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Never Island  作者: 阿久津ゆう
2章 めぐる日々
16/121

14話 初恋

 資料は2007-12-14で止まっている

多分このあとに美亜は美香と入れ替わるような形でコールドスリープされたのだろうか?

 美香は美亜がコールドスリープされている状態を見たことがあるのだろうか?

美香は、婆ちゃんに呼び寄せられこの世界に来て。俺はその美香を追うことでこの世界に来た。

 明らかにただの妄想だが俺はそう思えて仕方が無かった。


 二人は食事をしながらこの資料に関して議論するが、先ほども話した通り那智は美亜にはこの計画の事は一切話をしたことが無かったらしく全く知らなかった。


 美香は那智が亡くなった後に消息が途絶えた。

彼女はこの計画になんだかしら関わってたのだろうか?


 色々悩んでいるうちにかなり夜はふけこむ時間となっていた。

二人は今日のところは寝ることとする。


 「あの理人さん....今日もダメ?....」

 美亜がモジモジとしながら頼み込む


 あーそう言うことか。

1人で寝るのが苦手なんだよな君は。

いや駄目だ、そんな毎日のようにそう言うことはダメだ。

 男としてここは言うべきことは言わないと。


 「私じゃ代わりになれませんか?」


何を言っているんだ君は


 「代わりになれるとかなれないとかじゃなくて美亜は美亜で美香は美香だろ?何言ってるんだい?」

そうこれは正論だこれは間違いはない。


 「なら私じゃ一緒に寝れませんか?.....」


 おい何言ってんだ君は?.....

ダメそんな顔してみないで.......

 そんなウソ偽りのない真っ白で純粋な顔で俺を見ないで

 .......


 心が折れた

結局了承しちゃった

きっといつか間違いが起きるのではないのか?しっかりしろ俺

でも俺は美亜のことを間違いなく可愛いと思っている。


 婆ちゃんの2度目の死に目に会えなかったこと。

美香が消息不明の行方不明になっていたこと。

 美亜がいなければ間違いなく俺は自暴自棄になっていた。


 二人は昨日と同じように同じベットで横になっている

美亜は理人の隣でスースーと寝息をかきながら安心しきった表情で眠っている。

その寝顔は安心しきっている証拠だ


 これは不可抗力だ俺は悪くない。

美亜だって婆ちゃんが亡くなっていろいろ不安なのだ。

仕方がないのだ。

しかしこれからもずっとこのままではいけない。今はよくてもこの先の事を考えなければない。

 このままずっと一緒寝続ければ俺はきっと間違いを起こす。

 俺だって男だ、こんなかわいい女の子にせがまれたら嬉しいはずがない。


 でも認めるよ俺は美亜にずっと側にいてほしいとそえ思ってるよ。

俺は彼女に救われたよ。


 「んう...」

眠りが浅くなったのか美亜は一時的に起きそうになる

 理人はそんな彼女の頭をなでてあげる。

そうすると再び美亜は深い眠りに入っていった。


 無くしたくないんだ君を。

もう失いたくはないんだ。

 俺はあの時あいつの手を離すしかなかった。

そうするしかなかった。

そうしなければ永遠に....


 俺は美亜を美香の代わりにしている。

今の俺はそうすることでその心の隙間を埋め合わせている。

 さっき俺は美亜に「美香は美香、美亜は美亜だ」と言ったがあれは俺自身、自分に言い聞かせるようなものだった。


 それでも、彼女を美亜を失いたくはないという気持ちは本当だ。

この気持ちは嘘じゃない。


 理人は彼女を抱きしめる


暖かい。彼女の心を感じる。


 「んぅ...どうしたんですか?」


 「すまない...起こしてしまったか....」


理人はそう言うと再び美亜を抱きしめる


 「君の心を感じる」

理人は彼女を抱きしめながらそう言うと頭をなでる


 「大丈夫、私はどこにもいかない。ずっとあなたの側にいます。」

「だから、あなたは大丈夫なんです。」

 美亜は、理人を受け入れ今度は自ら抱きしめる


 「理人さんの心、確かに感じます」

「傷だらけですごく冷たいけど。だけどすごく優しいその気持ちが」


 美亜はこの時確かに感じていた。

彼の前回の人生で負った心の傷を。


 お互いの心に傷を負っている。

二人はその傷を認識しあっていた。


 俺は前回の人生は失敗した。

 普通な人生を生きようとした。

好きでもない人と結婚した。

そうすることで自分は普通な人だと周りに見せようとした。

 普通の家庭を持とうとした。それが普通だと思ったからだ。

 だけど子供ができたとたんにその普通は「壊れた」

俺の妻となった女性もまた俺と同じだった。

周りに普通の自分を演じるために互いに利用し合っていただけだった。


 この時俺はこう思った。


ああ...この家庭は所詮は形だけだった。


 そして俺は逃げた。

 逃げ続けた。


そもそも俺は恋というものを知らなかった。


二人は抱きしめあいながら深い眠りについていく。


 初めて知ったよ。

 2度の人生を得て初めて知ったよ。

俺、美亜が好きだ。


 これは恋だ認めるよ。

 これが多分俺の初恋だ


この時の彼はそう思っていた。しかし彼の心はそんな単純な構想で出来上がっていたわけでは無かった。


 いずれ彼は知ることとなる自分の心の声と自身の本音を。

そして選択する事となる。

 どちらを手放すかを



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現実世界〔恋愛〕
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