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Never Island  作者: 阿久津ゆう
5章 島の守り神
101/119

74話 愛する人、いつか会えるその日まで。

 「それじゃ隆太をいこうかじゃ」


 「ああ、行こうか」

2人は手をつなぎ装置に向けて手をかざす。


 「意識を集中するのじゃ念を込めてこの機械にわらわたちのアニマを注ぎ込むのじゃ」


 自分がこんなことが出来るとはびっくりだ


 「わらわと隆太の魂の理は繋がった状態にあるわらわにできる事は今のお主にもできるのじゃ」

バチバチバチバチ!!!!


 装置が勝手に起動し始めシステムが起動し始める。

いよいよこの時が来た。

 償い、贖罪。俺の命1つで果たしてどうにかできるものなのだろうか?

島の人たちは誰も悪くはない。なら、あいつの一番側にいた俺が責任を取るべきだ。


 これで.........でい......いいんだ。


.....................


 い.....言い訳ないだろう。

隆太はラピズを強く抱きしめる


 「ごめん......おまえは関係ないのに巻き込んで」


 「いいのじゃよ.........たぶんこれがわらわ達の運命だったのじゃよ」


 二人の身体から閃光をはしらせながら流出していく

隆太は薄らいでいく意識の中ラピズの記憶と思しきものを目の当たりにする


 これは?ラピズ....の記憶?


 おかさん!!


お母さん!!!


 わらわの好物。大切な思い出。

あの旅路で一緒に食べた記憶。


 「ラピズこの光景をよく見ておくんだよ島にはしばらく戻ってこれないからね」

島は水平線の向こうに消え見えなくなる


 「さあ、夜になるまで行けるとこまで行くよみんな」


 「ラピズ腹減ってないかい?これやるから食いな」

月見はラピズにお菓子のような食べ物を手渡す


「こいつはレーションていって見た目の割になかなかうまいんだ」


 おかあさん!!


おかあさん!!!


--------------------

 ずごごご!!!!!!

先ほどよりも強い揺れが島を襲う。


 じじ!ざざざさ!!!!がが!!!ざーーーーー!!!!

何だこれは?地震のような揺れだけでなくノイズのような物が島全体を襲う


 あいつも、隆太も美香を守れなかったことで自責の念に駆られその罪と向き合っていた

そして彼は罪を償おうとしている愛する人と共に。


 そして彼女もまた彼の答えに答えてしまった。失えないから手放せないからだから彼とともに最後の時まで------。共にしようと。


 「おい!!あんた宰相の身分に位置する者なのだろう?なんであの神殿の警備を手薄にしていた!!!早くしないとあいつらが死んでしまう!!!本当にこっちの道であっているのか?」


 理人、美亜、ユウキの三人は宰相の身分にあたる議員の老人の道案内の元あの装置のおかれた部屋に向かっていた。


 「ご安心をこの道を進めばあの部屋にたどり着きます」

まさかシェルター内からあの宮殿に繋がる地下通路があったとは

「早く、早くあの場所に行かなければ」


 どごごごごこ!!!!!!!!ざざざざざ!!!ザーーー

何なんだこれは強い揺れと共にノイズが何なんだこのノイズは.............これはアニマ.......そうかこれは二人の隆太とラピズのアニマ。


 生まれつき人の魂、アニマを敏感に感じ取ることが出来る理人は即座にこの揺れと共に鳴るノイズはあの二人のアニマだと気づいた。


 (何だこれは.......これは彼女の意識?...いや記憶か?。)


 

 少女は一人凍り付いた海を歩いていた。

「ヒク....!!おかあさん!!おかあさん...みんな....」


 なんで何でこんな事に....何で私一人だけが.....みんな....お母さん。

少女は一人で島に向けて歩き続けた。


 「くそ!!!!こんなはずでは!!!」


 「ラピズ!!!!!あなただけでも逃げなさい!!!」


 「いやだ!!!おかあさん!!!!!」


 「生きて!!!隆太に!!!」

これはあの子の記憶........


 数か月後........私は島にたどり着いたそして。

そして私が見たものは。


 「結局あれから何の音沙汰もないらしい無事なら無線で連絡が来るはずだぜ」


 「明日は使節特使旅団全員の共同葬儀らしいぜ」


 「今回の隊には例の隊長の義理娘も参加していたらしい可哀そうにな」

偶然にも誰かもわからない人たちの話を立ち聞きしてしまった。


 少女は誰にもばれない様に草むらに隠れ使節特使旅団全員の共同葬儀見ていた。


 「う...うそだろ....」


 「残酷だが本当だ.....」

(この男の子はそうか隆太か.....)


