88話 「すべての始まり」
この施設にとどまる事4日が経った。
俺はこの施設に放置されていたグロウベルグシステムの中にある情報を解析しようとしていた。
この施設そのものが俺が元いた世界からこの世界に飛ばされてきた。
そしてその施設の中に長い期間放置されていたグロウベルグシステム。
このグロウベルグシステムは誰かが使用していれば使用者の名前や元いた世界での使用した時期がしっかりと情報が残っているはずである。
端末のHDMIの端子から自分のPCに線をつなげ情報を解析していく。
この時の彼は何となくだがこれから得られる情報がどんな意味をなして何の意味を示すのか何となくだが理解していた。
「理人っちあのシステムの中にノートパソコンが入っていたんだけど....」
理緒から手渡されたノートパソコンを見た理人は一瞬にして青ざめる
やはりこのグロウベルグシステムの使用者は
このノートパソコンは..........
理人の青ざめた表情を見た理緒はただ事ではないと感じ皆を呼び出した。
月見や旅団の人たちを含め全員が集まり彼に問う
このノートパソコンの持ち主がわかるのかと。
「阿久津那智」
彼はそう一言つぶやいた。
周囲の空気が一気に凍り付く
「このPCは婆ちゃんの物だ」
「見間違えるはずがないこれは俺がガキの頃から見て来たものだ。」
「で..でもよ兄ちゃんそれって」
このノートパソコンは婆ちゃんはけしてぜったいに手放さずに持ち続けていたものだ。どんな時でも手放さずに持ち歩いていた。
しかし彼女の死後何故か彼女の死と共にきれいさっぱり消え失せてしまった。どんなに探しても見つからなかった為一緒に埋葬されたのかとすら思われていた。
そして再びこのノートパソコンが自分の目の前に現れた。しかしこれは彼にとって決してあり得るはずがないのだ。それは周囲に即座に理解できた。
重苦しい心境の中ミディールが彼に話しかける。
「こ...このノートパソコンがあのグロウベルグシステムの端末の中に入っていたという事は............」
「十中八九.......このグロウベルグシステムの使用者は婆さん.....阿久津那智だ」
「ならこのノートパソコンには......」
「ああ、このノートパソコンを開けたものにたいする何かしらのメッセージが入っているはずだ」
「皆、見てくれグロウベルグシステムの中にある情報の一部が解析出来た。ここにかかれている日にちがおそらく俺と美香、そして美亜がもといた世界での日付だ。この日付の頃は俺はあちらの世界では15歳のころだ。そして婆さんが亡くなった日でもある。」
その場にいる全員がPCの液晶画面に釘付けである。
「そしてこちらの日付はこちらの世界側の日付だ。」
1939/09/01
「この日って確か.........」
「ああ......世界で歴史がもっとも動いた日だ」
この日は俺が元いた世界では第二次世界大戦 の開戦日だ。
ドイツがポーランドに攻め入りその2日後、イギリスとフランスがドイツに宣戦布告し第二次世界大戦が始まった。
この世界でも同じことが起きていた。どうやらキエフ大公国や琉球王国といった国々が存続し形や名前が違えど途中までは俺が元いた世界とこの世界の歴史の流れは途中までは同じような歴史を辿っていたようである。
理人はノートパソコンを起動し中身のデーターを回覧していく。
ノートパソコンの裏は「バイタルエデン」とかかれたシールが貼られている
「音声データーと文書によるデーターがが残ってる」
理人は音声データを起動する。
愛する人へ........私はまたあなたに会いたい。また会えるなら。私はきっと何度でも............




