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Never Island  作者: 阿久津ゆう
5章 島の守り神
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64話 決断の時へ

----ヒュポレボレアス宮廷----

 理人の命令により国会の議員たちは宮廷に召集された。


 「つまり封魔陣衛はこのOSをどうにかしない限りまた同じことがいづれ何度も起きるということですか?」

1人の議員が理人に問いかける。


 理人は今現在、封魔陣衛に関わるすべての問題を招集された議員たちに説明した。


 「このwindows VistaというOSは聞いたこともない品物だ。今現在、主流となっているOSはXPだ。そもそも ポート終了日が2012年4月10日となっておりPCの表示されている年代は2095年が表示されているこれは一体どういうことですか?」


 別の議員のが理人に説明を求めた来た


 もはやここが限界だろう。どちらにせよ隠し通し続けるのは不可能だ。

「皆、ここから私が話す事は嘘偽りもなく真実の話だ。どうか落ち着いて聞いてほしい。」


ざわ!


 周囲に重苦しい空気がただよい始める


 「何から話せばいいか?そうだなこの国の成り立ちから説明しなければならないか?」

これを話さなければ全ての因果関係に説明がつかない。避けては通れないのだ


 「ある人物が何十年も前にこの島に現れ理と知恵、そして様々な技術の力を使い人々を導きやがてその人物は賢者と呼ばれるようになった。その人物こそが私の祖母が阿久津那智だ」

「しかしながら皆は賢者阿久津那智がどこで生まれどこから来たのかは知らない。ここから私が話す事は途方もなく現実離れした話だ。」


 覚悟は出来ている。理人は一呼吸ついた後に再び話し出す。


 「結論から言おう祖母、阿久津那智そして彼女の義理娘の美亜そして私は、私たちはこの世界の人間ではない。あるシステムを介してこの世界とは別の世界線。並行世界から転移してきた。祖母が元いた世界からこの世界に転移してきたことがこの国の始まりでもあるのだ」


 理人は引き続き説明を続けようとする

ざわ!!!


 議員一同は顔色を曇らせざわつき始める

そして兌夫市長はついに革新を突く発言をする


 「そ..それではこ...このこのwindows VistaというOSはあなた達が元いた世界で使われていたOSということですか」


 この問いに対し理人は迷いもなく答えを彼らに切り出す


 「まったくもってその通りだ。しかしながらこのOSは私の時間の感覚からして相当古いものだ。それでもこの世界の文明のレベルからしてオーバーテクノロジーに値する品物だ。」


 兌夫市長は理人に対し更に質問をしていく。

「あなたの感覚からしてこのOSは過ぎ去った品物という感覚をお持ちのようだがあなたは一体今我々が生きるこの時代からからしてあなたが元いた世界の基準からしてどれくらい先の時代からこの世界の時代に飛んできたのですか?」


 市長のその問い方には間違いがある。たしかにこの世界の現在の時間からして俺が元いた世界。転移する直前の時間は35年も差がある。しかし「この世界」と「あちら」の世界は別の可能性を辿った並行世界。市長のこの問いに対し正確に答えるのはかなり難しいものがある。


 仕方がないので1から全て説明することにした

「兌夫市長のその問いにはいささか説明することが難しいものがある。なので皆がわかるように一つずつ説明していこうと思う。」

 「私が元いた「あちら」の世界と今我々がいる「こちら」の世界は別の可能性を辿った並行世界。なので市長の言う「どれくらい先の時代から来たのか?」という答えは正直言って答えることが難しい。」

 「しかしながら物理的に計算してしまえばこの世界の今現在の時間と私が元いた世界、転移する直前の時間は40年以上も差がある。」


 「あなたは一体何のためにこの世界にやって来たのですか?」


.............


 理人は首を傾げしばらく考え込む。

周囲は静まりしばらくの間凍り付くような時間が続く。無理もない現実的にありえない話だ


 「ここまで話してしまったのだからもう隠し通す事は不可能だわ。どのみち私たちはあなたの力と知識がなければ滅びの道を選ぶしかないの。貴方がどんな真実を話したとしても誰もあなたの敵にはならないわ。だから全部話して頂戴」


 ミディールのその言葉に長く続いた沈黙の時間が破られた


 「私...。いや...俺がこの世界に来たのは妹との約束を守るためだ」

自分がこの世界に来るまでの過程を説明し始める。


 「美香ちゃんの事ね」

ミディールはそう言うと下を向き暗い表情を周囲に見せる


 「美香はあちらの世界では幼い頃から身体が弱く最終的には白血病に侵され余命半年を主治医から言い渡された。これが俺たちがこの世界に来るきっかけになった。......皮肉なことにね。」


 理人は終末医療プログラム「グロウベルグシステム」のすべての全容を彼らに打ち明けた。そして自分と美香はこのシステムを使いこの世界に転移してきたことを打ち明けた。


 「俺は美香がこちらの世界に転移してからあちらの世界で35年もの月日を一人で過ごしてきた。

ミディール、兌夫市長そしてそのばにいる議員たちは硬直した状態で青ざめた表情のまま理人の話を聞いている。

 

 「俺と美香には時間の流れ方に35年もの月日の差があるんだ。あいつにとっては俺と別れたのはつい数か月前の事だ。しかし俺にとってはあいつと別れたのは35年も前の事だ」


 理人は間を開けることなく彼らに説明し続ける

そして彼は........


