32.5 「次の世界にいるものたちへ」
私はあり得ないものを見ている
ここにあった島は?。
いったい何が起きている
何だ?この光景は?まるでこれは島ごとクッキリと取られたような光景ではないか?
本来この場所には開発が途中で止められた無人の街の光景が見られる島が存在していたはずた。
あの島はいったいどこに消えたのか?
2011年3月11日。あの日からこの海域周辺は禁句の場所として誰も立ち入ることのない海域となってしまっている。こんな物騒な海域に誰も立ち入るはずがない。あの日この海域周辺であの島で何があったのか?誰も見たものもいないし知るよしもないのだ。
私はすぐさま近くを巡回している自衛隊に無線で連絡を入れ合流した。
「久しぶりだな。甘夏目准尉」
「准尉はやめてくれあくまでこの階級は自衛権のために与えられたものだよ新田少尉」
彼とは大学に通っていたころからの古い付き合いである。
気楽に話ができる相手でもある。きっと力になってくれるはずだ。
「彼は行ったのか?...」
「ああ....今頃はきっと妹さんと久しぶりに再会しているはずだ」
「おまえも行くのか?....」
「うん...そのためにこちら側でできるだけの情報を得ようと動いている」
「で、いまこの光景があると...」
「こんな光景を見てしまったらね....いやでもこう思うよね。彼らが向かった次の世界では何かとてつもなく厄介なことが起きていると。」
「阿久津那智はなぜ彼らを?....まさかその厄介な事と関係があるのか?」
「さあ?しかし二人の再会を利用した事だけはどうやら事実のようだね」
そう言うと甘夏目はあるメモを新田に見せる
「これは?」
「あの人が残したメッセージ。簡単に言うと「座標」だよこれを元に美香ちゃんはグロウベルクシステムを使い次の世界に向かった。そして理人さんも..」
「明らかに裏がありそうな匂いがプンプンするじゃないか」
「そうだね。だけどきな臭いのはそれだけでは無いんだよ彼女は何処の施設でグロウベルグシステムを使用したのか、そしてその遺体はどこに収容されのかは全くの謎なんだ。
「何だと?....」
「私は思うんだよまさかと思うがあの大災害は彼女がしようとしているその「何か」と関係しているのではないかと。だから私は彼らが向かった世界に行く前に少しでもこちら側の世界で情報を得ようと思ったんだよ」
「本当に行く気か?」
「そんな物騒なとこに」
「もう....決心はついているからね」
「本音を言うよ...。なんでこんな事になっちゃたんだろうね。私はただ今度こそ彼の「ただの友達」になるためだけに行くはずだったんだ。」
「甘夏目おまえ...」
「だけどあの日からある疑念と疑惑がわいた。私はただの妄想だと思いながらそれを妄想にするために動き始めた。だけど妄想では無く事実だったようだ」
そういうと甘夏目はある資料を新田に見せた。
資料内容。「アイランド島開発計画」「開発責任者=阿久津那智」
「何だこれは?..」
「ここにあるはずの島の資料だよ」
「開発責任者...阿久津那智って...」
「彼が次の世界に行った後にあの御方のラボの跡地で見つけたんだ」
「そして私はこれを見て彼女は何か良からぬ行動に走っているのではないかと.....いやな予感がしたんだよ」
「そしてこの島を調べに来た。そしたら...こんな事になっていた。...」
「俺に.....何か手伝えることは無いのか?....」
「こちらの世界で起きている異変の全てがあちらの世界に何かしらの影響を与えているのは明白だ。とにかく彼のために少しでも多くの情報を得なければならない。....」
新田は甘夏目の両肩に置くと優しくポンポンと叩き優しく微笑む
「わかった。やろう。お前の友達のために」




