表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつだってあなたが私を強くする  作者: 泥んことかげ
【第1部~出会いと約束】
37/111

第36話【現れし闇】(暴食編その6)




 生きとし生ける物、全てにおいて【時】は無限ではなく有限であり、どんな事象も干渉不可とされていた……そう、【ヤツ】が来るまでは―――


 ノーメンの命を賭した最後の一撃は、万足を捉える直前にその動きを止める―――否、全ての時が止まっており、音もなく静寂に包まれた状態が漂っていた。

 それはまさに時を自在に操る力であり、この世の森羅万象、あらゆる事象に干渉可能とされる、この世で最も規格外な力である。


(クロノス)()宝珠(スフィア)


 突如として現れた謎の人影は、防御に撤し固く身構える万足(センチピード)を消失させると、目を開けられないほどの眩い光を放つ()()に対し、軽く手を触れただけで跡形もなく消え去った。


 年齢不詳、男女さえもわからぬその声の主は時の静止した中、平然と消え行く命に歩きながら語りかけ、()を進める度に、周囲の破損箇所は元通りになってゆく。


万足(あれ)いずれ使うから貰っとくね?あなた見ない間に随分と酷い顔になったわね。こんな所で死なれたら私の計画が台無しになるからやめて欲しいな?」


(クロノス)()(ドロップ)


 黒地の手袋を外しそう言って、元の姿など見る影もないノーメンの頬を優しく触れ、まるで元から傷がなかったかの様に治る。

 


「ほら、これで元のイケメン顔に戻ったじゃない!!それとこれを着けてお仕舞いね!!」


 粉砕していたマスクもついでに復元させると早々に顔に着け、一周回って身だしなみを整えると満足そうな笑みを浮かべる。


 元通りに治癒したノーメンを後にし、鳥籠の中のセリエに触れようとしたその時、弾かれる様に手が後方へいく。


「痛った~い!!()()()()()()()も厄介ね全く……まぁ私にはそれこそ無意味(ミーニングレスネス)だけどね」


 まるで自動ドアが開くように解除されるとそこには、友に最後の別れを告げるように左目から大粒の涙を流しているセリエの姿があった。


「君達をここで殺すのは容易いんだけど、今は止めとくね。だから―――もう少ししたら()()()()()()?それじゃ、ばいば~い!!」


 戦いの記録(あと)は消え、まるで初めから無かったかのように、一瞬で消えたその人物は、思いを言い残すと再び時が動き出した。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