幼なじみかカップルか
「星莉!帰ろーぜ。」
「うん!ちょっと待ってー!」
「星莉ちゃんと澄川くんいつも一緒に帰るよね。」
仲良しの綾菜ちゃんに言われた。
「だって幼なじみだもん。」
何人としたかわからないやり取り。
「おー!2人付き合ってんのー!」
「ラブラブカップルー!」
「ヒューヒュー!」
「ただの幼なじみだって言ってるだろ!」
朔也が怒る。
「早く帰るぞ!」
「はーい!」
小学5年生になったとたんみんな、付き合ってるとかそういうことを言い始めた。言われると朔也はすぐに怒る。私は朔也のことが好きだからそこまで嫌ではない。でも、朔也は私のこと嫌いなのかな?
「わっ!」
「星莉!ちゃんと前見て歩けって!」
「ご、ごめん!」
考えてた私はコケそうになり、朔也に支えてもらった。
「今のとこ、クラスの男子に見られてなくてよかったねー。」
「見られてたら最悪だろ。マジでカップルだと思われるぜ。」
朔也はそんなに嫌なんだ。私とカップルだと思われること。ちょっとショック。
「明日、朝は一緒に行けないから。」
「なんで?星莉と行くの嫌になった?」
朔也は笑って言った。
「バーカ!ちげーよ!早く行って児玉たちと遊ぶんだよ!」
「わかった!帰りは一緒に帰ろーね!」
「じゃな!」
「バイバーイ!」
朔也の家に着いた。私の家は朔也の家の横。そう、私たちはお隣さん。2歳からの付き合い。
「ただいまー。」
「星莉。今からママ仕事だから。」
「あっ、わかった。行ってらっしゃい...」
今日はお兄ちゃん帰ってくるのかな。お兄ちゃんの玲音は最近、帰ってこない。
帰ってこなかったら、朔也の家に行こっかな。
────バン。
ドアの音。帰ってきたのかな?お兄ちゃんの部屋を覗く。
「星莉?母さんいる?」
「いないよ。」
「じゃあいいや。」
お兄ちゃんはリビングに出てきた。お兄ちゃんとママは仲が悪い。
「お兄ちゃんどこに泊まってたの?」
「美南の家だよ。」
美南さんはお兄ちゃんの彼女。中学生の時から付き合ってる。私も朔也といつかほんとに付き合いたいな。
お風呂から上がって部屋に戻ると、
「星莉!星莉!」
「朔也!」
朔也の部屋の窓と私の部屋の窓は隣同士。朔也がベランダに出てきて私は窓から顔を出してしゃべる。最近ずっとしてること。窓同士ならクラスの男子に見られないから。
20分ぐらいしゃべって
「じゃ、星莉おやすみ!明日な!」
「朔也おやすみ!」