25話 Despair and Hope
理人 美亜 ミディールはメールの内容の解読を始める。
あらゆる可能性とパターンを駆使し探り当て、内容や痕跡を探り当てようとする
しかし、破損しているメールを解読することはそう容易い作業ではない。
時間だけが淡々と過ぎていく。
そもそもこれ破損しているのではないだろうか?
送り主があえて破損しているように見せているのではないのだろうか?
様々な可能性を見越して様々なやり方でメールの解読に繋がらないか試したものの全くと言っていいほど彼らはその手掛かりすら掴めなかった。
「よく考えてみたら俺たちはこんな大掛かりな施設に来る意味があったのだろうか?」
理人は下向きな思考が働き始めた。
「理人さんだめですよそんな下向きな気持ちじゃ、それでは手掛かりすら見つけられませんよ」
そう言いながら美亜はメールを見ながら。軽い口調で話し出すのだが.....
「案外、「見ているものとは逆なパターン」な事も有ったりすることがあることもあるんですよ?」
「はぁ?」
「いや~まさか~はは」
理人は笑いながら「g:yq@bbfgwfq@/q@」の文字のキーの入力を日本語の入力と照らし合わせて見た....。
すると日本語入力で「きけんだここはきてはだめだ」となった....
「どうしようミディールさん出来ちゃった....」
「いや...私にそんなこと言われても」
まさか美亜の一言が地雷となりメールの一部が解読できるとは....
「どうしよう今回、話が2000文字も到達せずに終わっちゃう...」
理人は落胆しながらテーブルにうつぶせになりながらなにやらブツブツ言いながら頭を抱えている。
思えば彼はここ数話、主人公らしいことを全くと言っていいほど何もしていない所か目立ってもいない。
「だ...大丈夫まだ件名の部分があるから」
ミディールは何とかして理人を和ませようとするが...
「あの、二人ともこの件名の部分ですが「座v)4」の部分ですが同じやり方だと座標となり「座標=(F20 S35) 」となりますよ」
「え、ちょ ま」
「...今回2000文字どころか1000文字すら到達してないのに.....(現在空白込みで900ちょっと)」
「美亜ちゃんあなた...」
一応説明しておくが今回のここまでの話の展開は作者がもっている出来上がっている原稿通り話は進んでおり、美亜がメールの内容を解読する展開は変わりはないのだがある理由で少し手を加えました。シリアスな展開を楽しみにしていた読者の皆様すいません。
.....しかし彼らは後の20*1/3/11の部分はどうやっても解読は出来なかった。
ミディールと理人の見立てではこれは見た目通り年数と日付をしめしたものではないかと思われたが「*」の部分は解読できなかった。
.................
解読は出来なかったいや違う実際のところ理人はわかっていたのにわからない不利をしてしまった。
彼はわかっていた。この文字化けして読めない部分は「1」である。つまり「2011/3/11」となり正解は「ここはきけんだ 座標=(F20 S35) 2011年3月11日」となるのである。
彼は元いた世界でこの2011年3月11日の日に生涯でもっとも忘れられない悲劇に直面した。
彼は知っている。絶望と希望は闇と光と同じように表裏一体であることを。
「ツっ...」
---理人前回の人生にて当時20歳---
2011年3月1日
AM9:00
ピ..ピッピ....ぴ!!!!!!!!
けたたましく目覚まし時計が鳴っている
理人はいつの間にかソファーの上で眠ってしまっていた。気づいた時にはもう朝だ。
だいところから「トントン」と音がするだれかが何かをしている。
美香だった彼女が朝食の仕度をしている。
「おまえ...また病室から抜け出したのか?」
「だって心配だから(笑」
「この前も先生に怒られたばかりだろ?まったく...」
理人はあきれた表情を浮かべながらもどこか安堵した表情を浮かべていた。
その後数日間は二人で好きな事をし好きなように生きた。
彼らは知らなかったこの幸せな時間の後に恐ろしい事態に直面することを。
彼らは何も知らなかった。
運命の日まで二人で好きな事をし好きなように生きた。
恐ろしい事態が起きる事も知らずに
2011年3月11日
その日、彼らにとって二重の意味でも運命の日であった。
美香のグロウベルグシステムの適用の日である。
PM1:00 福島県大船市
「まさかこんな遠出するとは思わなかったな」
ホテルの一室の窓から港町を見下ろす美香
「仕方ないさ近所の病院では予約がいっぱいでこの先数年は待たされるのだからむしろ旅行ができて良かったと思わないと」
「死への旅路?」
理人の顔を見ながら微笑む美香
「違う、次の世界への旅立ちだろ?」
美香の旅立ちの時間は午後6時の予定である。5時には病院に入り準備が始まる。
予定のぎりぎりの時間まで二人は福島の街を堪能するつもりであった。
しかし.....
