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いつだってあなたが私を強くする  作者: 泥んことかげ
【第1部~出会いと約束】
79/111

第78話【誓いの前日編その15】

【精神の滝】


幼い悪戯(チャイルドミスチフ)】により、滝側の水面に浮かんでいた、ニッシャの体を岸まで引き寄せ、セリエの【(ウィンド)()羽衣(ベール)】により、流動する風を治癒の水と共に包み込む。


 精神の滝で一夜を過ごしたニッシャの体は、傷が一切ない程の状態まで治癒し、とても息を引き取っているとは思えず、誰もの瞳に映る彼女は安らかな、それでいて綺麗な寝顔だった。


 各々最後の挨拶をし、ノーメンの魔力によりニッシャを消し去ると、玄関口へ向かう。


【屋敷外玄関口】


【アイナさんご一行の御健勝(ごけんしょう)御多幸(ごたこう)を願って!!】と書かれた長さ15Mの手作り横断幕を掲げる弟子達と、それを見て思わず涙を流し、1人ずつ熱いをハグしようとするバルクスをアイナが引き剥がすと、(みな)一斉に笑いが起こり和やかに見送られる。


 姿が見えなくなるまで手を振り返すバルクスに対し、ひたすらに前を見続けるアイナ達三人は、初めこそ笑顔だったが、見送るミフィレン一行が見えなくなるや否や、段々と真剣な面持ちで足早に歩いていく。


 置いていかれそうになるバルクスは、先頭を歩くアイナに走って追い付き、息を切らせる様にしてこう言った。


「すみませんアイナさん!!昨日の【鋼豚(こうとん)】に何かしましたか?」


 返答は「いいえ、だから?」の冷たい一言であり、その二言をしゃべる間にも彼女は眼を合わせてはくれなかった。


(おかしいな――――ミフィレンちゃんの手の平で動いていたような……)


 それを聞いたセリエは仰向けに浮きながら、アイナにちょっかいを出す。


「またまた~アイナちゃん優しいから、きっと特別な事したんでしょ?」


「だからしてないって言ってるでしょ!!」


「うぉっ!?ちょっと怒り過ぎじゃね?」


「フンッ」と口を尖らせ、そっぽを向く乙女の気持ちを分からぬバルクスとセリエ二人は、アイナから少しだけ距離を取り、ノーメンを二番目に歩かせた。


 心中ではお喋りな男ノーメンはこの時、微かに気づいていた。


(きっと大事な事を忘れていたんだな……)


 直感で思い付いたその答えは正解であり、感情を押さえきれないアイナは思わず叫んだ。


「今日、特売日だったー!!オムツもミルクも大好きなプリンも!!あーーっ!!」


 両手で顔を覆い天を見上げるアイナの苦悩は、やはり男三人には理解が出来なかった。



【ミフィレン側】


 犬は吠え、猿は手を振り、鳥は高らかに鳴き、重い体を感じさせぬ素振りを見せる豚は、手の平で飛び跳ねていた。


ニッシャから貰った一輪花のネックレスが風で揺れ、朝陽が差し込むと小さく光り、「またね」と言っている気がして、優しく握り締める。



 (みな)が背を向け歩き始めるのを手を振り送る時、寂しさと悲しさで涙が視界一杯に、溢れそうになるのを()()に助けられながら必死に(こら)え、これから旅立つ者を安心させようとするミフィレンは、この時感じ取っていた事を誰にも話さなかった。


 道場内天井の絵には一人一人特徴を掴みきちんと描かれていた――――が、旅立つ四人の内()()()()、塗り潰されたような(もや)が掛かっていた事。


 これが彼等(かれら)との長い別れになると言う事、何か良からぬ事が迫っている事を自身でも分からず、笑顔で送り気丈(きじょう)に振る舞う事しか、今の小さな体では精一杯だった。






 この時誰も知る由もない事実であり、(みな)(いず)れ知る事になるだろう、ミフィレンが全ての鍵であり、世界の希望である事。そして――――この物語の主人公だと言うことを――――





【いつだってあなたが私を強くする】


【第1章 小さな出会いと大きな役目】


【完】

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