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Never Island  作者: 阿久津ゆう
1章 世界の色
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7話 君と出会えて

今回は理人サイドでの過去回です

 コールドスリープ装置に医療用回復システムは一体型として設置されていた。

その理由は美亜の身体は生産段階での何だか知らの不備で病弱な体質となってしまったためコールドスリープ処理を施すことに身体にも相当なダメージを与える可能性がある。そのため万が一の不測の事態に備えコールドスリープ装置に医療用回復システムを装置そのものに備え付けられていた。


 美亜は苦しそうにベットの中で寝込んでいる

理人はすぐさま美亜に体温計を付け体温を測るとなんと体温は39℃


 まずい...これは...俺としたことが...これぐらいの予測はできたはずだ。


 理人は美亜をお姫様抱っこの状態で抱え一目散に走り地下の例の部屋めがけて走り出す。


 「まずいまずいまずい!!!!!!」


 理人はとにかく焦っていた。

理人の考えが正しければ彼の祖母、那智は美亜をコールドスリープから解除した直後にすぐさま医療用回復システムを起動させる手はずだった可能性が高いからだ。


 しかし那智は彼女を起こすことなく病気で亡くなってしまい代わりにその後にこの地に訪れた孫の理人が彼女を目覚めさせてしまったためそんな事も知るよしもなかった理人は、医療行為も何もせずそのまま装置から美亜を出してしまった。それが原因で美亜は更に体調を悪化させてしまった。


 美亜を再び装置に入れ電源を入れた理人は医療用回復システムを起動する。


 メディカルスキャンシステム→「身体のすべての組織に異常はありません」


 おかしい...ならこれはどうだ?


 モニタリースキャンシステム→「非常に危険な発熱状態です。すぐにヒーリングモニタリーシステムを起動し回復プログラムをおこなってください」→ヒーリングモニタリーシステムを起動しますいいですか?→「はい」「いいえ」


 こ..これだ..


 理人は迷いなく「はい」を選択する

すると装置はいきなり動き出し彼女の口元に呼吸を補助する器具が取り付けられ、次は彼女の左手に注射針のようなものがつけられ薬剤が注入されていく。そして美亜のからだ中に赤外線のようなものがなんども付けられていく。しばらくすると注射針が抜けられるとプシューー!!と大きなたてながら装置が開く。


 回復プログラムは問題なく終わりました。ただし患者の容態はまだ安定していないためしばらく安静にしてください


 理人は力なく腰から崩れるように倒れこむ。


 よ...よかった.....もう少し遅くなっていたら取り返しのつかないことになっていたかもしれない....


 彼女を自室のベットに寝かせ再び体温計で測ると37.5度。

発熱が下がり始めている。


 はぁ....よかった...一時はどうなるかと思った。


 「理人さん?私?....」

美亜は力なく理人に語り掛ける


 「体調が悪化したから君が寝ていた装置についていたヒーリングプログラムで回復処置を施したんだ。もう大丈夫だよ」


 「ごめんなさい...私..」


 「気にしなくていいから今はとにかく安静にしてくれ」

..................


