プロローグ3
誰もが知っているこの世界の常識、この世界には魔法というものがある。
炎を起こしたり、水を出したり、雷を出したり、土を動かしたり、風を操ったり、闇に隠したり、瞬く光を出したりできる力を魔法と呼ぶ。
これは人個人個人によって使える力は異なっている。
その中でも希少価値が高い力、回復魔法。
傷を癒し、病を治し、時にはなくなった手や足でさえも取り戻せる神のような力。
この回復魔法にはある特徴があった。
回復魔法を使える人は外傷を負ってもみるみるうちに治ってしまうのだ。
そして、ある決まりがあった。
"回復魔法の使い手は神殿に仕えるべし"
そう、そんな決まりがあった。
神殿は病気を治したり、傷を癒したりする場所なので、希少な回復魔法の使い手は強制的に収容される。
「さあ働いてもらおうか」
ニヤニヤと男性の神官は笑い、私に対して手を伸ばす。
「君の名前は?」
「…アイリーン」
泣いている私なんかお構い無しのように、魔法が使えそうな年齢ではないから、とりあえず魔力を頂くかな。だなんて言葉が聞こえた。
「魔力の使い方、まだ習ってません」
そうか、と神官は面倒臭そうに声を出す。
「回復魔法はある程度使えていたのだ、お前は魔力タンクとして生きるのだな。」
そう言われ額に宝石をピタリ、とつけられた。
「今日は困惑しただろう、眠れ。」
すーっと意識が消えていき、私はまた倒れ込むのであった。




