第19話…赤
……、
…くぅっ…、
身体中に走る激痛…。
生きているかどうかはそのおかげですぐに確認できた…。
しかし最悪の目覚め…。
酷く身体がだるい…。
立ち上がることすらまともにできない…。
というよりも無意識に俺自身が立ち上がることを拒否している感じに近い…。
…少しこのままでいたい…。
…少し寝ていたい…。
身体がそう言っている…。
でもだめだ…。
忘れちゃだめだ…。
俺は妹を、灯を探しに来たんだ…。
さぁ立て…。
大丈夫だ…、さっきあれほど凶暴に闘っただろ?
…ここにくるまでは、あんなに無機質に人を刺そうなんて思わなかった。
今は違う…。
今の俺は凶暴…。
…あれ…?
違う違う…。
俺は凶暴じゃない…。
あえていうなら勇敢かな…?
とにかく立て…。
早く…、
とにかく今すぐだ…。
…あぁ、疲れすぎてる。
目を開けるのを忘れていた…。
開くかな…?
あぁ、開いた開いた…。
…赤…。
真っ赤だな…。
…目の前に広がる赤…。
これは俺の血だろうか…?
もしくは俺のぐちゃぐちゃの内臓か…?
…考えただけでぞっとする…。
さぁ、早く起きよう…。
赤は目に悪い…。
早く立とう…。
立ち上がるぞ…。
せーのっ!
俺は平然と立ち上がった。
まさかこうも簡単に立てるとは思わなかった。
俺は目を擦った。
目がなれたとはいえ暗い部屋…。
そしてその中に充満する血の匂い…。
虫酸がはしるぜ、まったく…。
俺はさっき明け損ねたドアを今一度開けようと前を見た。
目の前にそれはある。
呼吸もいれずドアを開ける。
あまりにあっけなく開くドア…。
すでに俺はこの部屋にとってよう済みか。
俺は廊下にでる…。
そしていつものように辺りを見回し、更に病院の奥へ進む…。