アリバイつくります14
常磐さんは、すがるような表情で亮の話を聞いていた。
空音の存在もアリバイ作りには必要なので一緒に話を聞いた。
「まず、昨日のアリバイを作らないとなりません。5月17日、昨日のティズニーランドのチケットを手に入れる事ができそうなので、空音と常磐さんは今日、今からティズニーランドに一緒に行ってください。
そして、このカメラで写真を撮ってきてください。」
そう言い、亮は少し古びたデジカメを机に置いた。
「このカメラは昨日の日付に設定してあるので、午前から、夜の閉園まで何枚もティズニーランドにいる様子を撮ってきてください。昨日、常磐さんは空音とティズニーランドに行ったということにしましょう。」
「わかりました。でも、今日も夫から連絡が来ると思うんですが。」
「そうですね。今日もティズニーランドに居る事になるとアリバイの正確性が落ちます。ですので、なるべく舞浜駅のファミレスなどで1日を過ごし、旦那さんからの電話があったら空音と話をさせてください。電話がかかって来たときはティズニーランドに居ないように。そして空音と昨日も今日も一緒に居たと話してください。旦那さんとの電話の直後に再入園を繰り返して写真を撮ってきてください。
今日のチケットや、レシートは全て廃棄してください。」
亮が、この2時間の間にこのアリバイを作り上げたことに驚いた。
「でも、昨日のチケットなんて、どうやって手に入れるの?」
空音は疑問に思っていたのだ。
「ああ、snsで、昨日ティズニーに行った人を探して譲って貰おうかとも考えたんだけど、なかなか知らない人に渡すって言うのも抵抗があるみたいで、譲ってくれる人が居なかったんだ。
で、次に考えたのはフリマアプリの、メルメルとラクナの出品を探したんだよね。そしたら、メルメルに早速昨日のティズニーの使用済チケットを出品してる人がいてさ。ティズニーが一番出品多いし、たまたま都内の人で見つかって良かったよ。
今から、僕は、その人から直接チケットを受け取りに行くから、ここから僕たちは別行動に。」
「わかったよ。」
フリマアプリで、たまに300円くらいで使用済チケットを販売してる人が居るのは知っていたけど・・・。
そんな使い方が出来るなんて、考えもつかなかった。
話のあと空音と常磐さんは、カフェを後にして駅に向かい歩き始めた。




