第16話…病院へ…
外は相変わらず怪物で溢れかえっていた。
血生臭い匂いが鼻につく…、
走っていても鼻にその匂いがまとわりついて苛立つ…。
どうやら恐怖の感覚は大分鈍ったようだ。
すでに苛立ち以外は何も感じなかった。
怪物が近付いてくる、
鐘は鳴らない、
病院は何処にも見当たらない…。
耐え難い苛立ちが、俺にのし掛かる。
早く鳴れ…、
今すぐ鳴れ…、
鳴ってこのうざったい怪物を消し去ってくれ…、
俺は薄い意識の中でそう願った…。
そう…薄い意識の中…、
薄い…、
薄れ行く意識の中で…、
俺は自分でも気が付かないほど静かに倒れていた。
「…ん?」
…またか…、
どうやら俺はまた気を失ったらしい…。
自分の体から強烈な血の匂い…、
俺の血か…?
あるいは怪物の…?
俺はむくりと起き上がり、体の状態を確認した。
どうやら怪我はしていない…、
もしかして俺が気を失うのも鐘の音のせいか…?
俺は立ち上がる、
すでに怪物達はいない。
俺はまた走り出した、
いや、どちらかというと今度は早歩きに近い。
とにかく早く病院に着きたいが、体がだるい。
どこにあるんだ?
そう考えながら進むが、それは見当たらない…、
「くそ…」
俺は辺りを見回す、
そこで小さな地図板を見つけた、
俺はそこに近づき、病院という文字を探した、
すると…、
「…あっ…」
今まではまったく見えなかった病院が、すぐ目の前にあった…。
まるで俺の望みを叶えるが如く…。
俺は頭を掻いて病院のドアを押した、
それは軽々と開く…。
俺はためらいなくそこへ入っていった…。