19話 そして動き出す
ついに尻尾を掴んだ。
婆ちゃんと行動を共にしていた研究者たちを見つけ出す。
今の彼らにとっては有力な手掛かりと情報だ
あれだけのプロジェクトを動かしていたのだ研究者は複数いるはずだ。
もし彼らが美香を拉致しているようなことがあれば俺は.....
「おい兄ちゃん顔が怖いぜ....」
「無理もないよ美香ッちが危険な目に合っている可能性があるんだからね。」
理人は尋常ではない殺気に満ちた表情を見せ仲間たちは困惑している。
(俺は35年間も我慢してきたんだ...)
彼がこうなるのも仕方がない理人は美香と人生をやり直すために35年間も我慢してきたのだ。
自分たちの人生がよくわからない連中に滅茶苦茶にされたとなればたまったものではないからだ
「理人君、絶対に一人で勝手に行動するのは禁止だよ?
奏花はただならぬ嫌な予感がした。いつもさっぱりとクールに振舞っている理人はいつもと違って殺気に満ちたオーラが体中から漂っている感じがしたからだ。
「とりあえずだまずはこの研究者を見つけ出さないとな」
「話はここからだぜ」
隆太がそう言うと各自ばらばらに分かれて行動を開始する
彼らは那智と共に行動をともにしていたであろう研究者の手掛かりを探すために更に校長室のなかのあらゆると言う部分を手がかりを求め探索する。
「......」
美亜は必死になり部屋中のあちこちを血相をかきながら手掛かりをさがす理人の姿を見ながらどこか悲しそうな表情が....。
「おい、美亜大丈夫か?」
隆太はその表情を見て彼女に話しかける。
彼女のその悲しげな表情で理人を見る顔は尋常ではないと思ったからだ。
美亜はさっと校長室から立ち去り周囲にばれないように歩き出す。
隆太はそんな彼女と一緒に周囲にばれないように彼女についていく
「おい!!チョット!!まてって」
「.........」
隆太の話も聞かずに彼女はその歩みを止めようともしない。
「おい!!どうしたんだよ!!」
「......」
それでも彼女は何も話さないそして歩き続ける。
「おい!!美亜!!何か言ってくれよわからねぇーよ」
「......」
美亜は涙を流しながらその顔を隆太に見せる
「おい...本当に大丈夫か?」
「何が大丈夫なの?」
「大丈夫じゃないよ?だって」
「だって私このままじゃあの人にとってただの「代わり」にしかならないんだよ?」
「美亜おまえは...」
大粒の涙を流し泣き崩れる美亜。その姿を見て何かを察したのか隆太は美亜の頭をポンポンと軽くたたく
一方そのころ校長室にいる面子は美香に関する重要な手掛かりを見つけていた。
「理人ッち!!チョットこれ見て!」
理緒は校長室にあったパソコンから不可解なデーターを発見した。
「この人何か怪しいと思うんだけどさ」
理緒はパソコンから研究者の名簿のファイルを見つけだがその隣になぜか学校の元教職員の名簿のファイルが置いてあった。明らかに怪しいと見た理緒は研究者の名簿と元教職員の名簿を照らし合わせてみた。
そして照らし合わせてみた結果その両方にデーターが存在する人物が一人だけ存在した。
「この人明らかに怪しいよね?」
「怪しいなんてもんじゃないだろ」
「お手柄だ理緒」
経った数日でここまでパソコンの操作と技術を物にするどころか手掛かりまで見つけ出してしまうとはまさに才能の塊。理人はこの時、理緒にたいしてそう思った。
残されたデーターによるとその人物の名前はミディール・バソーカという人物であることが分かった。
「ここの教職員だったのだろ?二人はこの人を見たことはあるのかい?」
「そういえばそんな人見たことないし聞いたこともないぞ」
「私も聞いたこともないな~」
教職員のデーターにしか存在しない人物で婆さんと行動を共にしていたネヴァーランドのプロジェクトに関わる研究者。これは怪しすぎる。
理人たちは遂に手掛かりを見つけ出した。
しかし、彼女の居場所まで突き止めることは出来なかった。
残されていたデーターは彼女の顔と名前のみである。
「このパソコンの深層部にアクセスして断片的なデーターを拾い上げて有力な情報が無いか探し出してみる」
理人はキーボウドを操作しデーターの波という波を拾い集め再構築していく。
通常、完全に消されたデーターは普通には二度と回覧が不可能だが特殊な技術があるものならばパソコンのデーターを記憶する奥の方まで潜り込み断片的に残されたデーターを見つけつなぎ合わせることで再構築させることが可能である。
言っておくがそんなことができる人間は相当な技術者である。
「ミディール・バソーカの居場所がわかったぞ」
「彼女の居場所は旧商店街の相州区が住まいだ。現在は市役所に勤務している」
「なら直接、市役所に行ってみるのが手っ取り早いんじゃないかな?」
「あれ?美亜っちと隆っちは?」
ーー同時刻、美亜と隆太ーー
「落ち着いたか?」
隆太は美亜を連れてどこかの喫茶店に入りとりあえず彼女を休ませていた。
「ごめんなさい、もう大丈夫です」
美亜はそう言ったもののやはりどこかいつもと違う雰囲気を漂わせている。そのことは隆太ははっきりとわかっていた。
「お前が兄ちゃんにとって美香の代わりか...」
「おまえ、兄ちゃんの事、そのなんだ好きなのか?」
美亜は静かにコクっと!うなずく
「なぁ、美亜俺の話落ち着いて聞いてくれねぇか?」
ここ数日、隆太は理人からパソコンの操作と技術とそのノウハウに関して教わっていた。ある日の事、隆太はとあるきっかけで理人が使っていたノートパソコンの中身を過ってみてしまった。理人は自分のノートパソコンの電源を消し忘れそのままの状態で放置していた。隆太はとっさの判断で電源を落とそうとしたらしいのだが、ちょうど画面に映っていた彼の日記のデーターを見てしまった。
俺はどうしたらいいのかわからない。このままでは美亜を美香の代わりにしてしまう。俺にとって初恋の存在は二人のどちらかなのかはもうわからない。でもこれだけははっきりしている美亜も俺の大切な家族だ。失いたくはない。この屋敷で三人で暮らせる日が来た時、俺は二人のどちらかを選らぶことになる。絶対にそうなってしまう。そしてどちらかを不幸にしてしまう。俺はそれが恐ろしくてたまらない。俺は二人とも大好きなんだ。二人とも守りたいんだ。
もしおれの美香への気持ちがあいつらにばれたらもう今までの様な関係ではいられなくなる。
なあどうしたらいいんだよ?だれか助けてくれよ......。
「あいつぁよ~ぶっ壊れそうな心を歯食いしばって今も戦っている。」
「俺は何があってもあいつの元から消えないしあいつを傷つけることはしない」
「あいつは本気で悩んでる苦しんでる」
「それが間違てるなんて誰にも言わせねぇーよ」
「美亜だって本気であいつの事が好きだから泣いたんだ」
「お前ら三人は絶対に不幸にならない方法があるはずだ絶対にあるはずだ....。」
「苦しんで苦労した人間が不幸になっちゃいけねぇーんだよ」
「お前らは笑って一緒にいる方法があるはずなんだよ」




