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Never Island  作者: 阿久津ゆう
4章 偽りの時間とホムンクルス
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30話 Sonokono kokorowa Jigawa Betsujindesu

  久しぶりに家に帰れる。ユウキはそう思いながらミナを背負い歩き続けた。

 家に帰るのは5年ぶりだ。あの日から家には一度も帰っていない。

 あの装置を動かすために色々と時間をかけてしまった。

 ユウキはミナをホムンクルスとして蘇生させるために5年の月日をあの研究室で過ごしたのだ。


「 もう少しで家に着くから辛抱してくれよ?」


 ミナはユウキに背負われながら「すうすう」と寝息を立てながら眠っている。

 彼は無言で更にしばらく歩き続けた


  しばらくすると急に胸が焼けるような感覚がユウキを襲い始めた。突然にである

「はぁはぁ....くそ....なんだこれは」

 ユウキは胸がしめつくような動悸と目まいの症状が現れた。


 ドサ!

 ついに我慢できなくなりその場に倒れこんでしまう。

「え?...」

 ユウキは隣で倒れて「ゼエゼエ」と苦しむミナをみて彼女の手を握る。

「なんで...ここまで来て..」

「誰か...助け...」


  ミナはゼェゼェと息を荒くし苦しそうにしている。

 雪が降りだしてきた。

 ユウキはミナに覆いかぶさるようにして庇う。






「ちゃんと問題なく発光しているね」

 美亜と奏花は町中の建物についている人工発光電灯に異常が無いか見回りをしていた。

「ミディールさんの言った通りこれで少しは見晴らしが良くなるといいんだけど...」


 今の時期は吹雪などで昼間でもほとんど光は遮られ真っ暗になるときもある。

 そこで少しでも楽になればという事でミディールの案で人工発光電灯を街のいたるところに付ける事となった。


「まるでクリスマスの時期に付けられるイルミネーションみたいだね」

 美亜は色とりどりに光り輝く人工発光電灯を見ながら積もった雪を踏みながら少しずつ歩き出す。

 かなり積もっているようで歩きづらそうである


  しばらくすると雪が再び振り出してきた。少し吹雪きそうな予感がする。

「もうこれぐらいにして屋敷に戻りましょう」

 二人は一通り確認し終わると屋敷に戻る事にする


 屋敷に向けて歩き出した二人だがやはり予想通り吹雪いてきた。

「美亜ちゃんあれーーー。」

 奏花が何かに気づき指をさす。

 指をさした場所に人が倒れている。


  雪に埋もれている。男の子が女の子を守るように覆いかぶさっている


「しっかり....」

 美亜は二人に必死に声をかけ続ける。

 奏花近くの民家に助けを呼びに行く


「(死ぬのか.....やっとここまできて)」

「(冷たい...苦しい)」

「(もう疲れた)」

「(誰か助けて...)」

  ユウキは不意に意識が覚醒した。

「ここは?」

  彼の目の前には広い部屋が広がり立派な暖炉あった。

 ユウキの隣にはミナが横たわり「すうすう」と小さく寝息を立てて眠っている。


 助かったのか....でもいったい誰が?


「大丈夫ですか?」

 声がした方を見るとひとりの少女がスープが入ったお皿をもって問いかけて来た

「良かった......あの吹雪の中あなたたちはあんな場所に倒れていて...」

 どうやら偶然にもあの場所を通った彼女が助けてくれたようだ


  「あのその子は?」


「 ああ、この子は僕の「妹」のミナだ。そして僕はユウキだ助けてくれてありがとう」

「君の、君の名は?」

  少女はにっこりと笑いこう答えた。

「私の名前は美亜」

  そして彼は答えた

「僕の名前はユウキ、妹の名前はミナ。家に帰る途中に吹雪に巻き込まれてしまった。君には本当に感謝している」

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現実世界〔恋愛〕
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