32話 ホムンクルス....そして...?
数日前.....
今は使われていない研究所が何者かに侵入されその施設の設備を使用された可能性がある事をミディールは現在の拠点の施設から遠隔操作で発見。これを調べるため理人と隆太はその研究所に調べに行く事となった....のだが...
びゅぅうぅぅぉぉォォォォォォォ!!!(吹雪)
「また強く吹雪き始めたな」
「ふぃっくしゅ!!さむ!!!」
一方、たび重なる吹雪が原因で町中についていた人口ライトが遂にその全てが完全に破損。市長はミディールに街の安全を守るために人工発光電灯の取り付けを依頼。
美亜と奏花が急遽、この人工発光電灯の取り付けに駆り出されることとなった。
「ねえ?私達っていつからミディールさんの助手みたいなものになったっけ?」
「わ....私に言われても」
そして二人が電灯をつけてる丁度その時期にユウキとミナは吹雪に襲われ更に原因不明の動悸と体調不良により二人とも気を失ってしまうが丁度通りかかった美亜と奏花に助けられ間一髪、事なきを得る事となった。
そして現在.......。
「私たちが偶然通りかからなかったら君たちほんとにどうなってたかわからなかったよ」
「私、奏花て言うのよろしくね」
「僕はユウキと言うんだ。で、こっちは妹のミナだ。」
「美亜ちゃん、奏花ちゃん二人ともよろしくね」
彼らはそれぞれ無事であることに安堵し、そして兄と妹は助けてくれた二人に感謝した。
何より自分たちに優しく、そして親切にしてくれた事に心が温かくなるような感じがした。
同時刻.....ミディールの研究所にて......
「ミディールさん、コーヒーもってきましたよあったまるから飲んでくださいな☆」
「ありがとう理緒ちゃん」
ミディールは理緒からわたされたコーヒーをゆっくりと飲みしばらくすると「ぷは~と息を吐く」
「ありがとう、生き返るわ」
「にゃは☆おかわりもってきますか?」
他愛もない会話をする二人だが理緒はふと気になることが頭に浮かびミディールに聞くことにする。
「理人ッち達が向かった研究所の後ってかつてはどんな研究をしていたの?」
ミディールはこの問いかけにたいし急に顔色を悪くすると重い表情を浮かべ説明し始める。
「あなたには....というかこの場合あなた達かしら?嘘は言わないほうが良いかもしれないわね...」
「あの場所はかつて人の手で人工的に人の姿の生命体を作る研究を...ホムンクルスの作成をするための研究所だったの」
ミディールの説明によればこういう事だ。
人の細胞の一部から採取されたデータを基礎に細胞...DNAの持ち主の形を元にして体を形成し人工的に人の姿に作り上げられた言わば人工人間...それがホムンクルスなのである。
元のDNAを基礎に作られたためホムンクルスは元のオリジナルとなる人物とうり二つの姿に出来上がる事となる。
この話を聞いた理緒はある事に「ピン!」と頭に浮かんだ
「美香ッちと美亜っちが髪の色以外なんとなくうり二つな感じがしてたけどこれは何か関係しちゃったりしなかったりするのかな?」
この問いかけにミディールは「はっ!」とこの事実に気づき衝撃が走る。
というのも今まで気づかないほうがおかしかった。美亜と美香、二人の姿は確かにどう見てもうり二つに見えた。
しかし美亜はガーボンヒューマンでありホムンクルスではない。それははっきりとしている。
というより見落とすはずがない。二人はあまりにも似ていたためこの事実に気づくことさえできなかったという事か。
「いや普通こんなに似ているのに気付くよね」
「どういう事?」
「ぐ....?偶然?」
「し...親戚ならあるいは?でもあの人は孤児だったあの子を養子にしたと...確かに...」
「なんで?どうしてこんなに似てるの?」
「そういえば理人ッちと美亜ッち最近付き合い始めたらしいけどまさかだよね?にゃは☆さすがに考えすぎだよね」
ミディールはこの時感づいた。そもそも那智が美亜を保護したという事自体が偶然だったのか?という必然的な結果論に疑う余地すらあり得る事に不気味さを感じざる得なかった。




