3話 やっと来てくれた...
ある程度の設定は終わった。プランは事前に立てていた。後は目的地に向けて飛ぶだけだ。
設定された座標にダイブします。いいですか?→[はい]
はいを選択した瞬間、私の体は光だし粒子の粉の光のような状態にバラバラになった後再び集まりだし、一人の人間の体として作り変えられていく。
私は再び意識を取り戻すと自分の手や腕にあったシワが無くなっていたことに気づいた。
そして何よりも髪の質とその量の違いにもびっくりした。
私は若返った。自分の姿が見えない状態なので確信が持てなかったが今の私の姿は16歳の姿だ。
「もうすぐ指定された座標に着きます。これ以降のシステム的なやり取りはありません。たどり着いた先の世界で新たな人生を送ってください。」
「なお次の世界に着いた直後の所持品はある程度数日はやりくりできる状態となっており、身分証明書も持参している状態となります。何か不都合な事があればそれを使用してください」
システムオペレーターの説明が終わるといきなり景色が変わり、私はどこかの港のような場所に立っていた。どうやらどこかの島のような場所に飛ばされたらしい。
念のために所持品を確認する。
私が手元に持っていたカバンの中には私の名義のクレジットカードと預金通帳と身分証明書が入っていた。
とりあえず私は歩きだしここがどこなのか確認できる場所を探す事にした。
それにしてもやけに寒い。しばらくすると雪が降り始めたことに気づいた。
それにやけに寂れた街だこんなところに公的な施設などがあるのだろうか心配になってきた。
しばらく歩き回っていると公園のような場所にたどり着いた。
沢山の子供たちが遊びまわっている。
端っこの椅子に老人が座っている。
私はその老人に話しかけどこか公的な施設が無いか尋ねることにした。
「こんにちは、自分は今、この島に着いたばかりの者なのですが近くに公的な施設というか役場みたいなところがあれば教えてくれませんか?探している人もいるんです。」
私は老人にこう尋ねると笑いながら老人が話し出した。
「兄さん物好きだねこんな何もない島に来るなんて。もしかして本土からきたのかい?」
老人は気さくに話だしいろいろと説明してくれた。
どうやらこの島は本土の交流はほとんどなく島の住人の生活は非常に苦労しているようである。
更にこの本土とは日本の事でありどうやら飛ばされた先の世界は私が元々いた世界とほとんど変わりない世界であった。
いろいろと話を聞いたがどうやらこの世界は寒冷化が進み大問題となっており世界的にも荒廃がすすみ、当然ながらこの島は寂れていく一方の始末のようである。
しかし座標はこの場所に設定されており妹はこの場所に飛ばされてきたことは間違いはない。
この島のどこかに妹がいるはずだ。
私は老人に役場の場所を教えてもらいとりあえず妹がどこに住んでいるのかを調べることにした。
島にただ一つ一か所しかない役場、市役所についた私は早速身分証明書を提示し妹の居場所を確認しようとしたがここでとんでもない展開が私を待っていた。
若い女性の職員が丁寧に説明し始める。
「なるほどそれであなたは妹さんを探しにこの島にやってきたと」
「はいそうですこの島には数日前に先に妹は着いたはずです。すでに移住場所も決まっているはずです。もしよければ妹の住んでいる場所を検索していただけると助かるのですが」
私はそう言うと女性は首を傾げ困った表情を私に見せる
「もう一度聞きますあなたの妹さんの名前は何と言うんですか?」
「阿久津 美香です」
「次にもう一度聞きます。あなたの名前は本当に阿久津 理人さんで本当に間違いはないんですね?」
「はい、間違いはありません」
女性職員は再び苦い表情を見せ首をかしげる。
私はこの表情にはさすがに嫌な予感しか感じなかった。
「妹さんの移住場所を検索しましたがデーターが出てこないんです」
この言葉に流石にわたしを取り乱した。
「そ...そんなはずありません!!妹はこの島のどこかにいるはずなんです。妹は先にこの島に来て住む場所を決める手はずになっていたんです」
当然だ妹とは何度も話し合いここまでの予定は決めていたのだから
「はい、だからおかしいのです... 私としても少々混乱しておりまして」
「はあ?ど..どういうことなんですか詳しく説明してください」
何かよくわからない状況になってきた。妹の身に美香の身に何かあったのか?とにかくこの女性職員に詳しく説明してもらうことにした。
「あなたの妹さんの名前を検索したのですが住民登録はされているのですが移住場所のデーターが無いのです」
どういうことだまったく理解できない
「住民登録はされててなんで移住区のデーターが無いんですか!!!おかしいでしょ!」
私は軽く怒鳴ってしまった
「あなたの妹さんの移住場所のデーターはありませんでしたが、かわりにあなたの祖母、阿久津 那智さんのデーターがありました。
「はぁ?」