アリバイつくります2
亮とデートするときは、いつも池袋の駅前の東口にあるカフェで待ち合わせた。
そして図書館に行って本を読んだり、サンシャインに行ってショッピングをしたりした。
亮は、優しかったし、話をしても楽しいが、手を繋いだりスキンシップをしてくることがなかった。
よく一緒にはいるのだが、時々恋人なのかな?と思うくらい、プラトニックな付き合いだった。
年頃の男の子が彼女をそばにして、性欲を押さえれるものなのかと空音は疑問に思っていた。
しかし、近くで優しく笑う亮は、本当にキラキラ輝くように、カッコいい。
空音にはもったいないと思うほどのドキドキする笑顔だった。
季節も冬になりクリスマスシーズンになってきた。
12月12日は空音の誕生日だった。
末広町に二人は来ていた。
亮としては珍しく、ディナーに予約をいれてまでイタリアンのお店に連れてきてくれた。
ワインを飲んで、たわいもない話。
メインの子牛のほほ肉を食べたあと、亮が恥ずかしそうに話はじめた。
「僕は今まで、女の子と付き合ったことがなかったんだ。だから、空音といると恥ずかしくてさ・・・。」
それを聞いて、空音は意外だった。
こんな美形の亮が誰とも付き合ったことがなかったことに。
しかし、付き合った事がないと言う割りには、戸惑うような態度ではなく、自然体に空音には接してくれていたように思ったからだ。
「なんか、亮はカッコいいから、なんで私みたいな子を選んだのかもわからないし、亮が今まで付き合った子がいなかったなんで、意外だな。」
「そう?とにかく僕は、空音といつも一緒にいたいんだ。だから、同棲したいんだけど、どうかな?空音の家に、住んでもいいかな?」
そう言い、亮は空音の手を取り左手の薬指にジルコニアが輝く指輪をはめた。
誕生日だからくれたのか、指輪の意味がどんな意味なのか、聞くのは恥ずかしかったから聞かずに、素直に指輪をはめてもらった。
空音は、同棲について少し考えたが、亮と一緒に暮らす事は夢のようであり、ネガティブな事は考えずに、同棲に了解をした。




