47.5話 覚えているか?
彼女は別の世界に転移した
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俺という存在を残して。
彼女の体はもう中身のないただの器だ
なぜ俺に何も話してくれなかった?
彼女は何も言わずた眠るように装置の中で横たわっている。
粂盤は装置のハッチを開け彼女の頬をササっとさわる。
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「この子だけは!!!ちゃんと普通に人生を歩みさせてあげたいの!!ちゃんと生ませてあげて普通の時間を!!」
俺はわがままな男だった
「名前は決めているの理緒ていうの....もしもの時はこの子をお願いね」
君がいなくなるの何て嫌だったから
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。生んであげられなくてごめんなさい理緒」
君だけでも助かってよかったと俺はあの時そう思ってしまった。
それでも俺は
確かにほんの少しの間だけど父親だったのだ
彼女が生きていてくれてよかったと思った。
粂盤は指輪を見つめながら指にはめ込む
それでも........
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この子も理唖もこの世界で確かに生きていたんだ
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少女は指輪を見つめながら雪に覆い尽くされた大地を見渡している
「これが私が選んだ道だ」