 彼は墓石を見つめこぶしを握り締め大粒の涙を流す

墓に刻み込まれた名前は月見、ラピズの二人だ


 (え?........)


 「俺に妹がいた?........そいつも一緒に?」


 「おそらくは....」


 「うそだ.....嘘だぁぁあぁぁぁぁぁぁそんなのうそだぁぁぁぁぁぁぁ」

 私はただ草むらに隠れ彼を見ている事しかできなかった。


 私は生きていると生存しているという事を彼らの前に姿を現し言う事は許されない。これが私の罪だ。お母さんを皆を守れなかった報いだ。


 私だけが生き残ってしまった。島の守り神であるにも関わらず彼らを守ることが出来なかった。

 共同葬儀が終わった後墓場はだれもいない無人となった。

しばらくしてその墓場には慰霊碑と共に祠が立てられた。


 私はその祠の中に入り座り込む

自分は水晶玉から離れなければ大量のアニマよって不死のような状態にされる形で守られ続ける


 せめて...せめて自分がみんなのお墓を守ろう。それが自分にできる償いになるならば...。

 

 (そしてあの子はあの日隆太と出会う日までたった一人でみんなのお墓を守り続けてきたと.......)


---------------------------------


「おまえだったのか......俺の妹ってのは..........」


 「そうだよ隆太ずっと私はお主の事を見ていたのじゃよ」

ああそうか.........俺たちは多分生まれた時から。

 

 「もう良いんだ......」

「一緒に行こうぜ。母さんがいる場所へさ....。」


---------------------------------------


 「若......本当なのですか?」


 「俺は彼女のアニマを感知しそのアニマの中から記憶そのものをよみとった。これは紛れもなく真実だ」


 「生きて..生きておいでだったのか.....」


 人は誰にでも何かしらの罪や後悔の念をもっている。そしてその罪に向き合い償おうとするそれでも許されないとわかりながらも皆目を背けずに前に進む。


 俺は自分の愚かさと間違いに気づいた。

自分だけが心を傷付きそして無くしてはいけないものを手放し自分だけが被害者なのだと思っていいた。

 しかしその考え方そのものが間違いであった。


 この時、理人は自分自身がやるべきことを悟った。


 「ここから先は俺一人で行く皆はシェルターに行くんだ」


 「若、どうするおつもりですか?」


 「俺は自分の自分なりのやり方でこの騒動に決着をつける」

俺も人の事は言えないさ。


 「なぁ、あんたもしかして......共同葬儀の時に....」


 「若、あの二人の事は隊長からよく話を聞いていましたが........まさか彼女が生きていたとは...。どうか二人の事をよろしくお願いします。」


 彼のその言葉を理人は耳にすると同時に一目散に走りだした。

彼らを人柱になど絶対にさせない。誰かが人柱となる事で守られるシステムなどこの国にこの島には必要ない。あってはならないのだ。


 しばらく道なりに進み続けると見覚えのある構造のエリアに入る。

ここからは神殿内部だ。


 とにかくいつも自分が出入りしていたあの部屋にいかないと


ずしぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん!!!!!!!!!!


 今までには無かった恐ろしいほどの揺れが島を襲う。

まずい、もう時間がない。陣を形成させるために彼らは既に大量のアニマを消費しているはず。

もはや一時の猶予もない。


------------------------------------

「プロセスを第3段階へ移行、これより結界の構築は封魔陣衛に主導権が移ります」


 巨大なモニターからけたたましく声が発せられる

少女がその真下にあるキーボウドを操作している


 そんなバカなまさか彼女が「介入」したことで予定が狂ってしまったのか?これは想定外だ。

ダメだこのままでは封魔陣衛が完全に発動した際に起きる衝撃で島そのものが沈没してしまう。


 この衝撃波は....あの日に起きたもの以上の物だ。


 少女はカプセル型の装置の中を見ている。

その中には黒髪の少女が横たわっている


 誰か......止めてくれ.......。

----------------------------------


「隆太!!ラピズ!!!」

理人が目にしたのは閃光と共に彼らの体内からアニマが流れ出しシステムを構築しているPCに向けて注がれている。


 「やめろ!!!!!とまれ!!止まってくれ!!!」

ばしぃん!!!!


