表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつだってあなたが私を強くする  作者: 泥んことかげ
【第1部~出会いと約束】
43/111

第42話【子育て日記二日目】(組み手編その5)

「開いた口が塞がらない」とはまさにこの事であり、弟子達は美しい女性が意図も容易く、自身よりも体格で勝っているであろう格闘家(バルクス)を、まるで風船でも飛ばすように宙へ浮かせたのだ。


「ちょっ……待っ!!―――」敗北を認めた男の悲痛な声は誰の耳にも届かず、体重も十分にある190cmの大柄な体は、【くの字】になりながら勢いよく30M程先の、道場内壁まで吹き飛ばされ、その先にいたのは―――


壁との衝突寸前アイナの【幼い悪戯(チャイルド・ミスチフ)】により間一髪、大事故は免れたに見えた……が、戦意喪失(せんいそうしつ)し醜くへばりついた男が、見えない手で摘ままれる様に投げ捨てられると、険しい顔のアイナが眉間を震わせながら、こちらを見ている。


「私の気のせいかしら?あなた今、(わざ)とこちらへ飛ばしたわね?」


構えを解き悪気がなさそうに、頭を掻きながら「チッ」と軽い舌打ちをした後で息を切らさず話し出す。


「悪い悪い、当てるつもりでぶっ飛ばしたんだけど駄目だったわ!!お互い思うことは有るだろうが、そろそろ私の相手してくれないかな?」



それを聞いたアイナは見下すような目付きをし、生意気なニッシャに対して正論を告げる。


「ここは、実戦経験はなくとも協会内で優秀な魔法使いを育成する場よ?それこそ何(いず)れの部隊長クラスがわんさかいるね。そこのトップに君臨する、王様(わたし)といきなり()れるわけないじゃない?」


「アイツそんな強い奴だったの?」と半ば冗談の様に聞き入れ、おもむろに指を周囲の弟子達へ向けると、1人ずつ数え始めるニッシャ。


1(ひぃ)2(ふぅ)3(みぃ)―――99(ここ)100(もも)……ちょうどさっきの奴と()()も含めて100人居るようだな。よーし!!」


屈伸や腕を回す準備運動をした後、ここへ来て初めて()()()に構えたニッシャは、手の甲を弟子達へ向け指を折り曲げ挑発をする。


「1人ずつじゃ私には勝てないぞ?綺麗で優しいお姉さんが相手してやるから10人(まと)めてかかってきなさい―――」


余程、暴れたいのか今日一の笑顔をすると、開戦の合図の間もなく一対多の状況に強制的に(もち)いる。


いつにも増して闘志を剥き出す、ニッシャの頭上数メートル付近では、広い天井のキャンパスを自由に彩る絵の数々と2人の仲の良い子ども達が時折、宙で飛び回り、跳ねながら遊んでいたのでした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