第5話…恐怖心
俺が車を走らせて、もうすでに3日が経った…
食事も睡眠もまともに摂れず、体は疲れきっていた…
「くそ…」
迫り来る眠気と戦いながら俺は車を走らせた…
ふとバックミラーを見ればクマが目の下を覆い、髭も伸びきり、なんとも悲惨な顔立ちになっていた…
どれだけ進み、探しても、その街は見えてこず、妹も見つからなかった…
あのROM…いや、
妹が声を入れることが出来たと言うことはRAMディスクか…、
とにかくそれの言うことを信じて良いものかを悩んではいたが…
今はそれどころではなかった…
一体灯はどこにいるのだろうか…?
「…灯……」
俺はアクセルを強く踏みつけた…
俺はついに空腹に限界が来たため、一度コンビニエンスストアにより、パンを買った、
それをガツガツとほおばるそれはバサバサな食感で、味もベッタリとした何かバター臭いものであったが、ほとんど何も食していなかった俺にとってそれは何よりも旨いものだった…
食事が済み、フウと息をつくとふと、向こう側に森が見えていた、
ここはコンビニエンスストアが見つかったのが奇跡とも思えるほど静かな土地だったため、森があろうと何も不思議はないが…
今はとにかく手当たり次第に探りを入れる必要があったため、俺はすぐさまそこへ向かうことにした…
「…さて…」
意味もなく一言そう言うと俺は車に乗った…
エンジンをかけると車はいつも通りブロロ…という音をたてた…
道路を走っていても、俺の周りに人影や他の自動車はなかった…
やけに静か…
時計を見ると4時44分だった…
まったく縁起が悪い…!
そう思うとほぼ同時に時計は45分を示した…
俺はまた前を見直し、アクセルを強く踏む、
どんなに進んでも、やはり静かなままだった…
そして、いつのまにか森に入っていた、
余りに静かで気が付かなかったのだ…
森のなかはやたらと暗い…気味がやたらと悪く、さすがに怯えずにはいられなかった…
奥へ進めば進むほど辺りは暗くなり、恐怖は増幅していく…
怖い…
恐い…
助けて…
無意識に恐怖が辺りを取り囲み、悲劇的なまでに助けを求めていた…
何故かは分からない…
普段暗がりに入ろうと何も恐くはないはずなのだが…今は何故かやたらと恐かった…
助けて…
嫌だ…
助けてよ…
頭のなかで半ば命乞いのような言葉を繰り返しながらも、俺は車を走らせていた…恐い…
怖い…
眠い…
あれ…?
何日も寝ていないからだろうか…
恐怖に怯え疲れ、何か急な眠気に襲われた…
眠い…
ダメだ…
今は灯を探さなきゃ…
寝ちゃダメだ…
でも…
今にも意識は飛びかけていた…
その時急な立ち眩みに襲われた…