76.5話 「mirror」
なぜ.....なぜなのだ。一人だけ残され生き残った身として背負いながら生きて行かなければいけないのか?
彼女の命ももう長くはないと言うのに.....
彼女はそのような罪を犯してはいない。
俺は.......彼女を残して死にたくはなかった....。
俺たちはただずっと一緒にいたかった。それがいけなかったのか?
誰か彼女を助けてくれ......。誰でもいい。
....................。
「「こっち」のおまえはそう言う結末になったようだね」
1人の女の子がお墓の前で立っている
「そしてこっちの「彼女」は逆に生き残っていると.....。まるで私が知る一つの結末とは真逆ではないか」
どうやら「こっち」の二人は失敗した結末に進んだようだ。まあ無理もないかこの世界にはあのシステムは存在しないのだから二人には救いようのない結末になるのは仕方がない事だろう。
「あの.....兄の知り合いですか?」
盲目の少女がお墓の前に立っている女の子に話しかける。
「失礼、私と彼は小学時代の同級生でね今日は彼の命日だから墓参りに来たのさ」
「あなた、名前は?」
「申し訳ないけど敢えて名乗らないでおくよ後に尾を引くようなことはしたくはないのでね」
「そんな事を言うのになぜわざわざ兄の命日に?」
「何、私なりのけじめとやらだよ」
「まるでご老人のような話し方ですね」
女の子はクスっと笑う
「彼は死因は確か....。」
「白血病です」
そうか...こっちでは死因までも逆に......。ん?......
少女は今まで見ていたお墓の隣に小さなお墓がある事に気づく。
このお墓は......?この名前は.....なぜ?......?
「これはこのお墓は水子のお墓?」
「話しずらいんだけど.......私とあの人の子供になるはずだった子です。私、こんな体だから赤ちゃんの方がもたなくて...。」
「すまない......辛いことを聞いたね.......」
少女は空を見上げ思わず涙を流す
ああ...悲しいな...。
「優しいんですねあなた」
「なれないんだよこの手の話は」
「おかしいと思わないんですか?私たち兄と妹ですよ」
「人を愛するのに立場や身分など関係はないよ」
そうか、ということはあの子は二人の..........あの子の親は...。
この世界のあの子は生まれる前に.....。
知らなくてもいい真実もあるもんだよ.......。




