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Never Island  作者: 阿久津ゆう
1章 世界の色
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10話 後悔

 「俺はあいつは生きていると思ってる。誰もあいつが死んだところなんて見てないんだからよ」

「どこにいるかはわからないが公に出てこれない理由があるんではないかと俺はそう思ってる」

隆太はただ淡々と話し続ける

「あいつはお前と再会するのを何よりも楽しみにしていたんだ。だから絶対に死なないし死ぬはずがないと思ってる。あくまでこれは俺の気持ちだがな」

「そうだろ?兄ちゃんよ」


 理人から見た隆太の目はどこか強い意志のようなものが感じられた。


 美香は前の世界では15で白血病で亡くなっている。

もっと長く生きたかったはずだ。

死にたくなかったはずだ。

だからこそ次の世界での人生に賭けた。

兄と普通の人生を送る事。

願いはただ一つそれだけだったはずだ。

そんな簡単に命を捨てるはずがない。


 「わかっているよあいつは生きている。俺も信じてるよ」


 理人がそう言うと隆太はどこか安心した顔つきで理人と美亜に強い意志を表すように笑顔を見せた

「これから頼むぜ!兄ちゃんと美亜とか言うちびっこよ!」


 「その兄ちゃんとか言うのなんとかならないか?」


 「別にいいだろ?あいつの兄ちゃんなんだからよ」

隆太は二人に、にひひひと笑って見せた。

その後三人は店を出て、予定通り学校に向かう。


 しばらく歩くと校舎が見えてきた

見た目は普通の学校だが生徒の姿が見えな。まるで廃校のようだ。

「多分、校庭に奏花がいると思うぜ多分連れが一人いると思うから紹介するぜ」


 校庭はたくさんの野菜のようなものと果物が植えてあった。

ただしその見た目特徴は普通のものとはちょっと変わったものとなっている。

たぶんそろそろ収穫の時期か?

こんな寒冷化が進んだ世界でここまで育てるのは苦労しただろうか?


 見た目美亜と同じくらいの女の子と奏花が野菜や果物にホースから水を出して水を与えている

「ねーねー奏花ちゃんそろそろ収穫の時期だよねもうすぐ本格的に厳しい時期だしまにあってよかったね。」


 「こないだのブリザードを乗り越えてここまで成長したのは奇跡だよほんと」

そういうと奏花は肥料のようなものをまき始める


 「やあ奏花、約束どおり来たよ」

そういいながら理人は手を挙げて奏花に話しかける。


 「もしかしてこの人が例の転校生?」

女の子は気さくな表情を見せ理人に自己紹介をする

「このちっこい方も転校生らしいぜ」


 「入江理緒(いりえりお)だ!よろしく!」

そういうと手を挙げた後に手を右手の親指を挙げて理人に「グット」のポーズを見せる


 「どうやら無事に今回も収穫できそうだな」

隆太は理緒の頭をクシャクシャと頭を撫でまわす。


 彼らの話によると奏花 隆太 理緒の三人は親がいない孤児であり理人の祖母、那智にいろいろと面倒を見てもらっていたようである。世界的な寒冷化による問題で食糧難のためこうして野菜や果物などを自給自足で今まで何とか乗り越えて来たらしい。

ちなみに収穫間際のこの野菜や果物たちはなんとあの婆ちゃんが品種改良して作り出したとんでもなく寒


 波に強く改良した物のようだ

て...まじかよあの人この世界でもトンでもなく飛躍した偉人だったらしい。


 どうやらあの人島の開発に貢献した最大の功労者だったらしい。学校の中を案内してもらううちに様々な資料や教科書、文名を見たが、漠然とした情報が飛び交うように見えてきた。時はさかのぼる事今から数十年前、世界各地で雪が降り始めた。その時はただの異常気象だと思われていたが砂漠地帯や一年中熱波でおおわれていた場所まで雪が降り始め次第に寒波は世界中に広がった。そして遂に世界的にも文明は衰えを見え始めた。


 おい....これ...お...俺!!元いた世界の並行世界...パラレルワールドに飛ばされてきたのかよ!!


 ひそひそ...


 「(お...おい美亜、気づいていると思うがこの世界、どうやら俺たちの世界とは別の歴史を辿った並行世界らしい)」

「(わかっているとは思うが俺たちが別の世界から転移してきたことは絶対に周りにはばれないようにしろ)」


 「(その点はすでにお婆ちゃんから釘を刺されていたので大丈夫です)


 更に学校を案内されながらいろいろ情報を目にした


 この島の名は「アイランド」


 日本は寒冷化による大寒波による大打撃により国の運営は著しく困難を極めた。日本の隣国の琉球王国(りゅうきゅうおうこく)と共同で災害に立ち向かおうとしたが時遅しどうにもならない状態であった。


 ふぁ!?琉球王国?沖縄は日本に合併せずに日本の同盟国家として存続していたのかよ。


 そして、日本と琉球は多数の難民が続出することとなる。

その難民の一部をどうにかするために一つの無人の島を移住環境にすべく開発にかかわったのがなんとあの婆さん、那智であった。島の住人からは(おさ)として拝められる存在であるらしい。


 おい...これマジか....


 てか、これいろいろとまずいのでは...元いた世界の技術を惜しみなく使ってんじゃん。


 「理人っちー大丈夫かー?なんか顔色悪いぞ?」

理人の顔色が悪いため理緒が心配して声をかけて来た。


 「いや...大丈夫大丈夫..はは気にしないで」


 「おい兄ちゃんよぉーもしかしてあの婆さんがこんなとんでもない人だった事まさか知らなかったかのか?」

隆太のこの問いかけにはさすがに理人はビクついた。さらに変な汗をかいている

さすがにこれだけは嘘を付けなさそうだ


 「いや...婆さんは様々な分野での研究者であったがまさかここまで偉人な人だったとは...」

「ついでにいうとまさか島の長なんて呼ばれていたなんて...」


 理人がこの学校で知った真相はまだ一部分の話でしかなかった。


 「ちなみに兄ちゃんよ~この学校の開設にはあの婆さんも関わってたんだぜ」


 「エ?マジで?」


 理人と美亜は校長室出会った場所に案内された。

職員も教師もいないためいろいろと寂しい感じがする。


 校長室には彼の祖母、那智の写真が飾ってあった。


 ちょっと若く見えたがまぎれもなく婆ちゃんだ


 馬鹿かあんた...元の世界でも強がっておいてかってに死んで...

こっちの世界でも....

かってに死んでんじゃねーよ........


 理人はよくわからない感情がこみ上げてくる。

胸の中がきゅーと熱くなる感触


 祖母への想い、そしてずっと会いたかった妹への想い。

その思いがこみ上げてくる。

そして遂に限界に達した


 なんで..なんでズレた...なんでこちらに転移する時期が2年もズレた...

予定通りの時期にちゃんと転移していれば.....

美香にも婆ちゃんにも会えたのに.....


 「く.....うううう....ひく」

思わず腰から力が抜け倒れこみ泣きぐずれる理人


 「ごめん...婆ちゃん...美香.....」

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現実世界〔恋愛〕
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