 理人はPCを操作しようとするが見えない壁のような物にぶつかりそれと同時に衝撃波が遅い吹っ飛ばされる。


 PCが操作できないなら二人をあのPCから遠ざけるしかない

理人は二人をPCから遠ざけようとするが二人の周囲には球体上のシールドのような物が張られ近づくことが出来ない


 「隆太!ラピズ!!目を覚ませ!!!」

理人は二人に呼び掛けるが意識が戻る気配はない。


 もしかしたらこのこの日本刀なら...

寒緋桜(かんひざくら)・裏月この日本刀には特殊なアニマが宿っている。

この日本刀であのシールドを壊しそのあとに二人のアニマの流出を止める。


 今の彼には迷いなど微塵もなかった。

理人は日本刀を手に持ち意識を集中する


 誰かが犠牲になる事で成立するようなシステムなどこの島には必要ないのだ。

「二人を...二人を返せ!!!!!!」


 日本刀から青い光が放たれアニマが放出していく

いけるこれであちらのアニマと相殺させれば!!!


 俺の気持ち。俺の想い。

「俺はお前たちが不幸になる事なんか望むもんかぁぁぁぁぁぁ」

 

 ばしぃぃぃぃぃぃぃん!!!!!!

理人は二人の周囲には張られているシールド目掛けて日本刀で力いっぱいふりまわすと強い衝撃波が走る

行けるぞ、シールドにダメージが生じている。このままこの日本刀で叩き切ってやる


 (やめろぉぉぉぉぉ!!これがおれのこたえなんだぁぁぁぁ!!!)

ぎぃぃぃぃぃん!!!!!!


 これは拒絶の力?このシールドは隆太とラピズが自ら発動させたものなのか?

どうしてだ?........どうしてそこまで....


 理人はシールド目掛けて日本刀で攻撃をしはじめる


 「俺はおまえのこと恨んでないから!」

きぃぃぃぃぃん!!!!!

「俺はおまえのこと恨んだことなんて一度もないから!!!」

ばしゃぁぁぁぁぁぁん!!!!!


「俺がおまえたちのことをなんとかする!!!!」

つしゃぁぁぁぁぁん!!!


「俺はおまえの友達だから!!!!」

ズザザザザ!!!!!


「だから!!二人が不幸になるなんて俺は望まない」

がきぃぃぃぃぃん!!!!!


「たのむ.....たのむから........」


 .................


「俺の事信用してほしい」


 理人は意識を集中する


 「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

シールド目掛け渾身の一撃をあたえる


 ぱりぃぃぃぃぃぃん!!!!!!

シールドがガラスがわれたかのようにわられていく

そして彼は瞬時にPCの元に駆け寄り電源きった


 二人は気を失っているだけで無事のようだ

 

 理人は日本刀を天井目掛けがさす

この日本刀の中に宿るアニマなら..........一時的にでも陣を安定化させることが出来るはず

これが俺の答えだ。


 封魔陣衛に青い閃光が注がれる。


...................


 「なぜ俺たちを助けたんだ?」


 「俺がおまえを恨んだことなど微塵もないよ」


 「わらわにも責任があったのじゃ........島の事隆太のお母さんの事....隊の皆の事」


 「人を不幸にするシステム何てこの世には必要ないよ」


 「兄ちゃんは...失ったのに俺は....ひ....ひく.....」

隆太は泣きながら頭を抱える


 「あいつは確かに俺の側にいないけど」

だけど........

「あいつは残してくれた。お前たちとの繋がりを」

-----------------------------------------------------

 「プロセスを第4段階に移動します」

.................


 「理人........」

-------------------------------------------------------


 俺たちの選択は意味のないものだった。

だけと兄ちゃんの想いを俺はけして裏切らない


 わらたちの引き起こしたこの選択は間違いだったのかもしれない

それでも....

 けして一線を越えたりはしていない。

そして、これからも...絶対に。


 俺たちは何があっても決して後悔しない

この場所があいつが帰るべき場所だから...


 この島を滅ぼさせはたりはさせない





絶対に......。


 

これにて5章完結です。次回からは新章に突入です。

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現実世界〔恋愛〕
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