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いつだってあなたが私を強くする  作者: 泥んことかげ
【第1部~出会いと約束】
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第14【子育て日記初日】(その3)


いつもは、感覚を頼りにただ燃やせば良いとだけ思っていたが、今回の闘いで改めて実感したんだ。

消費が激しい分一撃の威力は、確実に上がるがその強大な力は、私自身を蝕んでいることに改めて気付かされた。

ただ闇雲に力を振るうのではなく、目的を芯で捉え効率的に魔力(マナ)を使うことによって体への負担も軽減される。

指先から少量の魔力(マナ)を放出し、静かに目を閉じると皿全体ではなく中心を軸に熱を集中させる。

徐々に消えてゆく汚れは、成功を意味するように焼失していた。

1枚出来たら、また1枚と改良を重ねながら次々と同じ作業をし、初めの苦戦が嘘みたいに上達し、その速度はニッシャならではだった。


【?時間経過後......】


一人黙々とやっていたが、流石のニッシャでも息を切らしていた。

「私もやればできるもんだな......」とあれほどあったお皿の山は消え、我ながら感心してしまう。

二人で絵を描いた皿は、勿体無くて1枚残らず欲しかったんだが、流石に人の家の物だからな......泣く泣く綺麗にせざるをえなかった。

ここ数日は、無茶をしすぎたため流石のニッシャでも集中力の糸が切れ、「すやすや」と寝息を立てる小さな体を抱きしめながら、倒れ込むように寝そべる。


小さなお皿が見えたような、見えなかったような小さな絵描きさんだけが知るのでした。


【時刻は真夜中】


「ギギギッ」と扉が少しだけ開き小さな顔が覗き込むように「チラッ」と出ていて、手には、水晶玉を持っており独り言のように話始めた。

「おばあちゃん見てる?一見不器用そうだけどちゃんとやり遂げたらしいよ?」

余りにも近すぎたのか「老婆の目玉がドアップ」になっていて、「近すぎだよ......」とアイナが言うと、笑いながら距離をとる。

「フォッフォッフォッ」と老婆は、高笑いすると小さい(まなこ)で辺りを見渡すように覗き見る。


「私は、旧友に会いに行ってるからねぇまだまだ戻らないよ」

辛気臭そうな顔をしているが老婆の後ろでは、楽しそうな声が聞こえ、あれほどの被害が有りながら、平気な顔をしているのだ。

どうしてかは、後程分かるとして......


「おばあちゃん、あんまり若くないんだからお酒は、控えなよ」

アイナがそう釘を指すと、シワシワな顔は、「シュンッ」と反省した様な顔をしていた。

「少しだけ言い過ぎたかな......?」そう思って、水晶玉から映像が消える瞬間、老婆は右手にあった高濃度のアルコールをコールと共にラッパ飲みしていた。


「おばあちゃんったら本当に、言うこと聞かないんだから......いつか死んじゃうよ?」


アイナは、消えた水晶玉にそう言い残すと寝息を立てる二人を起こさぬよう、静かに扉を閉めると「また明日ね」と小さく呟いた。



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