第4話…CD−ROM
その奇妙な円盤は、CDプレイヤーの中でくるくると回りだした…
ジーッ…という気味の悪い機械音が響く…
その音のせいでやたらと静けさが際立っていた…
するとその円盤はさらに奇妙な効果音を俺の耳に届けてくれた
コーン…コーン…
「……?」
コーン…コーン…
「…鐘の…音?」
そう、それは古びた教会から聞こえてくるような鐘の音だった…
「なんなんだよ…」
いらだって速送りボタンに手を伸ばした…
「キコエルカ…!」
「うぁ!」
突然声がした、そのため俺は驚き、声をあげてしまった…
「…なんだよ…」
「…鐘ノ音…」
「?」
「鐘ノ音ノ鳴ル街ヘ…」
その半ば片言な日本語をしゃべる声はまるで俺に語りかけるかのようにそう言っていた…
「鐘の音の鳴る街?」
「…助ケテクレ…」
「なんなんだよお前は!」馬鹿だとは分かっていたがついその片言でぶっ飛んだ声に対し怒ってしまった、
「…私ガマチガッテイタ」
「ヤメレバヨカッタノダ」
「コンナコトニナルナンテ思ワナカッタンダ…」
「助ケテ…」
その声は何かに怯えていた…
しかし何故か淡々と喋っていたのだ…
「…灯はこれを聞いたのか…?」
そう思うと少しばかり不安になった…
このCDは何か灯と関係あるのだろうか…
あるとしたら灯はこれを聞いて…
これを聞いた…!?
ということは灯はその
「鐘の鳴る街」へ向かったのだろうか…!?
「奴ラハ…私ヲネラッテイル…」
「…奴ら?」
「私ダケデハナイ…
スベテノ人間ヲ…」
「全ての人間を…」
「コロシテシマウ…」
「…なんだと!」
その恐ろしい一言に俺は驚愕した…
ガチャッ…
機械の中からドアが開く音がした…
「ウァァ!」
声は急に慌て出した…
「クルナ…クルナァ!」
「ギャアァァァ!」
「!?」
謎の奇声が聞こえると、急に音は無くなった…
コーン…コーン…
また鐘の音がなる…
「なんだったんだよ…」
俺はフゥと息を吐いた…
するとCDがブチッという音をたてた…
「…行くね…お兄ちゃん…さようなら…」
…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………行かなきゃ…
灯を助けなきゃ…
俺は急いで家を出て、
車に飛び乗った…
空はまだ雲がきえていなかった…
「行っちゃダメだ灯!」
ボーッとしていてつい感情が消えかかっていたが、
ふっとそう思い、それを口に出していた、
そうだ…行っちゃダメだ、行ってはいけない…
あんな気味の悪いCDに入っていた気味の悪い街になんて…
何があるのか知らないが…絶対にダメだ…
絶対に…
俺はアクセルを全開にして走り出した…