17.9話 ロスト
人類にとって新しい選択となったグロウベルグシステム。
そしてそのシステムを使い始めて別の世界に転移した人類初のグロウダイバー。
その人物もまたシステムをつくりだした研究者である。
その名はステルバー・ジョンギブソン。通称ギブソンである
アメリカ本土に生まれたその人は後の世に多大な影響を与えた。
世界にコンピューターテクノロジーとAI技術を促進発展させた世界最高の技術者にして実業家でもあった。
彼は自らの命を使い己が作り出した成果と技術を証明して見せた。
彼は自らグロウベルグシステムを使いグロウダイバーとして別の世界に転移する事でその成果を世界に見せつけたのだ。
彼が転移した後、技術者たちの様々な検証の結果、別の世界が現実に存在し、自分たちの世界が別の選択をしたことで発生した並行世界が存在することまでも実証させるまでに至った。
そして人類はこのシステムを使い新しい人生を歩む選択を作り出すことに成功した。
余命行く場のない人などは終末医療プログラムとして適用され使う人が多くみられるようになった
しかしこの時点では彼がどこの世界に転移したのかは彼の行き先を確認することは出来なかった。
彼はどこに行ってしまったのだろうか?様々な研究者たちが彼の足取りをたどる経緯で得た技術で転移者たるグロウダイバーが転移した場所の座標を補足することが可能となった。
しかし人類はジョンギブソンの足取りだけは全くつかむことができなかった。
ある研究者の二人がギブソンの足取りを探す過程である重大な事実を掴むことに成功した。
「彼が転移した世界...というよりこれは....」
「なるほどそう言うことかわからないわけだ...」
「これでは今まで足取りが掴めないわけだ」
二人の研究者がついにギブソンの足取りをつかむことに成功した。
彼が転移した世界は彼自身が元いた世界だ。
つまり彼は自分の様子や年齢だけを変えただけで転移した場所は自分が元いた世界に設定していたのである。
この事実は一部の関係者以外には極秘とされた。
こんな事実が世界中に知れ渡ればどう言うことになるか予測もつかないからだ。
彼はその後どのように生き、どのような人生を歩んだのか?
もはや知るよしもない。