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Never Island  作者: 阿久津ゆう
4章 偽りの時間とホムンクルス
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46話 アニマ

 全ての状況は揃った。

あとは俺の覚悟と。

タイミングしだいだ。


...................


 「理人良くお聞き、人には魂のほかにアニマという魔力の様なものが宿っている。アニマとは魂あるものの全てに宿っている。アニマが無ければ魂の形成は不可能だ。それは生き物全てに言える。」

「万が一の時に備えおまえにはアニマの力を物理的に変換して扱える方法を教えておく。ただし忠告しておく。アニマは人の心に左右することで様々な色に染まる。けして心を闇に染めるな。私のいう事がわかるね?」


 理人はゆっくりと意識を集中する


 「意識を集中し相手の心を感じるように心を放て。」


 見つけた。

理人はユウキに目を向けると手を差し伸べようとする。

 

 今のミナちゃんには確かに魂も意識もちゃんと宿っている。回復処理を施す装置で俺は彼女の状態を治すのではなく巻き戻す形で完全な形で修復した。

それではダメだ装置から出したらまた自壊し始める。


 いまのミナちゃんに足りないものは魂でも記憶でも意識でもない。

足りないものはアニマだったのだ。

でもただ単にアニマを彼女に取り込めさせればいいだけではない彼女の元々のアニマを戻さないとだめだ。

だからこそミナちゃんそのものを「直す」のではなく「巻き戻す」必要があった。


 アニマと魂は同一のものに一致させて初めて魂にアニマが宿る条件を満たすからだ。

ユウキ君君は凄いよ。ホムンクルスを作る過程でほぼ完ぺきにミナちゃんを再現させて見せた。

これは君自身の愛情がみせた奇跡そのものだ。


 あとは元々ミナちゃんに宿っていたアニマを今のミナちゃんに宿すだけだ。

でも彼女は人として死んでしまったことでアニマそのものも魂と共に天命を全うするはずだった。


 だけど.......


 理人は装置の中で横たわっている勇気を見つめる

彼女のアニマはいまユウキ君の心に宿っている。


 彼女が死亡した後そのアニマは擦り切れ傷ついたユウキの心を守るために彼の心に宿る事で守っていたのだ。


 正直いってこれは不幸中の幸い、もとい運が良かったかもしれない、彼女のアニマが魂と共に消えてしまっていたら今現在の現状の奪回は不可能だったからだ


 理人は意識を集中する。すると彼の身体が輝きだす。ユウキが入っている装置を操作し開け彼の身体に触れさらに意識を集中する。


 彼女のミナちゃんのアニマを感じ取り。心でささやきかける


 理人の目の前は真っ暗で歪な空間が広がっていた

かれの目の前は一人の女の子が淋しげな様子が漂っている


 「やあ、ありがとうちゃんと俺の受け答えにちゃんと応じてくれてありがとう」


 「あなたは誰?なんでここに入ってこれたの?」


 「今、俺のアニマそのものを通して君に話しかけている。君と話が出来るのはある意味で全ての条件が揃ったからだ。」


 「条件?私をどうするの?お兄ちゃんから引き離すの?」


 「俺がそんな酷いことをするはずないだろ?そもそもそんな事を考えていたら君と話す事すらできない。君と話せる条件は君たち二人と同じ気持ちと考え方を共有する事だ。一つでも欠けていたら君と会話すらできない」


 「私はどうしたらいいの?」


 「.............」


理人は俯きながらがら話し出す


 「君は今の現状はどれくらい把握している?」


 「お兄ちゃんが私が死んだことで傷ついて....私と同じ記憶と意識を共有するもう一人の私が作り出した。」


 「..............」

理人は俯きながら無言で彼女の話を聞き続ける


 「あなたが頑張ってくれたおかげでもう一人の私はちゃんとした魂が宿り私の記憶を受け継いでくれた」


 ................................


 「あの子はきっとお兄ちゃんを幸せにしてくれるもう私は必要ない。」


.............................................


 「あなたのおかげでお兄ちゃんももう一人の私も幸せになれる。私にとってそれが何よりも幸せな事。私にとって素敵な結末を...ありがとう」


 「違う...それは違う」


 「私はとっくに死んでいる私は傷ついたお兄ちゃんの心を守るために付いていただけ。私の想いを受け継いだあの子があとは何とかしてくれる」


 「君は勘違いしている。俺は君をユウキ君から引き離すために語り掛けているんじゃない」


 「それじゃ何のために私に話しに来たの?」


 「元に戻すためさ元の君に」


 「どういう事?」


 「君は勘違いしている。君のお兄さんはもう一人の君を作り出そうとしたんじゃない。君を取り戻そうとしていたのさ。本来の君自身をね」


 「だけど彼はホムンクルスの作成の手順を元に君を蘇生させようとしてしまった。ホムンクルスはアニマが宿っていない。だから身体の組織が時間が経つにつれて自壊してしまう。このままではいくら俺があの子の身体のデーターを元に戻し続けても無駄な事になる」


 「そんな.....ならどうしたらいいの?」


 「君はミナちゃんのアニマだ。元の場所に戻るんだ本来いるべき場所へ」


 「でもあの子の魂と私はまったく別者。私とあの子は似てはいるけど全くの別人そんなことできるはずがない」


 「そもそもその考え方が君の大きな間違いだよ。」

「いま目のまえにいるあの子は間違いなく君自身であの子の宿っている魂は君そのものだ」


 「どういうこと?」


 「君のお兄さんはやって見せたんだよホムンクルス生体を作成する形で彼の中にある記憶を元に君の魂そのものさえも復元させて見せたんだ」


 「私は.......戻ってもいいの?」


 「当たり前だろ?すべて元に戻さないといけないのだから」


 理人の目の前は元の通常の空間に戻っている。

理人はユウキの身体からミナのアニマを取り除き。装置の中で眠っているミナの身体にアニマを入れる。


「さあ、あるべき場所に戻るんだ」


これでもう大丈夫だすべて元通りだ。


 彼のユウキの愛情はたしかに嘘偽りのないものであったからこそうまく言った。

アニマと魂が離れていた期間が長すぎたため共有する記憶が多少ずれがあるようだけれど互いに認め合っているようなので問題はなさそうだ。


 全てが終わりユウキは意識を取り戻すと隣で寝ているミナの顔を見て全てが無事にうまく言ったことを実感する。


 「もう大丈夫だから」

理人はそう言うと彼の肩にポン!と叩く


 「君に会わせたい人がいるいいかい?」

理人がそういうと市長が無言で部屋に入って来るとユウきのまえに立ち無言で抱きしめる


 「兌夫さん.....」


 「心配....したんだぞ」

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現実世界〔恋愛〕
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