アリバイつくります 16
結局、空音は、休みを取った。
仕事が休みにくい事より、亮に頼まれた事の方が気になって仕方がなくなったからだ。
Lineで、休みを取った事を亮に伝えると、旅行に行くから一泊の荷物を支度をしておいてほしいと返事が来た。
わざわざ出かける旅行に少し不安を抱きながら、旅行当日は、昼過ぎに出発となった。
亮は相変わらずの黒い上下の服。空音は、水色のワンピースを着ていた。
二人で、並んでスーツケースを引き、駅前まで歩き、レンタカーのお店に入った。
「亮、運転出来たんだね!」
「出来ないと思ってた?」
「免許持ってないと思ってたよ。ドライブして旅行いけるなんて、うれしいな。」
空音の不安な気持ちが少し和らいだ。
スーツケースをトランクに入れて二人は車に乗り込んだ。
「ねえ、どこにいくの?」
「茨城。」
「茨城?!へ〜、茨城かぁ。行ったことなかったな…。」
レンタカーに乗り、二人はナビの指示通り茨城に向かった。
亮が設定した目的地は、カレー屋だった。
茨城に来てわざわざ、カレー屋?
カレー屋?
「なんか、有名なカレー屋さんなの?」
「いや、ネットで検索して、行ってみたくなっただけだよ。美味しそうなんだ。」
「そうなんだ!楽しみ。」
カレーが目的でもいっかと思ったが、わざわざ休んで欲しいと言われたくらいの用事かと思って居たのは何だったのかな、と考えて口数が少なくなっていた。