「何かいま揺れたような気がしない?」
二人はある高層タワーに観光出来ていた。
その高さは福島の街並みを一望できる高さだ。
この時美香が感じた揺れは気のせいでは無かった。
前震である。
その後二人はビルから降りて病院に向かおうとする。
だが....
PM2時46分
ずしぃぃぃぃぃん!!!!!!
地面を突き上げるほどの揺れが.....
その揺れは長い時間をかけてどんどん大きくなっていく。
この時理人はやばいことになると瞬時に悟り高台に向けて避難を開始しようとする。
レンタルしていたバイクで理人は美香を乗せてすぐさま猛スピードで走りだす。
周辺の空気が重たくなり雰囲気がが変わった。
しばらくすると町中で警報が鳴りだし高台への避難勧告がだされた。
理人の嫌な予感は当たった。
津波だ。
どれだけの時間をバイクですっ飛ばしたかわからない。
美香はただ黙って目をつぶり落ちないように理人を抱きしてめている。
二人はうしろを全く見ていないがとてつもない殺気が迫ってきていることが気配でわかった。
とにかくもっと上へ高台へ。
後ろを振り向かずとにかくバイクをすっ飛ばし高台めがけて続く上線の道なりをとにかく進んで行った。
そうとうな高い高台に位置する場所に着いた二人はここでようやく後ろを振り向いた。
自分たちがいた街が津波でめちゃくちゃになり何もかもが海へと引きずり込んでいく。
美香は理人の手を力強く握りしめていた。
美香ては汗でびしょびしょになっていた。
それからしばらくすると町中で火災が発生しあたりはまるで空襲でもうけたかのような状況となった。
自分たちは運が良かった。理人はこのときそう思った。
理人は美香の手を離したくなかった。
嫌だこの手を離したくない
ここで死のう二人で
どうせ生きていてもこれから良いことはない。
「やっぱり私、行くのやめるね」
美香のこの一言で理人は正気に戻った。
「駄目だ行くんだ、これからどういう状況になるかはわからない。別の世界に行った方がよっぽと良いに決まってる」
「でもお兄ちゃんを一人置いては行けないよ?」
「必ず、寿命が尽きるまで生き延びておまえの後を追うから...だから...お前だけでも安全な場所へ行くんだ」
「約束する必ずお前の元へ行く」
それから理人はスマホを取り出しLineで先生に連絡し、しばらくすると病院の職員の人たちが助けに来てくれた。
当初予定されていた掛かりつけの病院は津波で流されてしまったため別の病院でグロウベルグシステムを使用することとなった。
--PM5時--
病室で二人は最後の時間を迎える
「大丈夫、すぐ会えるさ」
そう言うと理人は美香の手を握る
「私はお兄ちゃんと同じ時を過ごす」
「そのためにほんの少しのお別れです」
美香は力いっぱい笑顔を理人に見せた。
そして美香は眠りにつき次の世界に行ってしまった。
それから数時間がしてからだろうか。先生は何かを察したのか話しかけてきたが俺は何の話をしているのか全く分からなかった。
理人は美香の遺体をしばらく何も考えずに見つめていた。
さっきまであんなに笑って話して、普通に生きていたのにな。
理人は何も考える事もなくただ無表情で外に出て先ほどまで美香といた街を無言で徘徊する。
街の景色は先ほどとは一変していた。
津波で何もかもが押し流されそのあとに火災ですべてが焼き尽くされていた。
理人の目は精気を失いまるで死人の目のような状態となっていた。彼の眼はこの世界での人生では二度と元の状態に戻ることは決してなかった。
「こんなもの必要ないさ、美香は別の世界で生きているのだから」
理人は美香のお墓の前で墓石の名前を見つめしばらくただずんでいた。
....................
そして理人はそれから25年もの歳月をただひたすら機械の様に生き続けた。