 あの日起きた大災害「東北関東大震災」のその全容を彼らに説明した。

そしてその大災害が起きた数時間後に美香はこちらの世界に転移したことを彼らに語った。

 

 「そして俺は美香が転移してからちょうど34年の月日が過ぎた日に肺に腫瘍がある事がわかった。俗にいう肺ガンだ主治医から余命3か月を言い渡された。ガンの発見は遅かったため既に体全体に転移していた。既に施しようのない状態。ステージ5の状態であった。」


 「そしてあなた様はその終末医療プログラム「グロウベルグシステム」をつかいこの世界に転移してきたと?」


 理人は静かにこくりとうなずいた。


 兌夫市長は頭を抱えしばらく硬直する。周囲にデスクに座っている議員たちも同じように無表情で硬直している


 「....突拍子もないとても信じられない話だ」

1人の議員が重い口調で話した。


 「とても想像すらできない部分もあるけど僕は妹共々彼に救われた少なくとも彼は嘘をつくような人間ではないよ」


 理人はユウキの彼のその言葉に自分自身の心がちょっとだけ救われた。そんな気がした。

理人はこの世界に今起きている災厄の後にこの島にこの国に今回の災厄以上の危機が迫っていることを彼らに説明した。


 自分と妹が離ればなれになる直前に起きたあの黒き災いの歴史を呼んだ大災害がこの世界であの日あの時と同じ時間帯にこちらの世界で起きる事を。彼らに話した。


 老人の議員が重い口調で発言する。

「そんなバカな.....その災害はあくまで若が元いた世界で起きた災害でしょう?なぜこちらの世界でしかも同じ時間帯に全く同じものが起きるのですか?」


 ザワザワ......

室内にいる議員たちは取り乱し始める。


 「皆これを見てほしい。」

そういうと理人はパソコンを操作し巨大なスクリーンに映像を映し出す。


 「この位置を見てほしい。この赤く塗りつぶされている部分が活断層の歪が生じている部分だ。そしてこの歪が限界を達する日が2011年3月11だ。見ての通りこのデーターは見ての通り俺たちがいる世界で採取したものだ。」


 「今回のこの約災は...あくまで前哨戦だということですか?」


 「言い方が悪すぎるがある意味それで間違いはないだろうね」

理人のその言葉に議員たちは最悪な現実を叩きつけられた。


 「ふざけている......我々はたかが寒波の一つや二つで大事になっているのに......これは...あんまりだ」


 議員たちは再び黙り込み室内に重苦しい雰囲気を漂わす


 「若....私たちは....滅びるしかないのでしょうか?」

老人の議員が再び理人に話しかける


 「我々は美香様からいずれこの地に貴方様が来ることを告げられていました。あの御方は若との再会を楽しみにしていました。貴方の今までの話を聞いていれば嘘か誠かはっきりと分かります。これは真実なのでしょう」


 「そもそもいずれにせよこの活断層の歪が生じている部分はいずれ時間が経てばこの世界の文明レベルでも発見できる物だ。しかしそれでは遅すぎる」


 「若、もういいんですやめてください。」


 ................?


 「もういいんです。我々に尽くそうとしてくれているそのような態度をふるまうのは」


 .........................

何を言っているんだこの人は?


 「先ほども言いましたが美香様からいずれこの地に貴方様が来ることをここにいる皆が聞いていたと。」


 それは先ほども聞いた。あいつの事だ多分、歓迎パーティーでも開こうとでも思っていたのだろう。あいつらしいと言えばあいつらしいが......


 「あなたは.......なぜ平然としていられるんですか?......」


 何をいってる?.......んだ

.......


 「恨まないのですか?」


 いったい...何を


 「憎くないんですか?我々がこの地が」


 何...言ってんだ?


 「本当は我々の事を恨んでいるのでしょ?」

 

なぜ.....そんな事....

             何言ってんだこいつ......


「我々はあなたに助けてもらう権利などさらさらない」


 どうして....そんな......

                そんな事を言う

                       俺は一体...........


 「我々があなた達の大切な約束を引き裂いたも当然なのです」


 やめてくれ.....そんな事言うのは

                 聞きたくない

                        俺は.......

