63話 サポートが終了していたOS
あの人が到達できなかった領域はこれから俺たち二人は挑むことになる。
このシステムは直すだけではダメだ。今後の起きる災害。来るべき災厄に対抗するための手段として完成させることがこの島...いやこの国の未来を守る事になるのだ
システムを介して封魔陣衛の破損状況をふたりは確認する。
やはり壊れたのではなく魔力切れだ。その魔力の原動力となっていたのが婆ちゃんのアニマを原動力として発生させていた。ここの部分が問題だ
あの人は自身のアニマの一部をこの装置に一つのシステムとして組みこみ永久持続的に魔力を発生させ封魔陣衛へ魔力を供給していたのだ。
破損はしていない。魔力の供給が止まりシールドが消滅してしまった。
なぜこんな事になってしまった。
俺はシステムを管理していたPC端末を調べることにした。
このPCは.....間違いない俺が元いたあの世界の物だ..........
PCその者にはこの世界の時間ではなく元となった世界の時間が反映されているようだ。
ちょっと待てよ?この世界の時間ではなくあの世界の時間にPCのOS自体に反映されていたら?......
OSのバージョンアップはどうなる?
そもそもこのOSはいつのものだ?
理人はPCのOSの型番を調べた
windows Vista ポート終了日:2012年4月10日
PCの表示されている年代は2095年が表示されていた。時間はこの世界の時間と同時刻を示されていた。
理人は背筋が凍った。
何だこれは。ちょっとまでwindows Vista サポート終了日:2012年4月10日 って俺が元いたあの世界ではもうとっくのとおにアップデートも終わっているじゃないか?つまりアップデートもされずにそのままこのOSを使い続けていたのか?しかもこの表示されている年代は?
このシステムは一体どれくらい前から稼働していたのだ?かなり大昔から稼働していたことになるぞ
それにだあの人は俺や美亜が転移してきた時期よりも途方もない大昔に転移してきたことになるではないか?
この表示されている年代からして計算してざっと70年も80年も前からあの人はこの世界にいたことになるではないか
システムそのものに使われていたOSはとっくのとおにアップデートがされない状態に陥ってしまった事でOSそのものに備わっていた自動修復プログラムが機能不全を起こしてしまった。
このOSをどうにかしない限り封魔陣衛の再起動は不可能だ。
しかも既にアップデートもされないOSと来た。更にだwindows Vista.....さすがは変人といわれたあの婆さんだとんでもないものを使ってくれた。.......この世界では確かに文明レベルからして相当高価な物ではあるだろうが.....
幸いなことに封魔陣衛を発生させる機体そのものはなんの損傷もなかったがその機体を起動させるための端末のPCのOSが完全に破損している。これではOSそのものの再インストールが必要となる。
こんな事になるのは想定済みだったのか再インストール用のCDが端末の前に置かれてあった。どこまで先を詠んでいたんだよあの人は
理人は端末にOSを再インストールするためのCDを入れPCを起動する。
windows Vistaの再インストールを開始しますか?→はい→再インストールには場合によっては数時間かかかりますがよろしいでしょうか?→はい
いたって簡単な操作だ。ここまでは順調だ再インストールし封魔陣衛の再起動に取り掛かるだけだ。
問題は山済みだOSを修復に成功してもwindows Vista自体のサポートが終了しておりアップデートがされないため自動修復プログラムが機能不全のままである。
「理人さんこれどうするつもりですか?」
美亜はPCの画面を見て理人に問いかける
「どうしろと言われてもOSそのもののサポートが終わっている以上さすがにこれはどうしようもないぞ」
「理..理人さんPCの画面を見てください!!」
「!」「!」
2人は画面を凝視し目を疑う
「現在の状況は.......2%......あと240時間.....役10日もかかるのかよ!!!!!」
「こ...これはいくら何でも時間がかかりすぎるのでは?」
問題はかかる時間だけではない。自動修復プログラムが機能しない以上いずれまたOSを再インストールし機体事再起動せざる得ない時期が来る。そうなるたびにこれだけの時間をかけるのは.........島が...国がもたない。国家そのものの存命の危機だ
やばいこれはどん詰まりだ。どうしたものか?いまこの世界にあるこの時点でのもっとも主流なOSとっかえてシステムそのものを上書きするか?そもそもこの世界で今使われているwindowsは何が使われているのだ?そ....そもそもwindowsそのものが存在するのか?
理人がこの疑問に思うことは仕方ない事だそもそも使われていたこのOS、Vistaは彼がいた世界ではもっとも使いづらくもっとも動作が重いOSとされていた品物だ
せめてXPにしろよ...(meの時とは状況が違うんだぞ)
「理人さん...心の声が駄々洩れ」
悩んでいても状況は変わらない。二人はミディールに今現在の現状を話したうえでこのOSの問題をどうするか話し合うことにした。
「いや~お二人さん随分と苦戦したようだね。それでどこの個所に問題があったのかな?」
この人はあいかわらずお気楽というか余裕を感じさせる雰囲気を漂わせてくる。
これも大人というべき対応の一つの行動からくるものだからだろうか?
今の所、彼女ミディールは俺や美亜が時間からして何十年も未来の世界からこの世界の時間線に並行世界に転移する形でやって来たことを知る唯一の人物である。事実この世界の時間線と元々いた俺たちがいたあの世界の時間線とは繋がりその者が存在しないのだ。
国の政治を担う議員たちは今だにこの事実を知る者はいない。国を立ち上げた一族が他の世界から。しかも並行世界から転移してきた者たちであることなどが判明したらそれこそ議員どころか議会そのものが大混乱に陥るのは言うまでもない。
しかしそんな事を言っている暇ではない。現状、国家元首として正当な後継者と発言権を持っているのは俺と美亜だけ。しかもこのようなじゃじゃ馬な品物をどうにかできるのは多分この国では今の所俺しかいない。
覚悟を決める時が今来たのかもしれない。
「ミディールさん聞いてくれ」
意を決し自身の胸の内処をミディールにはなしだす理人。
「俺は、この場所がこの島がこの国が好きだ。みんなと過ごしてきた時間。何てことはない普通な日々。俺は無くしたくはない。」
「言ってることはわかるよ。それでも理屈ではどうにもならない事がある」
「時間はかかるがこのシステムをどうにかすることは出来る。だけどあまりにも時間がかかりすぎるんだ。それに」
「俺はただ自分の力だけで解決するのは何か間違っているような気がするんだ。俺の、自分の素性をあかした上でどうにかしたいと思うんだ。
「議員の人たちに話すつもり?」
「彼らは婆ちゃんや俺や美亜、そして美香がほかの世界(並行世界)からこの世界に転移してきた事を知らない。しかもそのような人間がこの国を立ち上げたという事実すらも」
「彼らがその事実を受け入れなかったらどうするつもり?」
「彼らが示す相応の裁きに従うつもりだ。本来ならば俺たちはこの世界には存在すらしないのだから」
「あなたがどうこう言ってもこの国が亡びの運命に立ち向かう術をそのものをもっているのはあなた自身であることに変わりはない。その事は理解しているの?」」
「だからこそだよ」
「覚悟は出来ているの?」
「覚悟とかそんな理屈でどうこうなる内容じゃないよ」
この島はこの国はあの人が導き先導し作り上げられてきた国だ。俺や美亜、そして美香はそんなあの人のただの家族だ。どんな形であれこれからのこの場所をどうするかは彼ら自身で決断すべきなのだ。




