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Never Island  作者: 阿久津ゆう
4章 偽りの時間とホムンクルス
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42話 Sin and Punishment

 天候は先ほどよりはマシなくらいに落ち着きつつあった。

雪が舞う空に虹色に輝くオーロラが空をおおいつくす。


......................


 市長は無言でそのオーロラをしばらく見つめていた。

オーロラが消えると市長は無言で研究施設に入っていく。


 今の天候ならスリップなど起きずに無事に彼の屋敷に付くことはできるであろう。

そもそも一度通ってきた道だ。再び雪が多い尽くす前に車を飛ばせばいいだけだ。


 市長は理人と隆太を車の座席にすわらせシートベルトで固定する。

施設に置いてあった毛布を彼らにかぶせた後車のエンジンをかける。


..............................


彼は無言のまま車をすっ飛ばし先を急いだ。


-------------------------------------------------------------

 「ミディールさん、娘さんが亡くなってもうどれくらいたつ?」


「もう8年も経つわ。あの子が亡くなった後にこの装置の開発に私は没頭した。」


 「まさか.......その装置が...」

ミディールの目には市長の顔は見ようにも青ざめたようにも見えた

「わたしはね彼がしたことはどうしても間違っているとは思えないのだよ。あなたが娘さんを求めたようにね」


 「私もそれは同意見。何が間違っているか正解かなんて誰かが決めて良いわけがないわ。それを決めるのはその後の行動と結果だけがものを言うのよ。これが罪などと誰にも言わせない。」


......................


 「背負わせてくれと言ったのに......」


「市長?」

----------------------------------------------------------------


「あら、ミナちゃん?目が覚めたの?」

容態が安定しつつあるらしくミナの意識が回復したようだ。

 「良かったわ。意識が戻って、だけどまだ安心してわダメ。あなた達がその装置から出たらまたすぐに容態が悪化する。申し訳ないけどもうしばらく辛抱してね」


 「私死ぬの?」


 「何バカなこと言ってるの?そんな事私が絶対させないわよ」

「あなたのためにお兄さんがどれだけ苦労したと思っているの?そんな事絶対に言ってはダメ。いい?約束よ?」

ミディールは自身の娘とミナを重ね合わせて見ていた。


 彼の想いが強かったからこそ元となったミナちゃんとほぼ同一存在と言っていいほど完璧に生命として魂を宿している。彼がこの子を蘇生させたと言うならばたぶんそういう事だ。


 私でもここまで完璧にやり遂げる事は出来ない。素体となった彼の想いの強さが左右したのはまちがいはない。

 

 「私ね、眠りにつく前の事、ちゃんと覚えているんだけど思いだそうとすると凄く悲しくて寂しい気持ちになるの。」


 この子の記憶は確かにミナちゃんの記憶。でもこの記憶は元となったミナちゃんの方の記憶。こんな現実を彼女に話していいわけがない。


 「大丈夫そんな気持ちきっと一時的な物いつかはただの思い出となって消えてなくなるわ...きっとね。」

あってはならない真実で残酷な現実を綺麗な嘘で浄化してしまえばいい。ミディールはこの時本気でそう思った。

 すべて上手くいけば。時間がすべてを綺麗に押し流してくれる。

この二人のためなら。どんな間違いでも正当なものにしてみせるとミディールは決心した。


 「さあ、少し眠りなさい。起きた時にはきっと全てが解決しているはずだわ」


 「うん」

ミナはまた深い眠りに入った


 「ありがとう」

いつの間にかユウキは目を覚ましていたようだ。


 「話聞いていたの?」


 「すまない会話は最初から聞いていたよ...」

そう言うとユウキはミディールに安堵した表情を見せる


 「ちゃんと覚えていた.....死の瞬間まで覚えていたとは...」


 「違う、この子は長い眠りについていた。そうでしょ?あなたは立派にやり遂げたわ。だから大丈夫わたしたちが何とかする。」


 「貴方たちを...信じます。ありがとう」

そう言うとユウキは静かにも眠りについた


 あの子も生きていれば.......彼らぐらいの歳になっていた

ミディールは自身の生きていたころの娘の記憶を思い出していた。

類まれな才能をもち私の様になりたいと言ってくれていた。


 私はあの子に惜しみない愛情をあたえつづけた。

あの子の望むことは何だって教えた。

それがあの子の望むことであったから。


わたしはいつかこの子と肩を並べて仕事をすることを楽しみにしていた。


しかしその夢は叶わなかった。


............................


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!かえしてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ二人を返してぇぇぇ」

彼女の夫と娘は車同士の衝突。玉突き事故にあい亡くなってしまった。


現在も犯人は捕まっておらず逃走中である。


 この日から彼女は二人を蘇らせるため自身の才能の全てをかけて装置の開発に執念を燃やした。

しかし研究は最終段階で行きづまる事となる。


 これではダメだ。蘇生ではない。

まったく似せて作り上げられたコピーだ。本人たちではない。


 違う違う違う!!!!!!!!!!!私は私は!!!!!!あの二人に会いたいの!!!!夫と娘に会いたいの!!!!!!

どんなに姿かたちが同じでも同じ記憶を持っていてもこれではダメなの!!!こんなの蘇生ではない!!!


 返して!!!私の家族を返して!!!!!

どうして!!!!なんで!!!私の想いが足りないの?何が足りないと言うの???

記憶が姿が同じでも意識が魂が違う二人じゃない!!!!


 私は姿かたちが全く同じ人形にすがるつもりは毛頭ない.......

ミィル......あなたに会いたい....

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現実世界〔恋愛〕
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