アリバイ作ります 19
「いや、意味がわからないんですけども…」
「とりあえず、鈴木亮も鈴木颯人も住民票がここになってるってことと、ここに住んでいるのはわかってるんだよ。だから、出てきてもらっても、いいかな。」
空音は、無言のまま玄関を開けた。
「家宅捜索に来ましたので、失礼しますよ。」
家宅捜索…。
そう言うと3人の警察官は家に上がり込み、台所の棚、クローゼット、ベッドの周り、本棚など、隅から隅まで見ていき、書類やパソコンなど持っていった。
警察官の話では、鈴木颯人が、覚醒剤所持にて逮捕されたと。
「じゃー、鈴木亮は、捕まってないんですよね?」
空音は、少し安堵した。
颯人には、会ったこともないし、亮は無事だ。
しかし、亮が双子だった事や、兄弟が逮捕されたということに亮が大丈夫なのかどうか心配がまだあった。
家宅捜索中に、玄関の外で警察官の話を聞いていたが、空音は不安しかなく、押し黙っていた。
警察官が帰った後、ソファの背もたれに全体重を乗せるように寄りかかりため息をついた。
だが、気持ちの悪さが押し寄せ、ベッドに横になり、亮にLINEを送った。
いつ帰ってくるの?大丈夫なの?
数時間経っても既読にはならなかった。
夜中の1時まで返事を待ったが、空音は、眠りに落ちた。




