は」

隆太は力いっぱい力みながら歩こうとするがどうやっても前に進まない。


 「むぎぎぎぎ!!!!」

まるで見えない壁が遮っているような感覚だ。どうやっても俺たちは一定の距離から離れられない。


 あれから俺たちは呪印をそのままにした状態でなんとお互い離れられないか試行錯誤を繰り返していた


 「ぬぎぎぎ...」


 「ぐぬぬぬ」

2人の顔は歪に引き攣っている。


 「やっぱりこんな事しても時間の無駄なのじゃよ...」


 「やはり物理的に解決することは無理だったか..クソ!!」


 「ねえ思ったんだけどこの現象の解決の糸口というか手掛かりが何となくだけど思いついたんだけど」

理緒の話ではこういう事だ......


 ユウキがミナをホムンクルスとして蘇生させるために5年の月日を過ごしたあの研究室に何か手掛かりがあるのではないかという事だ。


 そういえば俺と兄ちゃんがあの研究室に行ったとき機械や装置のほかに本棚に本がずらりと並んでた。

しかし現在シェルターからの外出は禁止の状態である。あの研究室にはいきたくても行けない状態だ


「そんなこともあろうかとあの後あの研究室からラピズちゃんに関わりそうな本をもってきたんだ。なにかしらの手掛かりになるといいいんだけどね」


 理緒のやつめ......あの後の絶った数日間でよくこんな芸当が出来たものだ。


 理緒はリュックサックをさかさまにしてテーブルに本を落としていく。中には紙に文字書きしたものまで落ちて来た。


 「おまえあの数日間でいったい何やってたんだよ」

 

 「あなたたち二人の問題だけじゃなくて理人君と美香ちゃんの問題だってあるんだからこれぐらいのことはしないと駄目でしょ」


 あかん全くその通りだ俺は自分たちの事しか考えてなかった。よく考えてみればこいつの言ってることも行動の仕方ってもんも割とまともではないか。いったい俺は何考えてたんだ。

 

 「...んーむ...」

隆太はテーブルに置かれた本を適当に1つ選んで題名を見る。


 『ホムンクルス整体作成古文禄』

こいつあの二人の事も気にかけていたのかよ。........なんか自分が恥ずかしいぜ

 隆太は他の本にも手を出してみる


 『人型人口生命体ガーボンヒューマン誕生議事録』

ざわ.........


 こ....これはあいつまさか美亜のことまで......こいつはいったい何処まで....


 「どうしたのじゃ?隆太顔色悪いのじゃよ?」

ラピズは隆太の顔色を見て異変に気が付いたようである。


 「どうしたの?隆太ッち?」

理緒はいつものようにあざとらしい表情を隆太にみせ笑顔を見せる。

しかしながらその表情が何かいつもとは全く違うものを感じた。


 「あ、ごめんシェルターの公園区画に学校のみんなが来てるらしいから私ちょっと行ってくるね」


 .............。


 理緒はそういうと出かけて行ってしまった。


 「どうしたのじゃ?なんかおかしいなのじゃよ?」


 「なあ、おまえはあいつがこんな禁書みたいなものをもっててなんかおかしいとは思わないか?」


 「たしかに理緒にしては何かちょっとおかしいというか黒いものを感じるのじゃよ」

2人はとっさに理緒がもってきたリュックサックを凝視する。


 ダメだとはわかっているが二人はリュックサックの中を探ってしまった。

中には相当昔の物と思われる紙が何枚も入っていた。

何だこれは?明らかにあいつがもっているような品物ではないぞ?


 何かの資料のような感じがする。


 『グロウベルグシステム』と書かれた資料だ。

2人は無言で資料を読んで行く。

 (この字ってまさかあの婆さんの時では?...)


 人類の故郷、地球、「マザーエルサレム」その誕生から長い年月が過ぎ人類は人の人生は100年が基本と言われるようになり80歳が還暦となる時代に突入した。この間では我々の住む星、マザーエルサレムはいずれ食糧問題や人口爆発による問題で人類は種としての問題として息詰まる事となる。そしてそれを解決させるために立ち上げられたのがプロジェクトグロウベルグである。還暦を過ぎた人間を脳に電脳世界につなげ仮想世界に魂とアニマを一時的にダイブさせた後仮想世界上で新たな肉体を作成させ別の世界に転移させ新たな人生を歩みさせる。このシステムをグロウベルクシステムとなずける。なおこのシステムは終末医療プログラムとして余命を宣告された患者にたいしては無償で提供するものとする。


 な......なんだこれは婆さんが残した資料を何故あいつがもってんだ?

しかもこんな壮大なプロジェクト聞いたことがない。凍結でもされたのか?


 リュックサックから2枚の用紙がふらふら~と床に落ち隆太はそれを手に取るとその場で二人はその用紙を目にする。


 阿久津 那智 システム使用年齢時75歳 2009/7/25

 阿久津 美香 システム使用年齢時15歳 2011/03/11


 




え?...........................

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現実世界〔恋愛〕
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