47話 「在るべき場所へ」
人にとってあるべき場所とは心から帰りたい場所と思える場所だ。
今回のこの事件の結末はけして奇跡ではないのだ。
二人が心からそう願い思ったからこそ迎えた結末だ。
俺はその手助けをしただけ。
だけどこの二人を見ているとうらやましくなる。
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外は先ほどまでの天候が嘘のように変貌し空は夜空が多い尽くしている。
ユウキとミナの容態が快調したことに皆が安堵し彼らにささやきかける中、理人は一人外に出て覆い尽くさんばかりの夜空を見上げながら座り込み物思いにふける形で沈み込んでしまった。
彼は...いい兄だな。
妹のためにあんなにまでやれて。
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俺は.............
「俺はどうだったのかな......あいつにとって」
思わず口から吐き出すように言葉が出てしまった。
「それって...美香さんのこと?」
いつの間にか理人の後ろに美亜が立っていた。
まったく気配を感じなかったどれくらい前からいたのだろうか?
「あの二人を見ているとね。思うんだよ。俺はあいつにとってこんなんで良かったのかなと。俺なんかのために.........行方不明になって.....」
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「世間から見たら良い兄ではなかったな俺は.....あいつとの関係は一線を越えてしまっていた。そうするしかなかったと言ってしまえばそれで終わりだが」
「私は.....代わりなの?あの人の」
「はっきりと言えないけど........」
理人の心の中で色々な物が交差していく。美香への気持ちと美亜への想いが
「言葉に形として出すならば......なぜかわからないけど君の心の中に感じる。あいつと同じもの。同じだけどけして変わりではない代わりじゃないものを」
二人が物思いに話している一方で屋敷の中ではユウキとミナに関しての今後の方針が話されていた
「私は二人の事はしばらくはこの屋敷に...理人さんに任せるべきだと思う。この子たちを引取るのは今はまだ無理だと思う。二人の容態が安定するまでは.....」
兌夫、市長がそういうのは仕方がない事だ。ユウキとミナは今後もしばらくは回復処理を施す装置を定期的に使用しなければならないからだ。
「兌夫さんだけど僕はかならずあなたの元に帰って見せますよ。妹をミナを連れて。あの時言ってくれだでしょ?背負わせてくれと。あの言葉がなかったらいまの僕たちはいない。」
「ありがとう、父さん」
二人は約束した。いつか必ず三人で一つ屋根の下で暮らすと。
彼らにとって普通であるけれどだけどなんか少し不思議な関係がこれからも続く。
彼らの人生はここから再び動き出すのだ。
「ふう..........とりあえずミナとユウキは装置の中で寝かせておいたよ。この装置の中なら安心だろう」
「他の3人は見ての通り」
奏花はテーブル越しに理緒と隆太の三人はソファーの上で寝そべっている。
「さて...........」
「やはりあの話をするのねしかもこのタイミングで」
2人は何やら重苦しい雰囲気をただよわせミディールは何かの書類の様なものを取り出すしテーブルにおいた。
「まさかこのタイミングでこの話しを持ち掛ける事となるとは二人は今は外にいるようだが万が一戻ってくるようなことがあれば話が途中でも日を改めさせてもらうけどそれでもいいかね?」
「それでもかまわないわ。」
そういうとミディールは封筒から書類をとりだし兌夫に手渡すと彼はその書類の用紙を恐る恐る見ていく
「そんなバカな」
「ええ、でもこれは事実だわ」
ミディールと市長はずっとある人物に関して疑問を感じ続けていた
美亜の出生に関してである。彼女は紛れもなく阿久津那智の義理娘である。彼女の存在は島を一国を治めていた賢者の義理娘。身寄りのない子供を養子として迎えたのが美亜である。彼女が娘だと言ってしまえばそれが全てだ。
しかし............
謎が多すぎたのだ。
彼女は何処から来て。ここに来たのか?
美香が行方不明になりそして理人が島に来た直後に美亜が目覚めた。この展開は明らかにタイミングが奇妙なほど偶然とは思えないのだ。
そして何よりも。
似すぎているのだ。二人が、美香と美亜が。
そしてミディールと兌夫はそ謎に迫るべく遂に行動に出たのである。
ある日の事、美亜にたいしてミディールは健康診断と称して彼女の身体を細胞とDNAを採取し検査することにした。
「でその時に彼女は事故か何かでガーボンヒューマンの臓器や細胞を移植していた事がわかったまでは良いのだが.....」
「........ええ、言いたいことはわかるわ彼女の両親が誰なのだという事を」
「な....なぜだ彼女の父親と母親があの二人なはずがない。」
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二人はいったい何を目にしたのであろうか?この謎が明らかになる日は果たして訪れるのであろうか?