 「俺を一人にしないでくれ」


 理人はベットに寝ている彼女を力いっぱい抱きしめた。

なぜだろうか?涙がこみ上げてくる

それに彼女の存在がすごく懐かしい。


 「理人さん?.....」


 「俺は....」

「...」


 前の世界で彼は妹、美香と神奈川県でわりと辺境の市、綾瀬に住んでいた。

祖母は何度も説明した通り老衰で亡くなり祖父もとうにいなかった。

二人の両親は美香が生まれてから数年後に交通事故で無くなった。

ひき逃げだったらしく犯人はその後、逃走を図り見つかることはなかった


 グロウダイバー

それは意識を電脳世界にダイブした後に様々な設定を施した後、別の世界に転移した者たちの総称である。


 「これで私は他の世界で生きられるの?」


 「ああ、そうだ」

理人と美香はグロウダイバーの説明と彼女が転移した後の説明をしている


 「お前はこの装置を使って次の世界にわたってくれ俺も後から必ずそちらに向かう」

「お前の主治医から転移場所の座標は把握してもらうから後から合流は可能だ」


 そういうと理人は病室から出ようとする。


 「次の世界ですぐに会える?すぐ来てくれる?」

そういうと病室から出ようとする理人を止めようとする


 「美香の意識的な体感ではすぐだと思うけど多分、俺はこの先こちらの世界で何十年も過ごすことになる。」

「たぶんお前は時間的な流れからあっという間の出来事だろうが俺は途方もない時間を過ごすことになると思う」

「仕方がない、こちらの世界とこれからお前が転移する世界の時間の流れは差がありすぎる」


 「そんなの嫌だよ、私はギリギリまでこっちの世界で我慢するよ」


 「大丈夫だ、俺はダイブした後にお前が転移した時間をもとに転移する。そうすれば問題ない」


 「本当に?約束だからね?ちゃんとまってるからね?」

 

 「ああ、約束だあちらの世界ですぐに会おう」

そういうと理人は美香の頭をなでる


 「あのね?あっちの世界で話したいことがあるんだ、いまはどうしても話せない。でもきっとお兄ちゃんはびっくりする」


 「いったい何を話すつもりだ(笑)まあいいさ楽しみにしているよ」


 その後、理人は美香が就寝したことを確認すると自宅に帰宅しやり残した仕事を済ませるためノートパソコンを開き作業を始めた。


 仕事の内容は軽いデスクワークの内容だそんなに難しくはない。てまどうこともない。さっさと終わらせてしまおう。美香との残り少ない時間を少しでも多く過ごそう。あいつにとってほんの一瞬だろうが俺はこれから先、何十年もあいつと離ればなれになるんだ。悔いのないようにするさ。


 理人はいつの間にかソファーの上で眠ってしまっていた。気づいた時にはもう朝だ。

だいところから「トントン」と音がするだれかが何かをしている。

美香だった彼女が朝食の仕度をしている。


「おまえ...また病室から抜け出したのか?」

 

 「だって心配だから(笑」


 「この前も先生に怒られたばかりだろ?まったく...」


 理人はあきれた表情を浮かべながらもどこか安堵した表情を浮かべていた。

その後数日間は二人で好きな事をし好きなように生きた。


 病室で二人は最後の時間を迎える


 「大丈夫、すぐ会えるさ」

そう言うと理人は美香の手を握る


 「私はお兄ちゃんと同じ時を過ごす」

「そのためにほんの少しのお別れです」

美香は力いっぱい笑顔を理人に見せた。


 そして美香は眠りにつき次の世界に行ってしまった。


 「こんなもの必要ないさ、美香は別の世界で生きているのだから」

理人は美香のお墓の前で墓石の名前を見つめしばらくただずんでいた。


 その後彼は、妻子を持ちごく普通の家庭を築き人生を過ごしていく。

しかし彼の心の中ではやはり美香の事しか頭になかった。

彼にとって妻も子もただの人生の過程により出来た所詮はただの形だけのものだった。

本当の家族とはやはり美香ただ一人だけ。彼らでは彼の心を満たすことはけしてなかった。


 肺にガンをわずらい余命3か月を言い渡された。

がんの発見は遅かったため既に体全体に転移していた。


 「あなたは兄として最後まで責任を果たした...僕はあなたを心から尊敬します。」


 「責任なんてとんでもない...私は逃げ続けた。妹のいないこの世界から」


 「それでもあなたは美香さんとの約束を守っています。今もこれからも」

「あなたたち兄妹(きょうだい)の主治医としてあえたことを心から感謝します。」


 年老いた理人は軽くふっ!と笑い「ありがとうと答えた」


 「妹だけでなく私の主治医にまでなってくれて本当に感謝する先生」

そして彼は長かったその逃避行は終わりを告げた。

彼にとって長すぎる苦痛であった。

やっと妹に会えるこの時はそう思っていた。


 「俺はこうしてこの世界に来た」


 「妹にさえ会えれば言いと思っていた。」


 ...................


 「でも今は違う」


「君にも感じる、あいつと同じもの」

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現実世界〔恋愛〕
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