こんな...........

だって....どうしろと


 「あなたにとって意味のある35年間を壊してしまったのですよ?」


 やめろ......

やめてくれ......                 そんなんじゃないんだ

               俺は......


.......................................



...............................











                            ...................................







..........................










「これで私は他の世界で生きられるの?」


「ああ、そうだ」


理人と美香はグロウダイバーの説明と彼女が転移した後の説明をしている


「お前はこの装置を使って次の世界にわたってくれ俺も後から必ずそちらに向かう」


「お前の主治医から転移場所の座標は把握してもらうから後から合流は可能だ」

そういうと理人は病室から出ようとする。


「次の世界ですぐに会える?すぐ来てくれる?」

そういうと病室から出ようとする理人を止めようとする


「美香の意識的な体感ではすぐだと思うけど多分、俺はこの先こちらの世界で何十年も過ごすことになる。」


「たぶんお前は時間的な流れからあっという間の出来事だろうが俺は途方もない時間を過ごすことになると思う」


「仕方がない、こちらの世界とこれからお前が転移する世界の時間の流れは差がありすぎる」


「そんなの嫌だよ、私はギリギリまでこっちの世界で我慢するよ」


「大丈夫だ、俺はダイブした後にお前が転移した時間をもとに転移する。そうすれば問題ない」


「本当に?約束だからね?ちゃんとまってるからね?」


「ああ、約束だあちらの世界ですぐに会おう」

そういうと理人は美香の頭をなでる


「あのね?あっちの世界で話したいことがあるんだ、いまはどうしても話せない。でもきっとお兄ちゃんはびっくりする」


「いったい何を話すつもりだ(笑)まあいいさ楽しみにしているよ」


その後、理人は美香が就寝したことを確認すると自宅に帰宅しやり残した仕事を済ませるためノートパソコンを開き作業を始めた。


仕事の内容は軽いデスクワークの内容だそんなに難しくはない。てまどうこともない。さっさと終わらせてしまおう。美香との残り少ない時間を少しでも多く過ごそう。あいつにとってほんの一瞬だろうが俺はこれから先、何十年もあいつと離ればなれになるんだ。悔いのないようにするさ。


理人はいつの間にかソファーの上で眠ってしまっていた。気づいた時にはもう朝だ。

大所から「トントン」と音がするだれかが何かをしている。

美香だった彼女が朝食の仕度をしている。


 「おまえ...また病室から抜け出したのか?」

 

 「だって心配だから(笑」


 「この前も先生に怒られたばかりだろ?まったく...」


 理人はあきれた表情を浮かべながらもどこか安堵した表情を浮かべていた。

その後数日間は二人で好きな事をし好きなように生きた。


 病室で二人は最後の時間を迎える


 「大丈夫、すぐ会えるさ」


そう言うと理人は美香の手を握る


 「私はお兄ちゃんと同じ時を過ごす」


 「そのためにほんの少しのお別れです」


美香は力いっぱい笑顔を理人に見せた。


 そして美香は眠りにつき次の世界に行ってしまった。


 「こんなもの必要ないさ、美香は別の世界で生きているのだから」


理人は美香のお墓の前で墓石の名前を見つめしばらくただずんでいた。

























俺は前回の人生は失敗した。


 普通な人生を生きようとした。


好きでもない人と結婚した。


そうすることで自分は普通な人だと周りに見せようとした。


 普通の家庭を持とうとした。それが普通だと思ったからだ。


 だけど子供ができたとたんにその普通は「壊れた」


俺の妻となった女性もまた俺と同じだった。


周りに普通の自分を演じるために互いに利用し合っていただけだった。




 この時俺はこう思った。




ああ...この家庭は所詮は形だけだった。




 そして俺は逃げた。


 逃げ続けた。




そもそも俺は恋というものを知らなかった。
































 「俺はあいつは生きていると思ってる。誰もあいつが死んだところなんて見てないんだからよどこにいるかはわからないが公に出てこれない理由があるんではないかと俺はそう思ってる。」


 隆太はただ淡々と話し続ける


 「あいつはお前と再会するのを何よりも楽しみにしていたんだ。だから絶対に死なないし死ぬはずがないと思ってる。あくまでこれは俺の気持ちだがな」


 「そうだろ?兄ちゃんよ」













































 「我々はあなた。いや、あなた達に取り返しのつかないことをしてしまった。」


 違う!!!違うんだ!俺は...俺は...


 「それじゃ......どうすりしゃいいんだよ....」


 「若.........」


 「ここで俺は何もしなかったら...俺は........おれ......」

理人の目から大粒の涙が滴れ落ちる


 「若.......................」


 「もう...もう胸張ってあいつに顔を会わすことが出来ないじゃないか.....」

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現実世界〔恋愛〕
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