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Never Island  作者: 阿久津ゆう
3章 真実を求めて
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26話 根の道へ

 「その話が本当ならばこれは何者かが送ったSOS発信だと見て間違いないわ」

「あなた達がいた世界で起きた震災がこの世界でも同じ時期、時間帯に起きても不自然ではないもの。この世界が貴方たちが元いた世界の並行世界だという事ならば理論上ではその逆と見ても全く間違いはないのだから」


 ミディールの推論はまったくといって正しい。今俺たちがいる地球「マザーエルサレム」は俺たちが元いた地球「マザーエルサレム」と全く同じなのだからあの大震災がこの世界で全く同じ時間帯におきても何らおかしくはないのだ。違うのはあちらで起きていた問題である気候変動である温暖化とこちらで起きている寒冷化。気候変動の問題がまったくと言っていいほど逆転していることである。更に違いを問うのであれば世界的にみる壊滅的な惨状だ。この二つのマザーエルサレムでたどった全くの真逆の気候変動の惨状を見比べるとその惨状の違いははっきりとしている。


 俺たちが元いた世界では温暖化により海面が上昇し人の住めなくなる地域が著しく減ってしまったもののさほど被害は出なかった。


 しかしこちらの世界ではどうだ?寒冷化により世界中で凍てつく吹雪がほぼ一年中吹雪いており人類が生き残るのも難しい惨状である。

もしこの世界で同じ時期にあの大震災が起きたらどういう事態になるのか?少なとも俺はあの震災の後の世の中は脳裏に焼き付いている。

言葉では言えない地獄を味わった。妹を直後に失った意味でも二重の意味で。


 理人はここで重要な事に気づいた。もしこのメールの内容があちらの世界でおきた大震災がこちらで起きる事を意味する事を何者かが送ったSOS発信ならば自分や美亜や美香以外にもこの世界に転移してきた人間がいる事を意味する。


 何故こんな回りくどいやり方をしてSOSを発信したのか?まったく理解が出来なかった。

そして何よりこれは重要な事だ。これを発信した者は俺と同じようにあちらの世界であの大震災を経験したあとにこの世界に転移してきているはずだ。


 少なくともこの「発信者」は俺たちの敵ではないのかもしれない。


「 この発信者はあなたが元いた同じ世界からきた人間で多分間違いわないわそしてこの人物はこの書かれている座標に位置する場所にいると見ていいわ」


 理人は迷いなく「なぜ?」と答えるするとミディールは迷いなくこう答えた。


「 簡単な事よ、これは間違いなくSOSを意味するメッセージでありこれから起きるであろう事象を知っている。つまりこの人物はあちらの世界であなたの言う大震災が起きた時にこの座標に位置する場所にいた。そしてこちらの世界でその同じ位置する座標で何だか知らの異変を確認したうえでこちらの世界でも同じ時期に震災が起きると確認したうえでこのメッセージを送ったと見て間違いはないわ」


 ミディールの推論は多分間違いはなさそうだ。

しかしそうなると


 「SOSを発信した人物は少なくとも俺や美亜がSOS発信をした本人と同じ世界から転移してきた事をしらなければこのメールはそのものを送る事すらできないのでは?」


 ということになる。


 不気味だ。いったいこの人物は何者なのだ?

この座標に位置する場所で何があり何が起きてるのか?

ひょっとするとあの震災と津波はただの災害ではなかった可能性もあるという事か?


 理人はまた一つ嫌な予感を感じた。


 「ミディールさん俺たちがいるアイランドの島はいったい日本のどこら編の海域に位置する場所にあるんだい?」


 理人は今自分たちが生活するこの島がどこに位置する場所に存在するのかすら知らなかった。

それも仕方がないこと。この世界に転移してきてからいろいろと問題ばかりであり考えたことも無かったのだ。しかしミディールの一声で理人の顔色は一気に青ざめる事となる


 「小笠原諸島エリアの中央付近に位置する海域にこの島はあるは」


 そう言いながらミディールはモニターに地図を映し出す。

地図を目にした理人は瞬時に「これはまずいことになるかもしれない」と思った。

彼が受けたこの災害でおきた津波は小笠原諸島のすべての島を呑み込み壊滅状態にもたらし、後の世にも悲惨な惨状を残した


 これと同じ規模の津波がアイランドを襲えばひとたまりもないだろう。

これは島の存続にかかわる事態となりうる事だ。


 メールの内容は美香の居場所に関わる重要な情報になりえると思い解読して見たものの実際には島の存亡に関わる内容であった。

俺たちはこれからどうすればいいのか?このまま黙って滅びの道を選ぶか?それとも生き延びるすべを探すか?。


 あの災害が起きた日、俺はあいつの手を離してしまった。

離すしかなかった。そうするしかなかった。

そしてなにも出来なかった。

俺は無力だなにも出来ない誰も守れやしない。

この世界に来て大切な仲間や友達が出来た。このままでは皆死んでしまう。


 無力な自分を痛感する理人に少女は優しく手をさしのべる

その瞬間理人は懐かしい気持ちがこみ上げ不意に涙が流れてくる。

理人はそのまま美亜を抱きしめる。


 何故だ..なぜこんなに懐かしい...


 理人は美亜に向けて不意にこう言ってしまった。


「二度とこの手を離さない絶対に」


 自分がなぜ美亜にそんなことを言ってしまったのか本当にわからなかった。


 「私はあなたの妹じゃない美香にはなれない」


 当たり前の返答だ。


 「私は彼女の代わりにはならない、だから私の意志であなたの側にいてあなたを支える。だって..」

美亜は笑いながら一息ついてこう答えた。

あの人に負けたくないから」


 この時、理人は美亜の笑顔を見て決してしてはいけない間違いをし続け彼女の心に傷つけてしまっていたことを気づいた。


 「人間なんて所詮、間違えては学習して後悔してまた先に進む。所詮これの繰り返しそれでもあなたは今、この世界にいる。それが貴方の選んだ「選択」でしょ?」


 ミディールはそういうと勝ち誇ったかのように理人にこう答えた


 「あなたには賢者那智から引き継いだ知識と頭脳がある。彼女に代わってこの島を守る義務があなたにはあると私はそう思うわ」


「俺はただ、あの人のまねをし続けただけだよ。だけど、このまま黙って滅びを受け入れるつもりは毛頭ないよ」


 理人はこの時はっきりとこれから起きる事象にたいして抗う事を決意した。

それと同時に理人はなぜかこう思った。

確証はなかったがだがはっきりと何故だかわかる。

示された「座標」に美香がいる。


 理人ははっきりとそう思ったのだ。

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現実世界〔恋愛〕
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